【ポラリス】シアラク・ヴィヴ【第1期】

西田
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■ポラリスの英雄歌【illust/80979654】第一期参加キャラクターになります。

■(7/14)素敵なご縁を頂きました!
甘夏【illust/82833248】さん


「おじちゃ……うーんまだおじちゃんって年ではないかな、お兄さんと呼んでくれ!そう、お兄さん。えらいえらい、次からも覚えておいてほしいな」

「……君俺より長く生きてるんじゃないかもしかして?そうかーなるほどなあ、長命種ってそういうとこあるよな、うんうん。しょうがない子だなー。まあそういうのはね、君のペースでいいんだぞ、俺はこう見えて気が長くて優しいおじちゃ…じゃなかった、お兄さん。俺はお兄さん!なので!」

「甘夏はほんとにマーマレードジャムが好きだなあ、こっちまで食べてみたくなるよ。ああ、今のは言葉の綾だからいいんだぞー全部甘夏がお食べ。俺は砂糖の良さはわからないからなあ、ジャムも美味しくたべてもらえるほうが嬉しいさ」

「どうした、また尻尾ぶつけちゃったのか?痛くなかったか?あーいいんだよ布が倒れたくらい、ちょっと散らかってきてたし後で掃除しようなあ。甘夏がケガするほうが俺は嫌だよ。――ああ、そうだ。今度リボンを結んであげようか、どんな刺繍がいい?やっぱ柑橘柄かな。ほら、なにか尻尾の先にあったら、気になってちょっとはぶつけにくくなるかもだろう?うん?俺は別に汚しても構わないけど。洗えばいいし。でも甘夏が汚したくないって思ってくれるんなら、それは作る人として嬉しいなあ」

「ふふ、そういってもらえると嬉しいね!俺はねえ、甘夏といると元気がもらえるな。うん?果実のパワー?そうかな~俺はそれだけじゃないと思うけど。まあいつか甘夏にもわかる日がくるかな!」

まだ幼い、あどけなくてかわいらしい子。
柔らかくてあたたかくて。無邪気な笑顔がくすぐったくて。
ほしい、と、思ったから。
だから優しくして、甘やかして、時間をかけて手懐けて。俺好みに育て上げて。

じっと、収穫の日を待っている。

■第二期 子供たち シトラ【illust/83708363】/柑夏【illust/84016868】さん

「いってきます」、と言った。
「いってらっしゃい」、「パパおみやげかってきて」、と、言われたと思う。
「分かったよ」と、返したくせに。
「ただいま」は、どうも言えないようだった。

――天井が、壁が、赤く燃えている。
取引先の衣装工房で、次の納品物の打ち合わせをしている最中で。ちょうど昼時に差し掛かって、これが終わったらなにか食べていかれませんかなんて、のんびりした空気が終わる前から流れるくらいには順調で、天気のいい、穏やかな冬の日で。だから、かもしれない。
火事だ、と、通りから悲鳴が聞こえたときには、どうやら隣から火が移っていたらしい。
この鈍重な体では、身動きがとれなくなるほうが早かった。
煙に巻かれながらもどうにか自分も連れ出そうとしてくれる人々を、俺のせいで死んでくれるなと、なんとか説得して。逃げてくれた彼らの泣き顔を意識的に脳裏から追い出して、ひとり、家族のことを考える。

甘夏。
出会ったころよりずいぶんと大人びて、ちゃんと母親らしい、慈しむような表情だって見せてくれるようになったけど。俺の前ではいつまでも甘えたな、俺好みの、愛しいかわいいひと。
段階を踏んで、少しずつ少しずつ、いろんな話をしたつもりだ。また会いにきてくれると嬉しい、とか。君が楽しそうだと俺も幸せだな、とか。俺の好きは、君に子供を産んでほしいって好きだ、とか。将来は家族で仲良くお店を続けていきたい、とか。……種族と、寿命の話、とか。
しまったな、長命種の君よりは早く死ぬけどあと数十年は生きてるさ、なんて。あんな具体的な話、しなければよかった。あの時は本当に、できるかぎり君の苦しみを和らげてあげたいと、思っていたんだ。

幼い、双子の娘たち。
二人ともまだ人型にはなったことがなくて、俺が仕事しているのを、興味深そうに眺めては、前足を動かして、人の手との違いに不思議そうに首をかしげていて。
孫の顔は見られないにしても、彼氏とか旦那とか、そういう相手を連れてきたら、ちょっと脅かして、それから笑って「俺と甘夏の娘だ、いい子だろ」なんて背を叩くような。
そういう実りある未来を、信じて疑っていなかったのに。

いつか必ず、妻を、子供を置いていくと、分かっていたけれど。
できればもっと――ちゃんとお別れの覚悟をさせてあげられる、そういう死に方が、したかったなあ。
俺のこと、許さなくていいから。どうか幸せに、生きてほしい。

―――――

■シアラク・ヴィヴ
ヴィヴ族 (鰭墨竜)【novel/13666650
26歳/男性/体高2mほど/翠才国
総ポイント20pt
運命数[1]

……享年45歳(2期を迎える前) 出先の火事にて死去。

「竜だけど魚食なんで!取って食ったりしないよ、怖いドラゴンじゃないよ!
……あ、そうはいっても長生きでかしこくてすごい竜族〜みたいなイメージもやめてほしい。とっても荷が重い。俺はただのきれいなものが大好きな機織りお兄さんなので、ね?」
「ほら、竜の姿だと首くらいしか飾るとこがないからさ。人の姿に慣れるともう戻りたくないわけよ」
「真面目な話、俺にとって自分はヴィヴでしかないっていうか、竜とかそういうのはそう分類されただけ?っていうか?もちろん街で暮らしてく以上はその扱いに合わせるけどね〜ある程度はね」

「――ああ、うん、そういうおとぎばなしもあるらしい、ね?まったくひどい風評被害だよね!
そんな頭の悪い種族だと思われてるとか嫌なんだよなあ。ほしいものを手に入れるんならもっと効率よく、平和的にやるさ。誰が見たって俺のものだって完璧に認めてもらえるようにね。
ねえ、君はどう思う?俺はとってもいい竜族、だろう?」

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■お借りした素材【illust/23495701

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2020-07-12 14:36:44 +0000