ポラリスの英雄歌【illust/80979654】
⇒第3期【illust/84592058】
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「予知夢など、所詮は学問だ。悪いものならばそこからどう動けば避けられるのかを考えればいい。…なんて、簡単なものなら良かったのだけれどね。」
名前:アーデウス・ヘイムダル・クロウカシス
種族:白日の民 年齢:26歳 性別:男性 身長:193cm
所属国:白雨国 総ポイント:125pt 運命数:[6]
◆家族(敬称略)
母:イーリス・トラウム・クロウカシス【illust/83709106】(50pt)
「母上、もうこれ以上は無理なさらないでください。後は僕に安心して任せて。大丈夫だから」
父:ヒサカタ【illust/84096247】
「母上のことを光だと、父上はよく言っていました。けれど、父上もまた、母上や僕たちの光だったんです。」
妹:マソカガミ【illust/85237295】
「兄様、兄様と僕を追いかけていた頃が懐かしいな。いつまでも小さく可愛い妹だと思っていたが、随分と立派になった。マソカガミ。君の進む道に光があらんことを願う。…『イカルス』に戻りたくなったら、いつでも帰っておいで。」
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白日の民は6代目当主イーリスの民への献身的な活動により、悪夢の影響により多くの者が亡くなるという最悪の事態は免れた。
当初、イーリスのみが使用できた夢に介入し、悪夢に対抗する魔法も、5代目当主であったラーリアム、そして現当主のアーデウスが翠才国の研究者たちと共に魔法術式の簡易化、他の民たちが使えるように改良した。
現在では、悪夢に対抗する魔法を交代で使用し、一人ひとりの魔法使用による負担を減らしている。
そして、現在では長らく民を縛っていた『白色絶対主義』も衰退。白日の民たちが住まう街にもアーデウスの計らいにより、多くの種族が出入りし、活気づくようになった。
しかし、悪夢の影響は未だ多く、さらに追い打ちをかけるように太陽が陰る日が増え、太陽の光によって魔力を生み出し、その魔力が生命エネルギーの元になる民たちを苦しめていた。
アーデウスは民たちを救う手立てを探る。
滅びの予知夢は日に日にはっきりとしていくように感じる。しかし、彼は決して諦めない。
祖父、そして母が繋いできたものを決して途切れさせぬように。
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◆スキル
【二一七の繙 玉匣】詳細はCSにて
【白日の神子】
祖父や母よりも優れた魔法使いであり、予知夢もその正確性が上がっている。
彼が見るのは民の未来。夢の中で滅びを辿る。
滅びの命運を避けるべく、彼は今日もあがき続ける。
◆素敵なご縁を頂きました…!(10/8)
従者であり、懐刀。私の、唯一。
榊 織さん【illust/84717448】
『おにいさま、迷子なの?へいかのところにしきみがつれて行ってあげる』
初めて出会ったのは、青月国の王宮だった。
私の手を引く小さな少女の本質を目にして、ああ、この子も王族に名を連ねる者なのだと気付くのはたやすかった。
『シキミ』。それがこの少女の名なのだろう。白日の民にはあまり馴染みがない音の、どこか舌先に引っかかるようなその少女の名を、声に出さず口の中で転がした。
「ふふ、懐かしいな。あんなに小さな子が立派に用心棒を務めているとは。かく言う私も、今じゃ民の長だ。時の流れとは早いものだな。」
「私に仕えたいと?…確かに今は人手不足で猫の手も借りたいくらいだが…。」
「分かったいいだろう。…ん?決断が早いって?君の出自は分かっているし、何よりこれでも人を見る目はあるんだ。…そうだな、試用期間として最初は警備の仕事でもしてもらおうか。」
「織、織。こちらへおいで。明後日から翆才国へ少し遠出するんだ。そう、2週間くらいかな。出発は早朝だから準備しておきなさい……うん?君も連れて行くと言ってるんだよ。織には私の側仕えとしてついてきてもらう。問題無いね?」
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彼女の本質は、痛いくらいのまっすぐな心根と、私でも測りかねる程の自己犠牲で成り立っていた。
問題は、彼女がそれに恐らくは気付いておらず、ただ、自分の想うままに自分を犠牲にしていることだろう。
彼女に結婚は、と聞いたのは彼女の未来を想うが故のことではあったが、きっと僕の本心は違うところにあった。
僕は、彼女を試したのだ。本質を見抜きながらも、彼女の本心を欲して。
彼女が僕に縋りつく度に、言い知れないどす黒い感情が腹の底を這うのを感じる。
今まで、僕を形成する全てが当主となる為のものであった。
多少の無理はきく恵まれた肉体も、努力で手に入れた智も、全ては当主となるための。
それが当然であり、疑問に思ったことなど無かったのに、彼女が目の前に現れてからどうもおかしい。
「…織、顔をあげなさい。いいかい?これ以上僕の方へ踏み込むと言うのなら。本当に君のすべてを僕にくれると言うのなら、僕は君を受け入れよう。ただし、こちらへ来たが最後、僕は君を二度と手放してやることは出来ないだろう。その覚悟が君にはあるのかい?」
最後の警告を彼女に告げる。
ああ、こんな醜い感情が愛だとは認めてたまるものか。
執着と、独占欲で固められた、それまで僕が作り上げてきたものとは全く別の何か。
それでも僕は織が欲しかった。僕に全てを捧げると言って憚らない、彼女が。
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二人だけの場所で、式というにはあまりにもお粗末で、簡易的ではあったけれど誓いを立てた。
誰にも知られず、誰にも祝福されない。女神にすらも隠すような。
左手に鈍く光る所有の証を撫でる彼女の姿があまりにも愚かで、可哀そうで、愛しくてたまらなかった。
最初こそ、利用してやればいいくらいの気持ちであったのに。
きっと、いつの間にか奪われていたのは僕の方だったのだろうと、織に気付かれないように僕はひとつだけ笑いをこぼした。
2020-10-06 14:42:33 +0000