太陽と月 はじまりのカタチ【illust/64996896】
お邪魔いたします。よろしくお願いいたします。
◆ミロン・クラースナヤ
王子/15歳/163㎝/一人称:俺 二人称:~殿
◆クラ―スナヤ王国
太陽の大陸の北方に位置する小国。
一年を通して雪に包まれた白銀の国。
争いを好まず、そもそも武力を持たず、他の大国に埋もれるようにひっそりと慎ましく生きている。
国のシンボルたる「赤い花」は食料、繊維、染料、薬など国民の生活を支える重要な資源でもある。
特産品は紅茶とジャム。
この国では「花」と言えばこの花を指すため建国以来未だに固有の名を与えられていない。
極寒の地にも関わらず国中至る所に咲いているが、王家の者以外が刈り取ることは禁止されている。
◆クラ―スナヤ王家
「赤い花」の種を生み出す一族。
王家の血を引く者がその手で摘み、逝き行く花を想い涙を流すとその雫が種となる。
他の植物のように自然に種を残すことがない花のため、民にとって王家はなくてはならない存在。
周辺諸国からは「花と生きる儚い民」と揶揄されることも少なくない弱小王家。
現国王は王家の子らに「王家の者として恥じない姿を」「王族らしい振る舞いを」と言い聞かせ、
弱小国家という立場を脱却しようと(そして自らの権威を上げようと)虚勢を張り続けている。
◆素敵なご縁を頂きました!
ミア・ベヒトルスさん【illust/65861987】
「――――――――は?」
なんだ、何が起こっている、聞いていない、こんなのは聞いていない。
俺は、俺の、”婿入り”だと、確かに、聞いていた!これでは、話が違う!
「…ようこそ、アステリアの姫君。貴女のお越しを、」歓迎する、なんて口が裂けても言えるわけがない。
「…国のことが気になるなら、もっと詳しい者がおりますから、そちらにどうぞ」
「…それでは、お先に失礼する。貴女も早く寝るように」
「少し、放っておいてくれないか。…放っておいてくれと、言っている」
勝手に夢を見て、勝手に期待していた俺が悪い。信じて疑わずにいた俺が悪い。そんなのは分かっている。
こんなのはただの八つ当たりだ。それも分かっている。
それでも、裏切られたという気持ちを、救世主になるはずだったあの姫にぶつけずにはいられない。
ああ、分かっている、分かって、いるんだ―…。
「…うるさい」
「俺だって、好きで泣いているんじゃない。それでも、こうしなければこの国は成り立たないんだ。
花の命で支えられている、弱々しいものなんだよ、この国は、ここに暮らす人々は。
その花の命を摘み取り、花のために涙を流す、それが、この国の王族の務め。望もうとも、望まずとも、それでも」
こんなことまで話すつもりじゃなかった。この姫といると、どうも調子が狂う。
「…変えていきましょう?私がついている?何を根拠にそう言える!?貴女に、俺の、何が、わかるって、いうんだ…」
なんでだ、なんでだよ、どうしてそんな風に言える?どうしてそう、無条件に俺の味方であろうとする?
なぁ、なんでだ?
何の根拠もないはずなのに、その手を取りたくなってしまうのは、なぜだ
信じたいと思ってしまうのは、なぜだ、
「…言ったな、花嫁殿。その言葉、しかと聞いたぞ!取り消しは出来ないし、後悔したって遅いんだからな!
というか許さないからな!覚悟しておけよ!」
こうなればもう、なるようになれ、行くところまで行け、だ!
「俺が、太陽…はー貴女は本当に可笑しなことを言いだす…。……それを言うなら太陽は貴女だろう、花嫁殿。
っあ~~~恥ずかしいことを!言わせるんじゃない!」
太陽の沈まぬ我が国に、我が心に、光を差し込ませた太陽が、月の沈まぬ国から来た姫だというのは、なんと可笑しな話だろうか。
それでも、この国で、こうして貴女と出会えたことを、幸せに思うよ。ミア。
◆姉:オリガ・クラースナヤ【illust/65796696】
「…なんでも。なんでもないです姉上。……はぁ~…姉上のそういうとこがずるい…。…貴女が、姉上が、羨ましいんですよ俺は。
姉上は堂々としていて、俺よりたくさんのものを背負っているはずなのに、それなのにどこまでも自由だ。…謝らないでくださいよ。
ただの不出来な末弟の愚痴です、聞き流してください。…だから言うつもりなかったんだよなぁ~…」
「それなら、貴女は、オリガ・クラースナヤは、この国の誇りですよ。…恥ずかしいことを言わせないでください」
(誰かのために、何かのために生きてきた、歩んできた貴女のその姿を、誰が責められよう。そんな貴女に、自慢だ、誇りだと
言って貰えるような資格は俺にはないんですよ。投げ出したいのに、その勇気がなくて、逃げたいのに、この場所に
いられなくなるのが怖いんですよ。どうしようもない弟でごめんなさい、姉上)
2017-11-13 15:38:27 +0000