「死ぬことなんて、仕方のないことでしょう?…嘆いても、どうしようもできないの」
企画元様【illust/80979654】
第三期【illust/84592058】
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フェンネル・エインズワース(ダイジョウジイン)(Fennel Ainsworth)
年齢:20歳 性別:女 身長:160㎝(角は15cm程度)
所属国:青月国
総ポイント:50pt【精神:10/攻撃:0/技巧:10/魔力:30/幸運:0】
運命数:7
スキル:D-SalvationDeer,Dear,Delete/魔力喰鯨
国の中でも市街地の外、あまり人が寄り付かないところに調薬の工房を構える鹿の一族。
一族の多くは皆のんびりとしており、性格も穏やかで心優しい者がほとんど。
一族の人間は全員、自分の魔力を込めた宝石を調薬魔法の媒体としている。
かつて当主になるはずだった長男は、他国で亡くなったと報が入った。どうやら妻を迎え、子も成したらしいが、真相は不明である。
調薬の鹿族【illust/82672877】
∟泡傘鯨
アンジェロフィンチ【illust/82673606】
∟夢魘喰い
✾Family✾
父:カーミレ・エインズワース【illust/83875346】(故)pt総計:20
「お父様は、ずるい人よ。こんな痣だけ遺して、娘に妻と同じ名前を付けるなんて…本当に、ずるい人」
母:ウイキョウ・ダイジョウジインさん【illust/83795568】(故)
「お母様はお父様が居なくなったあとも私たちを愛してくれて、優しくて、大好きだったわ。…また、会いたいな、」
妹:モルフィーナ・エインズワースさん【illust/84717593】
「フィンは落ち込みやすいけど、でもしっかりと自分を持ってるの。慕ってくれるのは嬉しいけれど…逃げてばかりの出来損ないは私の方よ」
+.✾♡素敵なご縁をいただきました(10/07)
水雨志青さん【illust/84805683】
彼と出会ったのは、深い森の中だった。
放浪を続ける中で、依頼を受けた薬草探し。どうやらそれはとある里の近くにしか生息していない種類のようで、自分の調薬にも使えそうだと足を運んだところ、道に迷ってしまったのがきっかけだ。
「突然ごめんなさい、道をお聞きしたいのだけれど…待って、あなた何を食べて…石?」
どうやら彼は無機物も食べることが出来る種族らしい。そして、幸運なことに彼は自分が探していた里の者で今は夜営の帰りなのだとも。案内を『お願い』する代わりに手持ちの携帯食料を分けると、意外にもすんなりと道案内を頼まれてくれた。
「志青さんって良い香りがするのね、ジンジャーかしら。ふふ、お薬を作るときにも使うから、香りには詳しいのよ」
「あら、志青さんの使い魔さん。え?あらあ、随分長いお名前なのね…それならハオちゃんでいいのかしら?」
彼とは最初の道案内以降、話すことが増えた気がする。素行が悪いと言われているらしいが、ああ見えて存外彼は優しくて、どこか可愛らしいのだ。
薬草探しを無事に終えた後、怪我の治療を請け負う代わりに家に置いてもらうことが出来た。忍びの一族とは聞いていたが部外者を入れていいのかと問うと、「別に悪いこと企んでるわけじゃねえだろ」と返されてしまう。…こんなに良くしてもらって、よいのだろうか。
――ぐらり。
視界が揺らぐ。いつもと同じように、怪我をした人の手当てに勤しんでいた。意識を失う寸前で視線を鯨に向けると、こちらを嘲笑うかのように尻尾を揺らした。まるで、自分だけ幸せになることは許さないとでも言うかのように。
「誰にも言わないって、約束できる?ううん、じゃあ『お願い』にするわ。…私、もう長くないの。多分、長生き出来てもあと10年くらい…やだ、そんな顔しないでちょうだい」
倒れた私を心配してくれたのか、慌てた様子の彼をどうしようもなく愛おしく思えた。だから、話してしまったのだ。実家の話、父と母の話、妹の話、痣の話。自分のことを、包み隠さず。
話さない選択肢だってあったはずだ。いつもみたいに笑って大丈夫と誤魔化せば、ちょっとした文句を垂れつつも引いてくれたはず。だけど、いつもどこか素直な彼に嘘は吐きたくなかった。全てを知ってほしいと、思ってしまった。
「ねえ志青さん。最後の『お願い』、聞いてくれる?」
彼が『お願い』を断れないことを、私は知っている。きっと最初から、そうだった。
自分のこの『お願い』がどうしようもなく狡いものだということは、理解している。結局、自分もあの父親を似た者同士なのだろう。
かろうじて動く手を伸ばし、彼に触れた。伝わる温かさは、愛した彼が生きていることの証明だ。
…自分らしく生きたいと、彼は言った。だから私も、そう生きようと思えた。叶えられなかった夢だってあるし、怖くないわけじゃない。だけれどせめて、最期まであなたと共に、自分らしく在りたい。
これは、紛れもない、自分の意志だ。
「私が死んだら、『食べて』ね」
――――愛しい人よ、どうか共に、永遠に。
+.✾.+
2020-09-30 15:00:23 +0000