前→ illust/123471060
※この話はフィクションです。あしからず。
フランス、ニース郊外の工場。
マリアとピエールは、3機のVeと小隊を連れ、例の武器工場の制圧に乗り出していた。
(参考:例の武器工場→ illust/122600081 )
マリア「⋯フェイズ3セット」
Ve2号機「ラジャー」
レインコートを脱いだ2号機は、突撃するための銃を抱えると工場に出撃していく。電力などを補給するため代わりに帰還した1号機と3号機を迎え入れると、雨でびしょ濡れだった。
ピエール「⋯どうですか、初めての指示役は」
車両にピエールが入ってきた。マリアは2体の01Veにタオルを渡している。
マリア「⋯難しいわ。最初が雨だと特に」
ピエール「そんなものです」
戦闘自体は問題なく進んでいる。今回は部隊が集結しているような場所での大規模戦闘ではなく、単純にこの武器工場を制圧するためだけだからだ。
マリア「けどさ、あたしが見つけたこの工場も黒だったとは⋯」
ピエール「蓋を開けたら真っ黒でしたね。むしろここから北アフリカに残党勢力が、この前よりも大きい規模で活動中ってのもあれですし」
(参考:見つけた工場を確認する→ illust/122600081 )
二人は2号機から送られてくるカメラのリアルタイム映像をモニターで見ていく。いつものように丁寧に狙撃銃でゴム弾を叩き込んでいくのは、途中まで見事だったのだが⋯
ピエール「⋯ん?」
普段01たちの陣頭指揮役をしているピエールは、モニターを見ていて違和感を感じた。今までは百発百中と言って良いほどの命中率を誇っている01だったのだが、今日はだいぶ外している。⋯何かあったのか?
ピエール「1号機と3号機すぐ出せますか!?何かおかしい」
マリア「補給は?」
1号機「現在バッテリー43%、弾薬装填は完了しています」
ピエール「⋯いいや、出しちゃおう。1号機と3号機は、2号機のフォローに」
Ve2機「「ラジャー、出撃します」」
20分後。
1号機「⋯制圧完了しました。バッテリー残2%」
マリア「よし、後は小隊にお任せして、3機帰投して」
3機のVe『ラジャー』
モニター前では、マリアとピエールは大きくため息をついた。
ピエール「⋯ふう、なんとかなりました」
マリア「危ないことするなぁ。ピエール、どうしたのよ一体?」
ヘッドセットを外しながらマリアは問いかける。ピエールは操作盤のモニターを見ながら、録画した戦闘データを確認している。
ピエール「⋯マリア、ここをちょっと見て」
モニターには先ほど、急速充電がままならない状態でVe2機を出撃させた場面が映し出されていた。見ると、銃撃戦が行われているようだ。
マリア「⋯これが?」
ピエール「後で現物を確認しますが、被弾してまして。後、狙撃精度がかなり下がっているんです」
マリア「え!?」
急いで巻き戻す。⋯確かに狙撃されている。メインカメラ以外の装甲が厚い部分だったため、戦闘自体に問題はないのだが⋯
マリア「動きが鈍くなってる⋯?」
ピエール「その通り。あのまま2号機だけで戦っていたら、いくらバッテリーがあっても、あの時の二の舞です」
(参考:あの時→ illust/118733350 )
マリア「雨だからじゃない?軌道が逸れるとか、カメラが濡れて識別がうまくいかないとか」
ピエール「それだけならいいんですが⋯」
そこに、2号機が残り2体を引きずりながら帰投した。⋯どうやら、本格的にバッテリー切れを起こしてしまっていたようだ。
2号機「帰投しました。充電を要求します」
マリア「端子拭き取って!ピエール、手伝って!!」
マリア「はぁ⋯やれやれ」
Ve3機は充電に入っている。残りは部隊に任せた二人は、帰路についていた。
ピエール「何処かでテストしなきゃなりませんね、Veたち」
マリア「今までこんなことなかったのに。メンテナンスもしてるはずよね?」
ピエール「研一さんたちからいただいた、セットしたチェックは毎回確実にやってます。併せて消耗部品もきちんとしてるはずなんですけど⋯」
マリア「それだと、⋯一度さ、俊たちに見てもらった方がいいんじゃない?」
ピエール「かもしれません。むしろ、それが無難でしょうね。となると、日本に送る?」
マリア「それよりもさ。ピエール、今年のバケーションって、まだよね?」
ピエール「⋯まさかマリア!?」
そこまで話した時だった。車に付いている軍用無線が入ったのだ。
ピエール「こちら情報処理班ピエール。応答」
管制官『ピエールさん、マリアさん、北アフリカにそのまま飛べますか?例の残党が攻撃予告をしてきたんです』
マリア「現在マルセイユまで残り15キロの高速道路だけど。どうすればいい?」
ピエール「⋯マリア、そのまま飛んでもいいかい?」
マリア「もちろん。Veが必要ってことでしょ?」
管制官『助かります。軍用機が出るとのことなので、そのまま空港に向かってください。Veは?』
マリア「現在充電中。空っぽの電池状況だから、そのまま車も乗せられない?」
管制官『状況確認中⋯大丈夫そうです。そのまま後部ハッチから載せてしまってください』
ピエール「わかった、⋯軍用機の中に、シャワーはあるかな?」
マリア「⋯ピエール!?」
管制官『雨の中の戦闘だったと聞き及んでおります。わかりました、マリアさん用ですね』
ピエール「はい、お願いしますね」
通信が切れる。ピエールは、車のアクセルを踏み込んだ。
マリア「別にいいのに。ずっとこの中で指揮してたんだから」
ピエール「ま、フィアンセには綺麗でいて欲しいですから」
マリア「まったく⋯。んで?そのフィアンセと日本に行くつもりは?」
ピエール「俊さんに連絡しといてください。そうですね⋯来週あたりでどうでしょうか」
マリア「そうこなくちゃ」
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2024-10-20 03:01:11 +0000