✿愛しい花の食べ方【illust/90826827】
「…私はしがない文筆家だよ。作家と言われるほどのものじゃない」
「母は知らない。父は早逝してしまってね。恥ずかしながら家が荒れ放題なんだ」
✿ラフィール・グートハイル
男性/26歳/179cm/花食
名ばかりの下級貴族。
母は物心付く前に、父は数年前に逝去しており、今は広い家に一人で暮らしている。
裕福な親戚筋にはあまり厚遇されていない。
残された遺産を管理しながら、知人の伝手で文章を書いている。
そのほとんどは教本や写本、古文の現代語訳などだが、ほそぼそと小説も書き溜めている。
父も花食であり、かつては花も自家栽培していたが、年老いた庭師が身を引いて
からはそれらが荒れ放題になっている。
品行方正で穏やかだが、自己表現が苦手なため冷たい人間に見られることが多い。
性根は穏やかであまり欲がない。
両親についてのある噂が元で花食であることに引け目と罪悪感があり、
そのためか意見を飲み込みがち。
…誰かが言っていた、僕の母は花蜜で、父がその血を吸い尽くしてしまったから死んだんだと…
✿素敵なご縁をいただきました!(8/18)
トーリさん(illust/91901275)
その屋敷を訪ねたのは、「春夏秋冬を題材に教本または小説を書いていただきたい」と他でもないその屋敷の主から依頼があったからだ。
よく整えられた庭は、自宅のかつての庭を思い起こさせる。
季節ごとに美しい花をつけるようによく整理され、いろいろな種類が見て取れた。
…そして、大抵庭には「彼女」がいた。
「…やあ。今日は新しい花を見繕ってきたのか?」
表情の乏しい彼女に最初こそどう関わっていいものか戸惑ったけれど、帰ってくる言葉はいつも率直で飾りも偽りもない。
その真っ直ぐさと未熟さが気にかかって、つい声をかけてしまう…花蜜だと知っていながら。
「この花…父が好きでたくさん植えていたな。
…ああ、この前の教本に書いたね。読んでくれたのか…ありがとう」
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「独り立ち、か。あてはあるのか?
いや、やはり足がかりがないとどんな危険があるかわからないだろう
…それなら、まずはうちに来てみたらどうだ?」
彼女の無垢さは庭の中でこそ守られるもので、外においては保証など一つもない。
ただ、手助けができればいいと思ったのだ。
…浅ましくも、僕が傷をつけかねない最たる者でありながら。
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トーリは自宅においてもよく働いてくれた。
手つかずだった空き部屋もきれいになったし、荒れた庭も少しずつ以前の様子を取り戻している。
一度青い顔をして外出から戻ってきたことがあったのをふと思い出して、やはりここに招いてよかたっと心の底から思う。
と同時に、自分が彼女を傷つけるようなことがあってはいけないと強く感じた。
それでもやはり、本能というものには逆らえないのか、ふわりと吹いた風で舞ったその香りに一瞬我を忘れた。
無意識に伸ばされた手が彼女に触れる直前で我に返る。
その戸惑いで硬直してしまった手のひらに柔らかいものが触れた。
トーリが自ら頭を差し出してきたのだ。
「…すまない」
そうとしか言えずに手を引っ込めて、戸惑いと傷つけてしまうかもしれない恐れと…それから、ほんのりと胸に宿った暖かさを自覚する。
本当に愚かなことに。
…僕は彼女に触れたかったんだ
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「…母は、花蜜で父に血を吸いつくされて死んだ、と昔親戚が噂しててね。
君を避けていたわけではないんだ…いや結果的にそう見えてしまうことはあったかもしれない。
君を守りたいとこの庭に呼んでおいて、いざ側近くにあると恐ろしくなった。
僕も父のようになってしまうのではないかと。
トーリ、僕は君を傷つけたくない。幸せであってほしい。
でも、同じくらい君に触れたいと思う。
僕が恐ろしかったら逃げてくれて構わない…だけど、どうか僕の側にいてほしい」✿申請について
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2021-08-14 14:17:55 +0000