⋯ま、またアンタ⋯

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北アフリカに着くと、ピエールは軍用機から車を降ろす。車を停め、マリアは外に出ると、特有の砂っぽい空気が出迎えてくれた。既に夜になっているため、砂漠の空気は急激に冷えてくる。
ピエール「さて、司令官さんはどこだろう?」
同じように車から降りたピエールはあたりをキョロキョロと見渡す。すると、あるテントから軍服を着た男性が出てきた。
ピエール「あぁ、司令官殿。探しました」
出てきた男性にピエールは敬礼をする。マリアも、それに倣って敬礼をした。
司令官「ピエールご苦労さん。⋯すまないね、戦闘激化しそうだったから助けを呼んだが、傭兵の兄ちゃんが片付けちまった」
マリア「あら、そうだったんですか」
ピエール「ということは、出番無しですか」
そこまで話すと、司令官は元々いたテントをチラッと見る。
司令官「ところが、そうでもないんだ。⋯君かい?ピエールのフィアンセってのは」
マリア「えぇ、マリアです」
司令官「そうかそうか。それなら手間も省ける。⋯マリア、ピエール、こっちに来てくれ」
マリア「?」
マリアとピエールは、案内された灯りの漏れるテントに足を向けた。

マリア「⋯なんでいるのよ」
テントの入口幕を上げ、中に入った二人を出迎えたのは、なんとマーヤ。
マーヤ「⋯マリーじゃない。どうしたのよ」
マリア「どうしたもこうしたも⋯」
ピエール「戦闘が激しくなりそうだから呼ばれたんです。とりあえず、ここ座りますね」
焚き火の周りを取り囲むベンチ、マーヤの向かいにピエールは腰掛けた。マリアはマーヤの右隣、司令官は左隣にそれぞれ腰掛ける。
司令官「まあ、簡単に言ってしまうと、再び捕らわれたんだよ、この娘」
マーヤ「へへ⋯すごいね、2回目だって」
マリア「笑い事じゃないわよ⋯。大丈夫?酷いことされてない?」
マーヤ「なんか薬を首元に打たされた。⋯そこからなんか、えっちなことしたくてたまらなくなってる。傭兵のお兄さんに一度鎮めてもらったから、今は大丈夫だけど」
マリアは思う、(これ、あいの時と同じだ)と。
(参考:あいの時→ illust/117196406
司令官「酷い連中さ。早期発見出来たから、この前のようなことにまではなっていないが、同様に薬を打たれた娘が数人いる。こっちの病院に問い合わせたが、治療をするための専用の設備が無いとのことだ」
ピエール「つまり、本国に移送して治療、と?」
司令官「そういうことになるな。⋯大丈夫だとは思うが、一応決まりでね、マリア、この娘を含めて身体チェックを頼めるか?簡単なのでいい」
マリア「まあ、ざっと見た感じ女性の方いませんでしたよね。⋯わかりました」

マーヤ「⋯ごめんね、マリー」
首元に打たれたであろう傷口を探しつつ、危ないものを所持していないか確認していると、しおらしくマーヤが話しかける。
マリア「でもなんでまた⋯。そんなに治安悪いの?ここあたり」
マーヤ「今までそんなこと無かったんだけどなぁ⋯。わかんないけど、まぁ、この地区の治安っていうのか⋯今回は地区が狙われたわけじゃなくて、学校が狙われたの」
マリア「学校?」
マーヤ「うん、私の通う女子校」
マーヤのスマホで位置を確認する。⋯確かに、目と鼻の先に学校の施設があった。
マリア「あー⋯その方が手っ取り早く若い女性を集められると⋯」
マーヤ「そうかもしんない。放課後だったんだけどさ、あたしは例の日本語勉強してて、残った女の子みんなさらわれた。女子校だからね」
マリア「あまりに大勢だと囲いきれないから、人数が少なくなったところを襲ったと」
マーヤ「⋯多分そうだと思うよ。⋯ぁ痛っ、そこっ!」
マリアは刺されたであろう痕跡を見つける。⋯あいの時と同じ手口だ。
マリア「⋯はぁ。わかったわ、もう一回フランス行きね」
マーヤ「そっかぁ⋯。目標半ばなんだけどなぁ」
マリア「マーヤ、変わったわね。前までどんなことしてでも行きたがってたじゃない、フランス」
マーヤ「そお?⋯だってさ、マリーと約束したじゃん、ちゃんと語学を会得したら正式に留学させてもらえるって」
マリア「そうだったね。⋯傷も確認したし、飛行機は明日だから。両親にはお話した?」
マーヤ「さっき軍の人と一緒にお話しした。まあ、しょうがないよ、だって。だからマリー、ごめんだけど、またお世話になります」

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2024-10-22 03:00:44 +0000