【神日】 ファルド 【第四階層】

ひつじ
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◆神様の生まれた日【illust/46838532】に引き続き参加させていただきます。

◇ファルド|Lv.4|男|166cm|一人称:ぼく|二人称:きみ、あなた、名前|11月9日:トパーズの・猛禽類
 第一階層【illust/47624884】命途:アリオールカ【illust/47469320】9月3日:サファイア・魚
 第二階層【illust/48003214】命途:ベベルッケ【illust/47971552】5月10日:エメラルド・海獣
 第三階層【illust/48600755】命途:クロエ【illust/48818472】12月22日:ラピスラズリ・狼の

◇能力 時を操る力。
    時を進めたり戻したり留めたりする場合範囲が広がる程時間が長くなるほど疲弊する。
    過去や未来に行く場合現在とはなれているほど干渉できなくなる。

◇命途 メルリアール【illust/49583959
荒廃した庭に明らかに不釣り合いなそれに惹かれてしまったのは仕方ないことだと思う。
鉄の円が交わったようなそれはまるで檻の様でその中には女の子がいた。

「何をしているのです?」

ぼんやりとしていた少女は弾かれたようにこちらを見て唇を震わせたがそれから何か発することはなかった。

「君は誰?どうしてそこにいるの?これは?」

ファルドの言葉に少女は視線をさ迷わせて音もなく唇を動かしただけだった。
困らせてしまったかな、とファルドはそれを見て思った。
どうしようかと思順して、そこでようやく自分の手に握っているものに気付く。

「君もこれを持ってます?」

少女は薄い肩を震わせて側の地面を頼りなく指差した。

「私、それ、触れなくて」

それから少女はただなにも言わずに強い瞳でこちらを見ていた。
ファルドは特に気にせずそれを拾い上げると掌の上でその二つはひとつになった。
おや、と思ったがそれはきれいな丸い形をしていてこれが本来の姿だと悟れた。
これを育てるのでしたっけ、と独り言の様に呟けば意外にも少女から諾の返事が帰ってきたので適当に埋めた。

「水持ってたり……しませんよね」

ファルドは少女をみて、ついでに彼女はとってこない(これない)だろうというところまで一人納得して水場を探すことにした。
一人歩きながら彼女の事を考える。が、何も知らないと気づきため息が出る。
けれど少しは話ができそうだ、どうせ種をあそこで育てるのだから少しずつ聞けばいいだろう。
水を得て振り返れば檻の側に影。あれは知っている、悪魔だ。
慌てて帰ろうとすると彼女の檻に触れた悪魔が弾かれ焼け焦げるのが見えた。あれは雷だ、そんな能力もあるのか。

「便利ですね」

帰る頃には悪魔はおらずなんとなしに言えば少女はジトリとこちらを見た。

「ボクも種もそこに入れたら悪魔なんて近寄れないのに」

言いながら水をかける。多すぎた気もするが気にしないことにする。
植物に興味はなかったので花の育て方など物語の片隅で得た知識しか持たないのであった。とりあえずこれでいいはずだ。
さて、と隣の檻を見やればその中の少女もこちらを見ていた。今度は一つずつ、とりあえず

「それはなに?」

もう一度問いかけると少女はゆっくりと口を開いた。
どうしてこうなったのかはわからない、けど原因だろうという今までの事を少女はゆっくりけれど沢山話してくれた。
色々な人がいるものだと言うのが感想だった。ファルドには彼女の考えも、彼女の会った男の考えも全く検討つかないことだった。
けれど、一つ知っている話だと思った事がある。

「君は彼を愛していたんでしょう、その時は。そのために彼を守るために戦った。」

ファルドは今までで考えたことを話す。
今まで会った彼らはたくさんの事をファルドに教えてくれたし考えさせてくれた。
それは彼のなかで、彼らの会話のなかで、思考の内としての事であったが少女には違うようだった。
その身に起きたこと見たこと聞いたこと感じたこと、それらと紐付けて解いていくような。

「それは悪いことでも間違った事ではない。」

ただ彼はそうでなかったみたいだけど。そう小さく足してファルドは目の前のふらふら揺れる蕾をつついた。
二人がたくさんの事を話しわかりあい近づいていったその間に日は沈み月が登りまた交代してを繰り返し、種はふくよかな蕾をつけていた。
植物の成長というのも案外楽しいものだと思ったがこんなことでもなければ二度としないだろうとも思う。
そんなことを考えていたファルドの膝にドサリと落ちてきたのは先程まで檻の中にいた少女だった。
少女はファルドの腹に顔を埋めた落ちた体制のまま肩を震わせて小さく嗚咽を漏らしているのが伺えた。

「えぇ……」

号泣する少女の扱いなど知らない。とりあえずどうにか頭の隅から持ってきた記憶から少女の頭を優しく撫でる。
しばらく続けていれば少女はゆっくりと顔をあげた。ゆれる紫と目が合う、けれどファルドは小さく開いたその唇からでた音を聞くより先に「あ、」と声をあげた。

「咲いた」

促されて少女が振り返ったそこには一輪の花が、大きく開いていた。
顔を合わせて、それから少女が口を開くより先にファルドはまた口を開く。

「そういえば、君の名前は?」

「メ…メルリアール……」

「そっか、ボクはファルド」

ファルドは少女の手をとり立ち上がると二人分の土埃を払った。
またたくまにしぼんだ花の側に落ちていたものを拾うとそのひとつをメルリアールに握らせる。

「泣くより、怒るより、笑ったほうがいいと思うよ」

泣いたり怒ったりしたことないからわからないんですが、そう足してファルドは小さく笑った。
手にした種がじんわり解けたのを感じると見覚えのある扉が現れた。
もう慣れたそれを戸惑いなく開く。

「じゃあ、メルリアール。今度はもっと君の話聞けたらうれしいな。」

なんだかお互い、いままでの人たちの話ばかりしてしまった気がするから。
もう大丈夫だろう、なんとなくそう思いすがすがしい気分でファルドは扉をくぐった。

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2015-03-19 12:50:18 +0000