◆名前:「七」あらため「なずな」(素敵な名前を賜りました!)
/性別:女/年齢:不詳/種族:飯綱
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◆素敵なご縁に恵まれました!(4/18)
三雲慈丸さん【illust/97652907】
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慣れぬ土地。肩がぶつかったと言い張る男。連れ込まれたのは市街の喧騒も遠い、路地の暗がり。男の数は、いつの間にやら3人までに増えていた。
取って食わんばかりに詰め寄られ、きゅ、と固く瞼を閉じたものの何事もなく。恐る恐る目を開くと、そこには地に伏す男たちを一瞥する人影が。
注意警戒を促す言葉もそこそこに、その人影は、踵を返して去ってしまった。その背を見送りながら、直感めいたものが、頭の天辺からつま先まで駆け巡った。
ああ、自分がずっと探していたのは、「あの人」だったのだ。
「…見つけた。やっと見つけた。あなたをずっと探していたの。
拙の『あるじ』となってくれる、たったひとりのあなたを」
「拙はななつ。飯綱。化け狐と言えば通じるかな。そう、妖怪なの」
「慈丸さま。どうか、拙の『あるじ』になって。あなたにお仕えしたいの」
「…? 『あるじ』となる人を『さま』と呼ぶのの、なにがおかしいの?」
「そういう時代じゃない、と。でも妖怪には時代なんて関係ないの」
「拙は『とあるかた』にお仕えしてきた。でも、暇をいただいてしまった。
主人のために生きてきたのに、とつぜんなにもかもなくしてしまったの。
…このままじゃ生きていくことができない」
「いや。『あるじ』になってくれるのは慈丸さまがいい。ほかの誰もいらない」
「友人…うーん。友人……でもそれで、
慈丸さまがいつか『あるじ』になってくれるのなら、それでもいい」
夜風に乗って、『あの人』の香が鼻先をかすめる。それを追って街を巡れば、いつもと違う衣装と、いつもと違う空気を纏った『あの人』の姿があった。
「慈丸さま、どうしてそんな風に、声色を変えているの?
どうしてそんな風に、まるで知らない人のように振る舞うの?」
「…うそ。あなたは慈丸さま。匂いでわかるもの」
「……とっても難しいお話だけれど、大事なお仕事、大事な想いなのは分かるよ」
「わかった。誰にも言わない。拙は約束は必ず守るから」
感謝を伝える言葉と共にかぶりを撫ぜる手は、無骨ながらも、大きく、あたたかいものだった。
「近頃はね、慈丸さまに『あるじ』になってほしいと、あまり思わなくなってきたの。
でも、慈丸さまのことがどうでもよくなったわけじゃない。むしろ、その逆」
「慈丸さまは『使い魔』としてではなく、『ななつ』として向き合ってくれる。
尽くさなくても、仕えなくても…拙の隣で笑っていてくれる。
それはとても不思議な感じがするけれど、けれど、とってもあたたかい」
「だから、願わくば、このあたたかな気持ちを、ずっとずっといだいていたい。
大切にしていきたい…できれば、それは、ずっと慈丸さまの隣で…がいい」
「慈丸さま…いえ、慈丸さんは、とても立派なおかた。つよくまっすぐなひと。
そんなあなたの隣にいられるのなら、それ以上の幸いはないの」
心にぽっかりと空いた穴が、ゆっくりと満たされていくのを感じる。あふれた想いはあたたかなものとなり、はらりはらりと目頭からこぼれ落ちる。「誰かに仕えなければ生きてはゆけない」と、己が己にかけた呪いが、静かにほどけていった。
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◆性格
大人しくどちらかといえば穏やかで物静か。
口数は多いほうではなく、表情の変化にもとぼしいため、
相手によっては掴みがたい印象をあたえることもある。
隠してはいるが寂しがりな側面も持ち合わせており、
心を許した相手にはぴったりとくっついて離れなくなる、
「これ」と決めた相手にやや執着してしまうという一面
も持ち合わせている。
◆華の由縁【illust/96568934】にお邪魔いたします。
2022-04-16 08:29:24 +0000