【華縁】雨夜 利實【四世代目】

食堂
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“人ではないもの”
 

あまり見るんじゃないよ、あんな気味悪いやつ
目を閉じて笑っているように見えるなら間違いだ
笑いながら薄目あけてこっちをじっと見てるんだよ
隙を見せたら海にでも引きずりこまれるんじゃないのかい

「あかるいひかりは 目にささるし やみばかりのかげりは 心がつぶれそうになる」
「このくらいのあかるさとくらさがちょうどよいのです」

「人間も 妖怪も 腹にはいってしまえばおなじ じゃ ないの?」
「だいじょうぶ きっとみんな おいしいよ」
 

華の由縁 illust/96568934

C:。ミ

 
▶伴侶様◀
春秋 葉和様 illust/99567757

闇夜の足元に 小さく 柔らかそうな 灯りを見つけた

「おや 小さなねこさんが 小さな灯りを 持っているんだネ」
「こんばんは お嬢さん ひとりでだいじょうぶ? お話してくれないかい 家のちかくまで 送るよ」

「わたしの母は 蛸だから 綺麗な人魚ではないけれど 人魚よりちから持ちだよ」
「ところで その人魚というのは そこら辺の人面魚とは ちがうのかい? ほかのくにでの人魚は 物語になっているのかな」

「まあ まあ ……ありがとう とてもすてきな灯りだね 少しちからをいれたら潰れてしまいそうだ やさしくもたないとね 大事にするヨ」

「葉和ちゃんは 水が苦手なものの血が流れてるんだね なら海をかんじられるものを とってくるよ きらきらしてて きれいだよ」
「ありがとう すごいね 紙なのに 貝殻と同じかたちになってる 折り紙はしたことないな わたしにも折り方を 教えてくれないかい?」
「さいきんはね きみにもらった折り紙の貝を だめにしたくなくて 陸ですごすことが 多くなったよ」

「そうだね かわいいよ でもそのなんとかという姫君より 葉和ちゃんのほうがかわいいと思うよ」
「葉和ちゃんは わたしの姫君 だね」

「葉和ちゃん わたしはね どうやらきみのことが好きなようなんだ」
「わたしは白い馬には乗ってない やんごとなき身分のだんしでもない でもきみのことを守ることはできるし 綺麗な貝殻や真珠はみつけられるよ」「家族以外はみな同じものだと思ってたけど 葉和ちゃんのことはとくべつに感じるようになったんだ」
「これからずっと いっしょにいて ほしいな」

さて困った、と彼は思った
彼は閉じ込めるか、括り付けるかぐらいしか他者を繋ぎ止めておく術が無いと思っている
両親の仲がよいので物理的に縛り付けなくても一緒にいられるのはわかってはいるが
家族以外の存在にそばに居てほしいと願った事が無いのでどうしたら良いかわからなかった

傷付けてみたいし、逃げられないようにしてみたいけれど彼女に恐れられたり拒絶されるかもしれないと思うととても嫌だった

さて こまった はて どうしたものか

そんなことを思っていたらだいぶ時がたち
子供も生まれようとしている

物理的に縛り付けなくても
意外と心は満たされるし、あまり心配事は無かったなと

彼の心は穏やかなままだった

 
あなたがわたしのはじまり

 
C:。ミ

雨夜 利實(あまや としさね)|男|100cm・190cm|35歳
半妖|衣蛸・人間・二口女・烏天狗
蛸脚は無いが母によく似た色と再生能力、水棲に向いた体を持ち
飛べはしないが四対の計八枚の大小不揃いな羽が頭に生えている
後頭部に二口女の血ゆえなのかカラストンビがあるがとても小さい
遠くで見ると幼子に見え、近付くにつれて大人の姿になっていく
だが人間の血ゆえか人によっては見え方が違うらしい
(最初から大人の姿で見えたり、幼子のままだったり)

C:。ミ

朝はぎりぎり太陽光が淡く届く深海の層に漂い、夕暮れ時に海を出て街を歩き、夜は月の光を浴びながら浅瀬で通りがかる人を笑いながらじっと見ている。

成長は人間の赤子と同じだった。離乳食を食べれる時期に口にできたものは母乳と母やきょうだいの蛸脚だけ。
それでもほんの少ししか飲み食いせず、安定して歩くようになった頃にやっと海水だけは安定して口にできるようになり朝から晩まで飲んでいる日もあった。
母親はそんな彼の発育を心配したが、その心配をよそに体は育ちゆっくりと言葉を発するようになっていった。

本当は特定のもの以外を飲み食いができなかったのではなく、水や野菜・米などを不味く感じて口にしなかった。
美味いと感じるものは生き物の血肉で、知能が高いものほどうまいと感じる舌だった。
優しい父にそれを知られたら悲しむかもしれないと思い黙っていた。
いつしか人の暮らす場所は生き辛く感じ、海に一人かえっていった。時々親やきょうだいの元に現れる。

ゆっくりとした口調で話し、動きもそれに準じているが頭の回転が早く腹の下で思惑を巡らせる性格。
家族以外の人間や半妖・妖怪には一線引いた思考を持っていて誰もかれも食べてしまえば全て同じだと思っている。
それゆえに嫉妬や羨望、慈しみを家族以外には抱けない。要約すると家族以外を見下している。(お嫁様は特別視するようになるので別です)

明るすぎても嫌だし、暗すぎても侘しい。二つが混ざるようなところが心地よく感じる。

 
C:。ミ

父 雨夜涼風様 illust/98743331
「おとうさんはやさしすぎるから 誰かにたべられてしまうかも 鳥籠にとじこめようよ」

母 藤 illust/98817775
「おかあさんはちぎってもちぎってもなおるけど どこか弱い 水槽にいれてしまえばいいかも」

弟 雨夜 雪浪様 illust/99413621
「かわいい雪浪 ふたつの世界にいるおまえが とても妬ましく感じるよ でも わたしはそんなおまえも好きだ」

弟 雨夜 涼麻 illust/99645613
「おやめよ涼麻 おまえは傷のなおりがおそい 自分をいためつけてまで 我慢なんか しなくてもいい」

妹 雨夜 萼貝 illust/99654785
「萼貝はいいこだね あかるいも くらいも まるごと食べておしまい」

C:。ミ

「わたしは腕がもげても首がちぎれてもすぐなおってしまう だから忘れられないきずがない」
「じぶんが味わえないなら おまえをきずつけて 感想をききたいな」

 

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2022-07-01 14:35:25 +0000