うづら九十九路の羅針盤（illust/60865485）、第四期もよろしくお願いいたします。
◆ 失せ物預かり所 ウィンテルスコーグ ◆
「いらっしゃい。あの子がお待ちかねだよ、ミスター」
羅針盤：明星 75pt：強靭0/知能50/器用20/機敏0/幸運5
持ち主の手から離れた遺失物を蒐集し、保管する「失せ物預かり所」。
失くしたものの価値に見合った対価を支払えば、いかなるものでも―命以外であったなら―その手に取り戻すことができると言われる。
有形無形を問わず集められた遺失物たちは、魔女から陳列用の姿を与えられ、薄暗い店内でいつ訪れるともしれない持ち主の迎えを待つ。
ヴェガリアスタの第二コアたるオートマタの来訪、起こり得ぬはずの春の萌芽。
――以降、店内で「目覚める」ものが増えた。
誇らしげに自らの来歴を語るもの、かつての主への怨嗟を洩らすもの、
未だ声を持たないものたちも、その存在を主張するようにさざ波のような音をたてはじめた。
とはいえあまりに微かなその声は店主以外の耳に届くことはなく、店内は変わらず冬の森のような静けさに包まれている。
◆ 店主：リュッカ=シェーナ・ウィンテルスコーグ ◆
「右から15番目の通路を真っ直ぐ、1000と1の棚を越えたらそこで左に曲がって、
つき当たりの棚の上から4段目。…ま、ざっと見積もって三日三晩歩けば着くかなってとこ。
大切なものなんだろう？なら、ちゃんと自分で迎えにいくといい」
一人称：僕 二人称：ミスター、ミセス、貴方 等
先代店主が店を去る際につくり出した、当代の失せ物預かり所店主。見た目は十に満たない子供。
目覚めた瞬間から店主に必要な知識の全てを持ち、遺失物を蒐集し、客人を迎える。
本人曰く、先代よりはかなり性格はいい、とのことであるが、どうやらその性格の良さは専らモノにのみ向けられるようである。
好きなものは苺のロールケーキ、嫌いなものはニシンのパイ。
彼は日々棚を巡り、目覚めた遺失物たちの声に耳を傾け、その言葉を書き留める。
「別に意味があると思ってやっているわけではないけれど。この子たちの愚痴にただ付き合うのも手持ち無沙汰なものだから」
ひとしきりペンを走らせると、決まってオルゴールの螺子を巻き、目覚めたものの傍らに置く。
「何も聞こえないだろう？星の声を採譜したものだそうだよ。嘘か本当かは知らないけれど」
「だけどこの子たちはこれが好きなようだから」
そう呟いた店主の声はまたたく間に立ち並ぶ棚と遺物の間に染み込み、後にはやはり、冷えた空気と静寂がわだかまるのみである。
「もうしばらく眠っておいで。おやすみ――良い夢を。」
◆ 前期：ソーヴァ・ウィンテルスコーグ（illust/62188042）
◆ 前期絆：少女のための研究所ヴェガリアスタ アルフェラッツさん（illust/62336496）
「先代たちはどうしてるかって？――さあね。
『めでたしめでたし』のその後を詮索するのはね、無粋というものだよ」
◆前期絆今期：旅人のための研究所ヴェガリアスタ シリウスさん（illust/62837348）
（貴方が探すものは、ここではけして見つからない。僕の手から貴方に渡せるものは何ひとつないって、分かってる。）
「それでもね、貴方が僕の手に載せてくれたもののいくらかでも貴方に返せていたらいいのに、って思うよ」
「…こっちの話。シリウス兄さんがこうやってケーキを持って訪ねてくれたのは何度目か数えようとしてたところ」
「僕はオートマタじゃないから、いちいち日記をめくらなきゃならないね。でも何度目だって、今日のケーキがいちばん美味しいよ、兄さん」
◇ウィンテルスコーグの魔女
失ったものへの執着心を介して他人の運命に干渉する者達。（ひと括りに「魔女」と称されるが女性以外も存在する。）
店主は同時代に1人しか存在せず、代替わりの際に店内の遺失物及び対価、
及びそれらに関し歴代の店主が知りえた情報の全てを引き継ぐ。
代により蒐集方針や保管方針に多少の差異はあるが、「命」はけして扱わない。冬の森の番人には手に余る代物である。
扉を開けるのなら、注意することだ。迎え出たのが子供であったとしても――その青い翼が幸運を運ぶとは限らないから。
「僕の名前はね、“幸運の星”って意味。先代も随分日和ったものだと呆れるべきか、それとも強烈な皮肉と受け取るべきかな。
なんにせよ、星ばかり見上げて足元が疎かにならないように気をつけることだね」
☆5/5 素敵なご縁をいただきました！
満腹の国ソノピノ プロキオン・ピノさん（illust/62666478）
――さあ、その選択のお味は如何に。権もスパイスも振るうは同じ、おあとはコックの腕次第。→novel/8105837
2017-05-04 08:08:51 +0000