【仁本物語弐】梔衣ヱ【第伍世代】



企画元様【illust/52333018

「無意味だとは思うが不要とは思わない、その全てが貴方なのだから」
「貴方が一時、私の隣で話をしてくれるのならとても嬉しい……駄目か?」
「あ、猫が」
「精々足掻こう、見えている内は」


梔衣ヱ(しきえ)/男/外見20代/180㎝前後(本性200㎝前後)/一人称「私」二人称「貴方」/白髪・黒目(左のみ)
(古烏・水釈様・付喪神・化け狐・牛鬼・雀の化け物・火の鳥・古椿の霊・人)

半妖の両親を持つ大烏の妖。
幼い頃は母の様な探偵になる事を夢見ながら人里で暮らしていたが
"声"を聞いて以来は一処に留まる事と人の多い場所を避け、各地を放浪する生活をしており、神域で体を休めている事が多い。
建前を飛ばし本音を聞き取る耳と、ものの本質を映し出す鏡の右目を持つ。濁った左目には殆ど視力が無い。
不死鳥の性質により死ねば記憶をそのままに生まれ直すが限度があり、それがいつなのかも見えている。
良くも悪くも純粋であり寛容。大人しそうに見えるがその実好奇心が強く行動的。目的も無く猫の後を追うのが好き。
人間に対する強い憎悪は絶える事無く受け継がれているが、少しの間ならば胸元の鏡にそれを押し込め制御する事が可能。
その黒い鏡面からは時折烏の影が飛び出し周りを飛び回るが、他者に触れる事は出来ない為害は無い。
古烏としての悪食は健在で、生者を襲う事は無いが死者を喰らう事に躊躇いや罪悪感は存在しない。

人を殺せと声がする 人を愛せと声がする
合わせ鏡とは縁起が悪い お前は一体いつ割れる?
耳元で烏が囁いた

「屍肉を漁る 意地の汚い烏の化物」
「何れお前も 人を殺すぞ」
「お前に少しでも 我らを憂う心があるのなら」
「精々苦しみ足掻いて 地獄に堕ちろ」


父親(半妖):夜衣椿【illust/54364762
「あの人は見つけていたのに、馬鹿な人だ
 せめてまことの終わりが来る前に気付ける事を願っているよ、何処かの貴方」

母親(半妖):あかねさん【illust/54584949
「貴方がこれの使い道を示してくれた、貴方が私を梔衣ヱにした
 多少描いていたものとは違う場所に居るが、私は今とても幸福だ。貴方の最期も幸福であったのだろうか」

きょうだい(半妖):あさひさん【illust/55502240
「かわいい私の片割れ。私は此処に在るよ、貴方が半身で在る内は」
「ふふ、貴方に会う日は鏡が震える」


◆◆◆
人に近い姿と大烏の本性を併せ持つ。部分的な変化も可能だが鳥脚と尾は隠せない。
人型時の服も体の一部。父と同じく線香の様な香りを濃く纏っている。

素敵なご縁を頂きました!
物静かで美しい深凪さん【illust/55470038

出会ったのは 彼女の一族所縁の地
凪いだ水面の様な 美しい女性だと思った
「この池は、貴方の場所だろうか
 少しばかり羽を休めたいのだが……駄目か?」
初めて顔を見た時に さびしいと 声が聞こえた
それは 私に向けられたものではなかったが
親しい者の死を 孤独と諦観を胸に抱く彼女が 放って置けなかった
誰かの寂しい背中を見るのは耐え難い事だった

「猫を追っていたんだ、でも良かった
 貴方にはまた会いたいと思っていた」
彼女は私が隣に止まる事を許してくれた
ただ静かに傍で休んだ日もあれば
彼女の物語に耳を傾けた日もあったし
逆に私が旅先で見聞きしたものを語る日もあった
池へ導く猫の話をすると 彼女は笑顔を見せてくれて
「貴方はそうして笑うと一層きらきらとしているね」
その顔を 傍でずっと見ていたいと

そうして 自然に恋をした
ままならなくて 暖かくて 幸福だった
私も彼女の幸福になりたかった
その手を引いて 様々な場所を歩いて 飛んで
甘いものは好きだろうか 美味しい甘味処を知っている
片割れには会ってくれるだろうか そうだ 春は桜を見に行こう 椿も綺麗に咲く頃に
随分と 振り回していたかもしれない
彼女は物静かな人だから 困っていたかもしれない
ただ 彼女がふとした時に笑ってくれると それだけで嬉しくて 楽しかった
彼女と過ごした時間は 掛け替えのないものとなっていた

「深凪」
寂しい思いはさせないよ
寄り添って 生きて 先に終わるのは 恐らく貴方だ
それでも 最期は一つに 同じになる
寂しい思いはしないから
「触れても良いだろうか?」

覚えてるよ ずっと ずっと

---
ある朝 目覚めと共に 酷い違和感を覚えた
声が聞こえない
遠くから響く蛇の声も 耳元で響く烏の声も
ふと鏡に視線を落とす
澄んだ鏡面は 自分の顔をはっきりと映した
しかし不思議と 何の感慨も湧かず

「おはよう」
隣で眠る愛しい人に声を掛けて
それきり いつも通りの朝

私は 烏は 人間は
許されたのだろうか


「そんな筈ないだろう?」

◆◆◆
ご縁をくださった皆様のお陰で最後まで繋ぐ事が出来ました。
改めて此方でご挨拶させて下さい
ヲオ崎さん・蛇人さん・東さん・うたのさん・のぎさん
本当にありがとうございました、伴侶さんもごきょうだいも大好きです…!

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2016-02-08 09:50:21 +0000