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胡蝶結 深水-コチョウムスビ フカミ
三年生/17歳
2/24生/身長151cm
一人称:私
二人称:貴方、貴女、同学年は呼び捨て
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代々優秀な心剣使いを産出してきた名門であると同時に
極道の一門を束ねる一族である"胡蝶結家"の一人娘。
そして猪八重家の唯一の生き残りの少年と鹿乃寺家の跡継ぎである少年を
左右に従え預かる「主」にあたる。
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心剣:御殿ノ虫籠-ゴテンノムシカゴ
ハバキにひごの虫籠を象る彫刻が施された、白鞘の短ドス。刃渡り6寸、常時顕現型
鞘に記された家紋を割り青く輝く刀身を引き出すことにより対象を閉じ込める虫籠型の結界を生み出す。
結界は直径1m高さ2m程度の小ぶりな籠を基本とし、対象の怨魔によって多少の拡大縮小が可能。
完全に鞘から刃を引き抜いた時、拵えは細く輝く蔦と、それを引く蝶へと姿を変え直接怨魔を捉えることが
できる。この蔦は強い浄化作用を持ち、低級怨魔であれば触れるだけで焼けるように苦しむとか
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関係者様(敬称略)
◆猪八重萩玄-illust/85230216
胡蝶結家の拾った小さな子供は、新たに生まれ変わり逞しく大きく成長した。
強く優しく少し子供っぽい片腕の刃
「少しの間引きつけて頂戴、萩玄。援護するわ、すぐに攻めに転じるわよ」
「芋ご飯も…大学芋も美味しいわね。いろいろ試しましょうか、時間はいっぱいあるんですもの」
◆鹿乃寺書人-illust/85230233
胡蝶結に仕える運命に生まれた少年は、自らの殻を割り懐広く大きく育った。
撚た瞳はまっすぐに伸び、より大人らしくなった片腕の刃
「幼い頃、全幅の信頼を置く従者を伴って、肩で風を切り歩く父が羨ましかったの。だから今私はとても誇らしい気分よ、書人」
「三人寄れば文殊にも阿修羅にもなれるわ。それに何より賑やかで少しも寂しくないもの」
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堅牢な剣が折れ砕ける音は、いつか幼い頃に悪夢で見たものよりずっと軽く
煌めき拡散して消えてゆくその姿が美しく
それはどこか、母の三回忌で見た粉雪にも似ている気がした。
狼狽える傍らの少年に比べ、己でも驚くほど自身の心は落ち着いている。
あと少し、もうちょっとで何かが掴めるようなもどかしさの方が胸を占めていた
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「それで、うちを見に来たんですね」
「ええ。胡蝶結のお屋敷は家であり、家ではないですから…」
萩玄が目覚めた翌日、我が身は病院でも自宅でもなく鹿乃寺家にあった。
本来であれば伴っているであろう書人は、精密検査を受けさせられる萩玄の荷物を持って
見舞いへ行っていることを思えば
「嗚呼、なんと心無い主であろうか!」
と誹りを受けても仕方ないとは思う。それでも知りたいことがあった。
――ねぇ、俺、ここにいても、良いのかなぁ
――だから私―いいえ、俺が従者に足ると思ったら、任せてください
先の闘乱祭を反芻する。二人で組む陣形は急場拵えであることも相まって不格好で
立ち向かう足りないパーツ自身もまた、数多くの不足を有す。
やはり、どうあがいても私達は三人で一つ
その両腕が、二人が、当たり前のように帰り着く
主に、親に、母に、家そのものになりたいと願った。
家というものを認識したいからそっとしておいてほしいと頼むと、鹿乃寺のお母様は
気を利かせてアルバムを出してきてくれた。女手のない胡蝶結にはもう無いそれを開くと
子供用の木刀を手に持つ、今よりずっと小さい書人の写真が目に入る。
…不意に、ふわりと風が吹いた、庭から視線を感じて立ち上がれば木陰に黒髪の幼い少年の影がある。
白目がちの目を大きく見開いて照れたように顔を赤らめ
練習用の木刀を構えて少しはにかみ笑うと、木枯らしとともにかき消えた。
____
猪八重家へ足を踏み入れるのは初めてではない。幾度となく浄められた家はその度に
怨魔の残滓を薄めるとともに人の暮らしていた匂いも消し去ってしまった。
きっとあの事件がなければ今もここにあったであろう生活の音も、古い紙や味噌汁の匂いも
もう、何も残っては居ない。
"その部屋"に入ると日の当たる畳が劣化したのだろう、薄いタイツを貫き通して足の裏をチクチクと刺した。
廊下から軽い足音が聞こえた。どうやら書人には聞こえていないようで、ただ一人振り返れば
そこには出会った頃の萩玄が見える。その頃と違い悲しい顔をしていなければ額に傷もない。
ただ、不思議そうにこちらを見つめて…
ふと気づくと背を向けていたはずの押し入れの戸の前に向き合っていた。
きっと6年前、彼を見つけた者と同じ視界を今見ているのだろう。
今この瞬間、この狭い押入れの中には幼い彼と今の彼が同時に存在している。
書人に倣うように戸の引手に手を掛け
『一つ残したろう?これ以上何を望む』
呆れたように、窘めるように、父に似た掠れた声が聞こえた。共に引手に触れる書人もハッとして
いるが互いに手は離さない。父や更にその先であれ、これは初めての口答えになってしまうだろうか
「二つとも。生まれてから終わるまで二つとも。――でもそれ以外何もいらないわ」
小さく、それでもはっきりと言葉にすれば急に懐に抱いた心剣が重さを増し、なぜだかそれが
意思を持っているように感じる。まるで、仲間を呼んでいるように…
書人の紅葉色の瞳と視線が混じり、頷くと同時に戸を引き、祝福する。
少し間の抜けた顔をした自らの従者の片割れと
新たな彼の心を象るその力を
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企画元】闘乱祭 外伝 -夢現ノ陣 illust/82137647
2018
夏-illust/68853089
冬-illust/72070282
2019
夏-illust/74936215
冬-illust/78141005
籠がどこまでもひろがるならば、蝶は世界の端も感じずに生きていけるわ
2020-10-25 06:45:33 +0000