前【illust/88312403】
小説UI【novel/14895299】
(小町)「うげげ・・・。聞いてはいたけど、豊姫さんとこの使いか。いや、これは思った以上にお手が早いようで」
(依姫)「姉様の使い・・・。夢子が神霊を扱えるなんて・・・」
(夢子)「私は神綺様に仕える身。神霊を扱えなくては務まらない」
その神綺に仕える夢子が、いまこうして私たちの前に立ちはだかっている。
(フラン)「アンタが依姉様からそれを奪ってなんに使うのさ!」
(夢)「さあ。少なくとも豊姫サマはお前たちに教えるつもりはないらしい」
そう言って夢子は剣を抜く。
(夢)「本当はお前の相手をする必要はないが、ずっと気に入らなかったんだ。ここでアリスが来る前に片付けてやる」
(依)「アリスさんもここにくる・・・?」
アリスさんがもし来れば、きっと仕掛けた夢子は怒られる。
でも、今まさに襲われている時にそんなことは期待できない。
(夢)「創造!!」
夢子が神綺の力を身に降ろし拳を握った。
次の瞬間依姫たちの周りに岩石が生成され迫ってくる。
(フ)「破壊!」
フランが拳を握ると、迫ってくる岩石が次々と破壊され粉々にされていく。
(依)「ヒノカグツチの炎よ!」
炎で巻いてやる!
ただの水を生成したところで簡単には防げないが・・・。
夢子は自らに迫るヒノカグツチの炎を氷の壁を作り阻んだ。
辺りは氷が一気に気化した水蒸気で包まれ、一寸先も見えなくなってしまった。
(夢)「もらった!」
(依)「!!」
水蒸気の中から現れた夢子の剣を刀で防いだ・・・。
・・・が、鈍器のような剣に刀はいとも簡単に折られ、そのまま依姫の首に迫る。
(フ)「依姉様!!」
あと少しで依姫の首の危機に、横からフランが夢子を殴り飛ばして防いだ。
そのままフランは拳を握り夢子の破壊を試みる。
パン!
小さな破裂音がして、夢子は何もなかったように体勢を整えている。
(夢)「お前の破壊の力は雑な能力だ。拳に移動させる『物の目』をすり替えて仕舞えばどうとでもなる」
夢子は創造の力で、自分の急所になる『目』をフランに奪われる前に別のものにすり替えている。
(フ)「まったくなんなのさアンタ!ただ気に入らないなんて理由で命を狙うなんて、野蛮人だと思わないの?」
(夢)「アリスみたいなことを言いやがって!私は・・・」
不意に夢子に氷のツブテが飛んできた。
「おい!お前!」
夢子に叫んだ声の主はチルノ。
共にリグル、ルーミア、わかさぎ姫やリリーホワイト、他にも霧の湖の近くに住まう妖精妖怪たちが集まっていた。
(チルノ)「さとりから聞いたぞ!依姫が天子を探すの邪魔してるってな!」
(夢)「ほう・・・、別に私らも天子の救出のために活動しているんだが。」
(ルーミア)「そーなのか?」
(わかさぎ姫)「でも、あなたたちが見つけたら天子さんを連れて行ってしまう。私たちから天子さんをつれてかないでください!」
豊姉様が先に天子を見つければ、間違いなく天子は天界に連れて戻される。
そうなれば、天子が自由に地上を活動できる可能性は・・・・わからない。
集まった妖精妖怪たちは夢子に訴えかける眼差しを向けている。
(夢)「・・・興が冷めた。お前が持っている神霊の欠片は機を改めるとしよう」
そう言い残して、夢子は地上に墜ちた月の都の方角へ飛んでいった。
(依)「みんなありがとう。助かったよ」
(⑨)「お前サイキョーなんだろ?次はコテンパンにするんだぞ!」
(魚姫)「みんな天子さんが大好きなんです。どうか助けてください・・・。」
(依)「うん。私がなんとかする。みんなも力を貸して欲しい」
私は無敵ではない・・・。
だからみんなの力を貸してほしい。
(フ)「夢子を見逃してよかったのですか?手がかりも持っていたのに」
(依)「うん、ちょうどアリスさんが見えたから、先に色々聞いてみる。」
夢子を追いかけて神霊の欠片を奪っても、わからないことはいっぱいある。
アリスさんなら、きっと何か知っているかもしれない。
少なくとも、敵として牙を剥く心配はないし、相談にも乗ってくれる。
こちらに向かってくるアリスの心配そうな顔が見えた時、ようやく緊張の系が切れた依姫だった。
(小町)「危なかったねえ夢子。あのまま続けてたら聖に始末されていたかもしれない。まあ結局この後、別件で聖にボコボコにされるんだけどね・・・。御愁傷様」
2021-03-21 00:05:01 +0000