【YUBI】ルーナ【親指姫】

あこ
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YUBI【illust/87999821
こちらの素敵な企画に失礼します。
▽ルーナ/150㎝/14歳/女/親指姫
▽一人称:私 二人称:貴方 三人称:(ツバメ、親指姫)名前+さん(モグラ)名前+様

『…優しくしないでください』(…貴方を信じてもいいの?)

▽元貴族(伯爵家の一人娘)。2年前、叔父に事故を装って両親を殺され、騙されて無理矢理ガーデンに送られてきた少女。
それ以来優しい言葉や大人の男性が少し怖い。人を信じる事に臆病になっている。
本名はルーナ・シャルロッテ・ガーランド。ルーナとしか名乗りません。
基本敬語、問われた事にははっきり答える方。モグラの方に歌を請われたら歌いますが(聞かせるためとしては)自分からは歌わない。
物静かで控え目だが、ガーデンに来る以前は微笑みをよく浮かべている娘だった。

🌼またもう一度信じる事ができた、優しいただ一人の方
レオ・ハルフォードさん【illust/88863693

*****
「──ついてきな!俺が連れてってやる!」
──その人はそう言って私に手を伸ばした。

*****
…優しい人は怖い。家族ごと愛してくれているのだと思い込んでいた叔父は、両親を失った私をだましてここに売り払って行ってしまった。
今更外に出て何になるのだろう。私の頭を撫でて、私の焼いたお菓子を美味しいと食べてくれて、私の歌を好きだと言ってくれたお父様もお母様も、この世界のどこにもいないのに。

─ある日の図書室の片隅、誰にも見つからないと思っていた私の空間で、使用人であるその人は私にこう囁いた。
「外に出る手段はあるの」
真剣な瞳のまま、私の手を握る。
「手紙を書いてくれれば私が送るわ」
…どうして?と首を傾げる。この屋敷からは出られない。いいえ、『お客様に買われたら』が唯一の手段だと教わっている。
「…文通みたいなものよ」
文通、とその人の言葉を反芻する。手紙を書く。それは懐かしい響きだった。
お仕事で会えないお父様に綴った手紙。それに返事をくれたお父様の手紙も、お父様やお母様にもらった大切なお人形も、庭師の方が育てた美しい薔薇園も…今は全部思い出の中にしかない。
けれど外の誰とも知れない人に手紙を書く、というのはどこか少し─忘れていた感情を思い出させるものだった。

*****
返事よ、と渡された手紙には相手の名前が記されていた。
「レオ、さん」
『貴方は誰ですか』と恐る恐る書いた失礼な手紙に、その人は丁寧に返事をくれた。
私に手紙の事を伝えてくれた女性は、これは絶対に秘密だ、と言っていた。それは私にもわかる。ここはとても恐ろしいところだから。
そんな中で名前を記すことがどれだけ危険な事かくらい、分かっていた。
分かっていて─…私は手紙の先の人に問うたのだというのに。
「どうして?」
貴方はどうしてこんな危険なことをするのですか?
貴方は怖くないのですか?
今後は「ハル」と書いてほしい、と書かれた手紙を手に、私は途方に暮れた。
(危険なら…返さないでいいのに)
それでも手紙は嬉しかった。─…嬉しいと、思ってしまった。
優しい人は怖いと思っている。だけどこの手紙の人の事をもっと知りたいと、私は思ってしまったのだ。

*****
(ふふ、『ハル』さんったら…)
街の商店のおじ様の所の猫が木から降りられなくなっていたのを助けたとか、近所のおば様に美味しいおやつを分けてもらっただとか。それがとても美味しくてお嬢さんに食べてもらえたらとか。
私が知らなかった外のことを『ハル』さんは楽しそうに綴ってくれた。
まるで交換日記の様なやり取りが何度か続いて…私はその手紙を待ち望んでしまうようになっていた。
一つ年上の、男の子。きっと会ってお話したら、私の作ったお菓子を食べてくれたら…その妄想はとても楽しいものだった。
(…でもそれは)
図書室の誰も近寄らない場所で私は本を読みながら『ハル』さんの事を考えていた。
(私を助けるために)
ページを捲るだけの本の文字は、何も頭に入ってこない。
昨日もらった手紙を思い出す。『君と外の世界を歩いてみたい』そう書かれた文章を何度も指でなぞっていた、私。
私もレオさんに会ってみたい、けれど
(『ハル』さんを…レオさんを、傷つけるかもしれない)
それがとても恐ろしいのだと、私は小さくため息をついた。

*****
『これ以上お嬢さんのような人を増やしたくはない。これは優しさじゃなく、俺のエゴでもあるかもしれない。だからお嬢さんには、自分の心、自分の気持ちを一番に信じて欲しい』
『その結果手を伸ばしてくれたなら、俺は必ずその手を取る。なくなったものがあるのなら、また一から作っていこう──…一緒に。』
そう記された手紙を目にして息が止まった。
震える手で手紙を抱きしめる。
何通目かのお返事。そこに書かれた文字が私を優しく包む。どうしてこの人はこんなにも強いのだろう、優しいのだろう。
貴方の言葉を、自分の心を信じるなら、私は…
「貴方に、逢いたい」
「生きていたい」
一人の部屋で、しゃくりあげながら小さく呟く。
死んだような心で生きるのは嫌。本当はずっと─…
「外に、出たいの」

*****
誰もいない真夜中の庭。
月を背に私に手を伸ばす彼。
ああ、この人が─…
「───はい、レオさん」
手紙の雰囲気のままのその人は、伸ばし返した私の手を優しく握ってくれたのだった。


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2021-03-31 15:02:55 +0000