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「得体の知れない影にすがるしかない…、脆弱な命を持って生まれた者の気持ちがわかる?」
「一族のため? いいえ、きっとこれは、私のため。」
「運命なんてくだらないわ。常に私に残酷に微笑むだけだもの。」
「本を読みなさい。この世に無知より恐ろしいものなんて存在しないから。」
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◇マリッサ
年齢:26 / 性別:女 / 身長:141cm / 所属国:菫華国 / 運命値:9
総ポイント:20 / 精神力:6 / 魔力:14 / スキル:影との契約
◇翅人<ハネビト>
妖精種の中でも下位に位置する、非力で短命な種族。また文化レベル、知的レベルともに極めて低く、名前を付けるという習慣すらなかった。
蛾や蝶など虫の翅を持って生まれる事が特徴。
寿命は、10年~20年といわれる。本来のサイズは10cm~30cmと小型の妖精である。
◇影(マリス)
正体不明の実体のない黒い影。直接触れることはできないが、生命のある存在が触れようとすると、まるで吸い寄せられるかのように対象に纏わりつく。
影に触れたものは、その先にある「何か」と繋がったような感覚を覚える。そこには膨大な知識があり、また何かしらの意識が存在するようだ。
より多く影を取り込んだ者は、深淵の先から膨大な力を引き出す事ができる。
◇影(マリス)との契約
影との契約のその後、魔術を身に着け、長年の研究により影の力がより強まる。人間大のサイズに姿を変えられるようになり、また、わずかだが寿命が延びる。
影との同化によって、元の種族とは面影が残らないほどに体の性質が変容した。しかし存在自体が不安定になり、寿命の問題も未だに解決していない。
◇影の衣
影を体に纏わせ、半霊的な存在になる。物体を透過し、物理的な干渉を受けなくなる。
長時間に渡り影を纏わせると、意識がなくなり、やがて存在そのものが消えてなくなる。
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◆素敵なご縁頂きました!
紫陽さん【illust/82923182】
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「この菫華国には美しいものが集っている。悔しいけど、私がその美しさに到底届いてるとは思えない。それでも…私を美しいと言ってくれるなら…。」
「私が体に宿したこの影…"マリス"は強い闇への誘惑がある。私はその闇に流され、闇が示す通りの道を歩んで来た。でも、私はその歪んだ誘惑に従いながらも、ただ一つ守り続けたものがある。それは"私"が"私"である事よ。」
「あなたが行く道に私も従いましょう。けど、私は止まらないわ。決して振り返ることなく私は進んでいく。この先にどんな運命が来ようとも、私はその全てを超えてやる。」
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私は酷い過ちを犯した。本来は、私が子を成す事なんて許されない。自分の子孫がマリスの脅威に曝されると知りながら…。
けど、今から歩みを止める事は許されない。後悔はあろうとも、私は歩き続ける事を選んだのだから。
ならば私はその罪と向かい合って生きていく。子供たちには、私と同じような思いは絶対にさせたくないから。
研究をしなくては…。今度は自分のためだけではなく、自分以外の誰かのために…。
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生まれて来た時から感じていた事だ。一端に知恵を付けて、自分の運命を嘆いた時から続いてる事だ。この命に終わりが来れば、この苦しみから解放されるかと思っていた。けど違っていた。命が死に近付くほどに苦しみは強くなる。
こんな結末が待っていたのなら、私は今まで何をやって来たのか。今までの行いは全て無駄な事だったのか。
何度も何度も思った事だ。この苦しみから解放されるなら、マリスに身を委ねて、誰かを傷付けるだけの意思の無い怪物に成り果てようと。今まで積み上げて来たものを全て投げ捨てて。それが一番楽な道だとマリスが常に囁いていた。
こんな苦しみを死の間際まで感じるくらいなら…。
私は…。
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私の元から姿を消した子供…ザウエル。あなたの事を思う。私は彼のために最善を尽くせなかった。私がこの世に残した罪は、想像以上に大きかった。
あの子のために何かをしたい。けど私の命はここで終わり。
悔しいけど…、後の事は、残された者に委ねるしかない。私は本当に無力で矮小な存在だった。
けど…、今まで積み上げて来た事を、私は無駄にはしない。
だから私は最後の最後まで足掻きたい。
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私を…。
私をここまで連れて来てくれて、ありがとう。紫陽。
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◆企画元
ポラリスの英雄歌【illust/80979654】
2020-07-05 12:15:35 +0000