色彩運搬列車に運ばれて来る色は誰かが顧みなくなった色

OZA
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(1枚目)
◆「色彩運搬列車に運ばれて来る色は誰かが顧みなくなった色(Paint The World With Second-Hand Colors)」...

(とある旅行者の手記より)
「...この深みのある赤い色は
熱帯地方で生息する甲虫から抽出された色で
需要や使い道も割と多い色なんだけど、
「虫から抽出した」ってだけで
嫌がるお客さんも多いからね、
ウチでは値段もかなり低く設定しているんだ。
別に何の害も毒も無いんだけどね。
この高値の札が付いている緑も昆虫由来の色なんだけど、
こちらはそもそもの個体数が少なくて
抽出出来る量もかなり限られているから
市場でもかなり高値で取引されているし、
ウチでもこれ以上値段は下げられないね。
...大抵は何の感情も帯びていなかったりするから
こっちとしては面白味も無いんだけどね。」

...先程からずっとバス通り沿いの
カラーチップを売っている店の店主から、
店頭に並ぶカラーチップの色一つ一つの
由来や詳細、市場での扱いや位置付け、
その他諸々についての説明を
頼んでもいないのに延々と受け続けている。
店主はまだ少年と言った年頃のようだが、
物心つく前から
『師匠』と呼ばれる人物(どうやら少年の祖父らしい)に
色についての知識や
色と一緒に抽出される感情の色の見分け方まで
叩き込まれたのだそうだ。
店内にはカラーチップの他にも、
自ら塗り直したり染め直したと言う
スケートボードやTシャツ等も取り扱っていた。
本人曰く「見た目は若造に見えるんだろうけど、
そんじょそこらのカラーチップ売りとは訳が違う」との事である。
店の前のバス通りでは、
専用レーンに書かれた音符を
一つ一つ拾うようにして走る
メロディバスから流れて来る音楽や、
すぐ隣の額縁の中に店を構える
砂漠の商人の呼び声、
さらにその隣の青果店では
野菜を求める沢山の客で
賑わいを見せていた。

「...で、この青い色は
今の技術では再現不可能な特別な彩色を施していた
骨董品の壺から抽出した色で
何があったのかまでは知らないけど
憤怒や嫉妬と言った感情の色も大量に混ざっていたりするんだ。
珍しい色である事に変わりは無いけど
そう言う色が混ざってたりするのはよくある事だから、
そこまで高価な値段は付けられないね。
...え?充分高いって?
あのね、お客さん、人の話聞いてたのかい?
これでも―」
店主が何か言いかけたその時、頭上で
大きなタイフォンの音が鳴った。

陸橋を見上げれば、
大量の品物で満杯になった貨車を
長く連ねた色彩運搬列車が、
2台の機関車に牽引されてやって来た。
「何でも最近先進諸国で「ときめかない」と言う理由で、
「ダンシャク」だか「ギンシャリ」だとか言って
どういう意味なんだか全然知らないけど、
とにかく物を捨てるのが流行っているらしいよ。
そのお陰で今、
C.T.W.(Colour-Trash World)中には
主に先進諸国から
かつてない程の量の沢山の物が、
あの色彩運搬列車で運ばれて来てるからね。
その中からどんな色が抽出されて
ウチにどの位入って来るのか
楽しみだな~」
純粋に新たな色を楽しみにしているのか
それとも何やら皮算用でもしているのか
店主はしばらくニヤニヤしていた。

色彩の寄せ集めで出来た
ツギハギだらけのこの世界で、
人々は今日も
空間や心の隙間を埋めたり
綻びを取り繕うかのようにして
沢山の物や色を
求め続けている。
周りの世界の姿がどれ程変わってしまっても、
この世界はこれからもずっと
このまま変わらないのだろう―

そんな事を考えていたら
店主がこちらの顔を覗き込んで来てこう言った:
「...で、それはそうとお客さん、
何かカラーチップ買ってくの?
それとも何も買わないのかい?」

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完成後にA4(210×297)サイズ程に切り取った水彩紙に
水彩絵の具、水彩色鉛筆で描いたもの。

C.T.W.(Colour-Trash World)で取引されている
カラーチップの「色」そのものについて
語っているような絵を
何処かで描きたかった...と言うのがありました。
その為にキャプションの文章も説明的で
長ったらしくなってしまいましたが(汗)、
ご了承頂ければ...と思います。(滝汗)
「クリスマスの夜空の向こうに届ける歌声(Sing For The World That Forget To Sing)」と
並行して描いておりましたが、
他の絵よりも後に回したりしていた為に
大幅に制作に時間が掛かった絵ではあります...。(汗)

(2・3枚目)
【宣伝】
当方が公演チラシを描かせて頂いた、劇団ふぁんハウスさん(http://www.funhouse.ne.jp/)の舞台
「劇団ふぁんハウス 第40回公演「久美美容室物語」」、
来年の2月22日に東京都港区の赤坂区民センターにて上演となります。

劇団ふぁんハウス 第40回公演「久美美容室物語」

【公演日時】
2022年2月12日(土)
(開演時間)
12日(土)16時開演
(15時15分開場)

【場所】
赤坂区民センター 区民ホール
東京都港区赤坂4-18-13  赤坂コミュニティーぷらざ内

東京メトロ 銀座線・丸の内線 赤坂見附駅 A出口 徒歩8分
東京メトロ 銀座線・半蔵門線・都営地下鉄大江戸線
青山一丁目駅 4番出口 徒歩10分
※駐車場はございません。

【料金】
(前売・当日とも)
大人 … 3,000円
中学生以下 … 2,000円
【Kissポート価格】
Kissポート価格・大人 … 2,500円
Kissポート価格・中学生 … 1,500円
Kissポート価格・小学生 … 無料
(Kissポート価格=港区在勤・在学・在住のかた、または障害者手帳等をお持ちのかた)
※証明となるもの(免許証・保険証・社員証・障害者手帳等)をご持参ください。

※チケットは日時指定、全席自由席です。
※未就学児のご入場はご遠慮いただいております。

※公演についての最新情報は劇団ふぁんハウスさんのHP(
http://www.funhouse.ne.jp/)にて掲載・更新しております。
ご来場前にご確認下さいますようにお願い致します。

※上記の情報は劇団ふぁんハウスさんの公演詳細のページ(http://www.funhouse.ne.jp/archives/1639)より抜粋致しました。

消毒・マスクの着用等感染対策の上で
お越し下さいませ。

※12月31日追記:公演日時を22日と記載しておりましたが、12日に修正致しました。
 大変失礼致しました。

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本投稿をもちまして、
この場に於ける2021年最後の投稿とさせて頂きます。
今年も絵を見て下さった皆様、誠に有難うございました。
良いお年をお迎え下さいませ。

#C.T.R.#ワールド#traditional#Train#railway#locomotive#colorful#Locomotive#重連#舞台

2021-12-30 11:56:38 +0000