【新津今昔物語】前illust/56443888 次illust/56647581
昔々、新天地が閉ざされるよりずっと昔の事でした。
戦で命を落とした恋人の大連illust/56065757を弔う為、
尼となって地上へ留まり続けた天女の若那illust/56066912は、五百年の年月を生きました。
若那の心には連への想いがいつまでも消える事なく鮮やかに残っておりました。
やがて若那も歳を取り、地上の命を終える時がやってまいりました。
年老いた若那は初めて連と出会った真珠の岬へ赴いて、
そこでかつて連を失い嘆き悲しんでいた自分を慰めてくれた大貝の女神illust/56369198へ祈りました。
「いつか、いつか、あの方が、ひょっこり帰って来て下さるかもしれないと…
そんな叶いもしない事を、この長い長い年月の中、願い続けて参りました。
もうわたくしの命もあと僅かにございます。それでも夢を見るのです。
やんごとなき方、大貝の御前さま…、若那の最後のお願いにございます。
わたくしのこの想いを、どうぞあの方に届けてください。
いつかいつかあの方の御霊が、わたくしを求めてくださいましたならば、
どうかあの方とわたくしを、今一度逢わせてやってくださいませ…。」
そして若那は小さな壷に連から貰った歯を入れると、そっと尾原の海へと流しました。
朱色の壷は波間を漂い、やがて海の底へと沈んで行きました。
//第四章「新津新天地編」illust/55643642、オハラ国illust/55643541
//第三章「神々の試練」illust/56205940
//テーマ企画【illust/49662235】
2016-04-29 20:29:12 +0000