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母は腐臭を狩る使命を帯びていた。
腐臭の中には人の形を成したものもおり
それを狩った母を見て人は「人喰いの魔獣だ」と罵った。
その度に母は「いいのよ」と俺をたしなめた。
何が良いものか、母が居なければ彼らは……
そうして人に植え付けられた恐怖はいつしか母自身を襲い始めた。
俺を抱えた母に逃げる暇など幾分もなく、人を振り切った頃には母は絶命しかけていた。
母はそれでも、今際の際にも「それでも人を守り続けて、人はとても……」
逃げ延びた洞窟で聞いた最期の母の言葉の続きは、そこを住処としていた腐臭によりかき消された。
それが「復活者」だと知ったのは少し後のことだった。
俺は母だったものを砕き潰し、慟哭した。
母への恨みと彼女の負った使命をせめて代わりに果たすと誓うように。
まだ俺は母が言いたかった言葉の続きを知らない。
きっと知る日は来ないだろうと思った。
俺も同じく、腐臭を狩れば「人喰いの魔獣だ」と言われ続けたから。
しかし今はどうだろう
その言葉の続きは、この事であったのだろうか。
答えを知った時、獣の誓いは解きほぐされていた。
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こちら「illust/64761486」「illust/64810352」「illust/64774808」で助けていただきまして近衛騎士団アルカンシエル「illust/63985323」さんちにご厄介になっているような場面です。
こちらの作品「illust/64758653」とも関係がございます。
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2017-09-07 22:00:10 +0000