【九十九路】ソノピノ【第四期】


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4. Viandes
満腹の国・ソノピノ 当代一番星 プロキオン・ピノ
羅針盤:雷霆  100pt ( 強靱:17 / 知能:31 / 器用:24 / 機敏:10 / 幸運:18 )
前世代代表 玻璃 ( illust/62191776 / 羅針盤:雷霆 / 50pt ) 魔導の先生・お手本
前世代絆相手 ドグ=シュデル帝国 フリーデル ( illust/62436849 / 羅針盤:雷霆 ) 武術の師匠・ヒーロー
前世代絆相手今期 ドグ=シュデル帝国 エミリア ( illust/62665135 / 羅針盤:太陽 ) 幼馴染み・概ね妹
              九十九路の羅針盤(illust/60865485)
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◈国家 ソノピノ(Sono Pieno)
◈代表 "一番星"プロキオン・ピノ("Primo" Procyon Pieno)

◈古きを得る絆を得ました。
失せ物預かり所ウィンテルスコーグ リュッカ=シェーナさん(illust/62732372

 それは一番星に選ばれた夜のことだった。
 仲間たちと祝杯に酔い、誰もが寝静まった実家のドアを開けるとーー
 薄暗い店内にぎっしり並ぶ古い品物たち、そこにあるべき日常とは程遠い異空間。
 失せ物預かり所、ウィンテルスコーグにたどり着いた。

 酔いは一瞬でさめたかな。
 店の真ん中に羽の生えた子供がいたんだぞ?
 あの世からのお迎えが来たかなって思ったって仕方ないだろ。

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「"あの子がお待ち"って言われてもなぁ……
 どの子がお待ちかまるで心当たりがないぞ??」
 店との"道"は実家の玄関と繋がってしまったらしく、最初の夜以来しばしば店に赴くことになった。なにせ、普段暮らしている家だ。仕事を終えて帰宅すると天使が待ってるなんてことがそこそこ高頻度で起これば"失せ物"探しも真剣になる。
「思いつく限り身の回りを探してみたけどなくした物はないし……」
 貴金属の並べられた硝子棚の中、古い王冠と目があった。瞬間一つの心当たりが浮かび上がる。
「……ああ」
 一つ、遠い昔に失ったものがある。
「王権か」
 その言葉に店主が笑みを濃くするのを俺はたしかに見た。

 それから。
 ゆうに一ヶ月は考え込んだだろう。
 いくつかの決心をした夜、待ってましたとばかりに扉はあの失せ物預かり所に繋がった。

「382年前、我が家が失った王権を取り戻させてもらおう」
「ソノピノの王権は、王家直系の長子かつ、それを望む意思がある者に継承される。
 いまこの時代、王権を望むのは俺だけだ。
 親父も爺さんも、そのまた先祖も代々王権を放棄したことを心から納得してる。再び取り戻そうなんて夢にすら見ていないだろう」
「だが、俺はこの手に王権が欲しい。
 この意思を根拠に、王権は俺にこそ返されるべきと主張しよう」
「対価は佳肴で支払う。
 俺がこれから作る料理の中でも、一番星の栄誉を得るほどの料理は全てこの店のものだ。
 王権が手に入るのなら、小さな星なんて求めもしないさ」

 ーー翌年の収穫祭、俺の料理は出来上がった瞬間霧のように搔き消えた。
 その年は当然、それから先の生涯一度として、プロキオン・ピノの名が一番星の栄誉を得ることはなかった。
 そして俺自身祭の日から数日間、ソノピノの国から一切姿を消した。

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「ーーで。支払は一番星の料理であって、コック本人までは注文してないけど」
 なんでいるの?暇なの?そう言ってはばからない目とほの暗い店にいる。
 これが収穫祭の日の新しいお決まりの光景だ。
「だって俺の料理、お前ひとりで食べられる量じゃないだろ」
 保存するにしたって俺がやった方が早いし。
 切り分けてサーブしてやると、リュッカは何かが詰まったような声だけ返して料理をほおばり始める。
 素直じゃないが、厭な奴ではない。
 付き合いの中のかなり早い段階からそう認識していた。

「結局さ、どんな気分なの?」
 取り戻した王権の匙をすぐ一番星の勲章に加工した。
 王権は祝福となり一番星はいままで以上に敬意と羨望を集めたが、俺自身は今後一切その栄誉を手にできない。
 そうとわかってウィンテルスコーグの店と取引をした。
「欲があるのかないのか、理解に苦しむよ」
 リュッカは心底そう思っているようだった。

「俺にはものの声は聞こえないからなんとなくだけどな」
「呼ばれたんだと思ってるんだ、王権自身に。
 政治的にはもう王はいらなくなったうちの国だけど、心の王は必要だろ。
 迷った時に見上げる、行くべき先へ導いてくれる光が。
 その役割の担い手として新しいステージに立てるくらいは、一番星もそれを選ぶ民も成長してきた」
「だから、呼ばれたんじゃないかな。
 もう一度新しい時代を始めるために」
「ーーそう思ってる」

「つまりどんな気分っていったら、そりゃいい気分だよな。
 国一個背負う力そのものに与えられた役割を見事こなせたんだ。
 毎年最高の肴を用意して、友達の家に上がり込んで自慢したくなるくらいは最高の気分だぞ」

「あ?なんだその顔。
 酒と話でより料理をうまくしてくれるスパイス。
 俺は、そういうのを友達って言うんだ」
「お前のツッコミはキレがあってスパイシーだからな。
 一番のお気に入りなんだぞ、リュッカ」


◈既知関係
 朔月くん(illust/62687079) 料理と武術の師匠をさせていただきます
「幽霊がお客にくるってきいた時はうちの評判がついにあの世までって思ったけど、正体見たり弟子志願とはなぁ。
 まぁいいや、見たいものがあるなら気がすむまで見ていきな。
 俺にも憧れの師匠はいたからな。"そっち"の気持ちもよくわかるんだ。
 歓迎するよ朔月、いっぱい食ってでっかい男になっていきな」

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2017-04-30 15:40:42 +0000