意識を失う少し前に見えた、閃光と斜線の先の小さな騎士
その光景に、何も考えられないほど弱り切っていたにも関わらず「頼もしい」と感じることは辛うじて出来た。
----------
唐突に意識が鮮明になる。
私は、暗い空間で佇んでいた。
目の前には愛剣に埋め込まれた大きな宝石が浮いていた。
-時は来た。-
瞬きが言葉になり、脳裏に響く。
「あなたは、誰ですか?」
-コレなるは【応えしもの(アンサラー)】名は【フラガ】-
-【収集家(コレクター)ライト】の娘よ。
汝はようやく、他人を【頼る】という選択を取るようになった。
今度はコレも頼ってみせよ。-
「頼る?どうして?」
-【頼る】とは【願う】ことである。
コレは、【願い】に【応える】ものである。
故に、汝が頼るのを待ち続けていた。-
「お父様がそれを願ったの?私に協力しろ、みたいな願いをしたの?」
-汝の剣となってくれ。それがライトの願いである。
だが、汝は真価を発揮することはなかった。
故に、もどかしかったのである。-
「それは…ごめんなさい。」
「わかったよ。
フラガ、私と一緒に戦って!」
-その願い、受け取った。-
----------
何かが切り裂かれる音に目を覚ます。
「?!」
最初に目に入ってきたのは、巨大なガントレットと迫りくる地面。
驚くまもなく身体を丸め、前転宙返りで脚から地面に着地した。
ガシャン、といつもと違う音が足元から鳴り響いた。
振り返りながら立ち上がると、天敵の輪切りと黒い水たまりが点々と転がっていた。
そしてそこに立つ影が2人。
「…なにこれ?」
握りしめると、巨大な腕が握りしめられる。
自分の腕だ。
脚も何かおかしい。
-竜の爪。コレが本領の片鱗である。-
「剣、どこ?」
-この爪全てが剣である。-
普通の剣は使えないってこと?
「君、大丈夫?」
黒い水たまりの方に立っていた2人が歩いてきた。
竜の少年、アルトが優しく問いかける。
「私?うん、なんか変だけど、大丈夫です。」
「突然目を覚ましたと思ったら、そっけない返事の後速攻であのでっけえやつぶっ潰したり。
普段見る姿とは全然違ってビックリしたぞ?」
1人は知り合いだった。
もふり隊のカルラさん。
-正確には、生存できるようにコレが支えている。
回復魔法を使用し続け、万全となることを推奨する。-
「声?!またあのデカブツか!」
「何処から?!」
2人が警戒する中、私はガントレットを指差した。
「あ、違うよ!こっち。」
「意志のある武器ってことか?」
「さっきのことがあったから、ビックリしたよ。」
誤解は解くことが出来た。
動けるようになったなら、向かわなければいけない場所がある。
その前に
「ところで、カルラさんと…」
「アルトだよ!」
「アルトさんですね?私はリルファです!お二人は魔力を回復できるものって持ってませんか?
ちょっと大会で魔法を使いすぎてしまっていて…魔力が足りないんです。
良ければ譲っていただけないでしょうか?」
----------
こちらの流れ【illust/103668429】【illust/103729367】をお借りしました!
ここからリルファはしばらく剣を使わずに格闘で戦うことになります。
このガントレットとレギンスは一般的な竜より強力な筋力を発揮します。
さらに、爪の部分はいつもの剣と同じ切れ味であり、魔力を浴びているため物理・魔法耐性のどちらにも対応できます。
なお、リルファは剣技はかなり得意ですが、格闘技は喧嘩が強い程度の実力しかありません。
膂力と魔力のみで頑張ります。
なお、体内はボロッボロなので結構危険です。
これから先、リルファは【狂気月食】【illust/103595605】へ向かいます。
こちら【illust/103582749】の流れの前にあたるので、すでに合流したものとして扱ってもらって問題ありません。
お借りしました!
イラスト
迷宮より溢れし悪意【illust/103586899】
キャプション
リレイアさん【illust/102138659】の描写【illust/103668429】
アルトさん【illust/101976622】
カルラさん【illust/101980446】
竜爪リルファ(3P目)【illust/101994505】
2022-12-19 16:00:10 +0000