【九十九路】深海のたびびと【最終期】


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九十九路の羅針盤【illust/60865485

 「往くべき航路を導くもの。空に瞬く光と同じ名を自称したのさ」

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▼深海のたびびと 海王
亡骸を喰らいし者/巫瑚竜『シャウ』 (雷霆の羅針盤/300pt/135齢)
・前期:ウミボウズ【illust/63399275
・海王の片櫂【illust/64049159
 「友達は大切にするんだよ。……否、ルルならワタシが言わずともわかるね?」
 「その靴で"道"を歩いて、何でも見てくると良い。港の喧騒や店の出し物、人の声。かの国ならきっと茶の匂いも――」

第二期:巫瑚竜『シャウ』【illust/62046192
ともだち:sedrie様 【illust/61965100

「今でこそ魔女たちに付き合えるくらいだけど、幼い頃は茶の仕組みもわからないくらいだったよ。
 初めて見たのが花入りの、硝子容器の紅茶でね。その甘さにいたく感動したんだ。
 それでワタシは、水を入れれば花から味が染み出るものだと海水に一輪付け込んでね。もちろん出来るのは塩水さ。愚かだろう?
 ガラスの中に咲く花が美しいものだから、あの頃のワタシは花を魔法の代物だと思っていたんだよ」
「その塩水を口にしても、呆れず私に茶の淹れ方を教えてくれた人がいたのさ」

「もしも深海で飢えたワタシの元に星が落ちてくるとしたら、それは君だろうか。ワタシは星(セド)に、好かれるのかな」


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▼海王 レヴィア
なきがらを喰らい成長する竜。まだ幼体。
魂喰らいの魔女から偉大な魔女の名を授かっている。

▼海王 “巫瑚竜”シャウ
種のわからぬ巫瑚竜。
同じ巫瑚竜に「悪しき王の居る国に必ず献上され国を救う神の使い」という伝承がある有毒種(illust/61943990)を持つ。
ある王に仕えたと自称するが、彼女とおぼしき竜が献上された国の記録はどこにも存在しない。

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きっかけはどこかの噂話か あるいは片櫂から流れてきた話だったか
そこもまた 深潭へ発つまでのお宝さがしに訪れた国でした

そびえたつ門を潜らず入国した不届きものにも関わらず
かの王は陽の如くあたたかに 水路を遡ってやって来た『星』を歓迎しました

『ようこそ、刻針の貴賓箱へ!』

――かつて受けることのなかった にこやかな出迎えの言葉とともに


既知関係:刻針の貴賓箱 セルクイユ・アム/琥珀様【illust/64016340

宝さがしの一環で訪れた国は、かつて友の贈り物を修復する際頼った、刻針の出所。
蒐集品の王は水晶のように目を輝かせ、見てきたものを聞きたがるものでしたから、
共に過ごすお茶会で、シャウはいつかの思い出を、ひとつ、またひとつと語りました。
かつて夢幻の国で友とまみえた際、歓迎の席にも花の紅茶が並んでいたことを思い出し、
「鮮烈だった記憶も今や随分と遠く、幻のように薄れてしまったものだ」
――そう、笑いました。

何度目かの日が昇った頃、シャウは蒐集品の王に、いくつもの小さな宝石を提示しました。
夢幻が覚める前にEpigeniaの王から譲り受けた杖に施されていた石は、今も褪せぬ色のまま。
手から転がり落ちたそれを「此処に託したい」と告げると、
彼女はそれを、再び手に納めることはありませんでした。

 「君に花の茶のことを教えたけど。私に紅茶の淹れ方を教えてくれたのは、セドだった。
 私の一番の宝物はきっとあのひとときだけど、私が消えれば泡沫の記憶になるだろう。
 蜃気楼は歴史にならない。私だけが知る唯一は、花の紅茶よりも甘美だ。
 だがこれじゃあ、滅びの先が無でないと証明できるものは、ワタシが絶えれば誰もいない。
 それは、むかしここの針に頼りたいと縋った時の思いに、どこか似てる気がしたよ」

「深海のたびびととはいえ、私自身は深潭の景色を見るのはこれが初めてなんだ。
 何が起こるかわからない、失くすわけにはいかないから。
 一番大きいのは、友を裏切りたくないし、御守だから私が持っていくけれど、他は此処に預けたい」

「昔、どこからか流れてきた刻針に大事な物を繋ぎとめてもらった恩があってね。
 消えた幻が“無ではない”と、刻む何かを求めていた。その針の力を、ワタシはよく知っている。
 まぁ、売ったりしてないか確かめに、意地でも海の底から戻ってくる口実もできるわけだし。
 それに、また此処に茶を飲みに来れるだろう?」

「再びまみえる日があれば、教えた茶と意思を持った宝に出会えることを楽しみにしているよ。
 目録に記す名は――
 
 ……そうだね。『海王の宝』なんてどうかな。これは私(海王)の真の宝物だから」



「滅びの先が無でない」と証明するため 『星』の海王は己の宝を貴賓箱へと託しました
目録に綴られた名がかつて破り去られたものだとも いつか同名の蒐集品がいたことも
深海のたびびとが知る由もなく 彼らはその後深潭へと旅立ったといいます 

時辰盤の蝶も 泡沫の竜も もう此処に在らず
あの夜問われた永遠の意味を 彼らは終ぞ返せたのでしょうか


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既知関係は引き続き募集しておりますので、何かお役にたてることが御座いましたら是非お声がけください。
最終期の後、海に潜り長い深譚の旅に漕ぎ出します。現在は海上に別れを告げる前にお宝探しをしている状態です。

こちらで期間中の投稿は最後とさせて頂きます。
ご縁を結んで頂いた皆さま、見守って下さった方々、ご運営頂いた主催様に深く感謝いたします。
半年間とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。本当に有難うございました!

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2017-07-25 13:56:52 +0000