企画:仁本物語弐【illust/52333018】
「ほんとうのことっていうのはね、」
◆あさひ/半妖(付喪神+化け狐+人間+古椿の霊+古烏+水釈様+牛鬼+雀の化け物+火の鳥)/♂/年齢不詳(外見20代)
妖怪の血が濃く現れ、先祖返りを起こした半妖。
本音を聞く耳と、ものの本性が見える左目を持つ。
右目には、あさひの大切に想うものの見ている世界が映るらしい。
また、左目から漂い出ている雲に触れると存在を獲られる。
身体の葉は万病を癒す薬となるが、扱い方を間違えると狂い死ぬ。
父方の不死鳥の性質を受け継ぎ、生を終えても七度まで記憶や人格そのままに生まれなおす。
同じく父方から引き継いだものとして人間への憎悪があるが、祖先の恨みは祖先の恨みとして、口煩い同居人程度に思っている。
自分では特に憎くはない。
人を喰うこともあるが、単純に捕食行動であり、妖怪を喰うこともある。
彼の近くに居ると、無関係の者にまで本来見える筈のない本性が見えてしまうことがある為
なるべく人の多い場所は避けて、墓場などに居ることが多い。
話しかければ案外人懐こく応じるものの、嘘や隠し事が上手く、いつの間にかはぐらかされて掴みどころがない。
真っ白い大烏の姿にもなれるが、本性は一枚の鏡である。
「合わせ鏡には、化物が映ると申しましょう」
◆家族
父:夜衣椿さん【illust/54364762】
母:あかね【illust/54584949】
「これでまた漸くおんなじに還れるのだと、もう二度と違うものになどなりはせぬと笑った、
母さまのしあわせそうなお顔を覚えております。
ほんとうに、無邪気で傲慢で、幸福なひと。
泣くような笑うような顔でそれに応えられた、父さまもまた、あいしておられたのでしょうね」
きょうだい:梔衣ヱさん【illust/55166497】
「お前をひとりになどさせはしないさ。かわいいわたしのかたわれ、地獄の亡者などにやるものか」
◆素敵なご縁をいただきました!(02/28)
ふゆさん【illust/55019767】
「ふゆ、死ぬのか」
死ぬらしい。
生きものにはすべて寿命があって、そしてそれは、大抵 己よりもずっと短い。
訪ねていくのに連れができたのがいつ頃だったか、あのかたわれに訊けば、答えてくれるだろうか。
墓場にやってきて、興味津々と話しかけてくる子どもが面白かった。好きだ好きだと、素直に甘えて
ついてくるのがかわいかった。
真実など、ろくに告げなかった。きれいなものばかり、その目に映せばいいと思った。
毬突きをした。緑の狐の社を訪ねた。椿の飴を買いに行った。猫を追う子を追っていった。春には桜
を、夏には雲を、秋には紅葉を、冬には雪を見た。
もう見ないのか。もう。ふゆ。
「……それは、寂しいなぁ」
ぽつりと呟く、その声がまだ、聞こえているのかもわからない。
左目の雲を掬って、ふうと吹く。吹きかけられた身体が雲に包まれ、次の瞬間には、着物も残さず消
え去った。
「これで、ずっと一緒だ」
もう、違うものになどなりはせぬ。
鏡は、幸福そうに笑った。
◆5ヶ月間ありがとうございました。
ご縁をいただきました蛇人さん、ヲオ崎さん、うみうしさん、216さん、ninzinさん
それから、此処まで見守っていただきました皆さまに感謝を。大好きです。
「何処にもありはしないよ、あなたの信じるところのほかにはね」
2016-02-26 15:37:32 +0000