【PFAOS】楽園の揺り籠【アフター】

エイリ/PF専用垢

※こちらの作品は独断と偏見と願望反映で作成されております。問題不都合が発生した際や、時間軸等問題が生じた場合は、寛大なキモチで、パラレル魔法(if扱い)の発動お願いします。※
※こちらのシナリオは強要意図はありません、不都合等発生している場合もスルー魔法発動お願いします。※

「それじゃあ、乙姫さんは船を降りるんだ?」
「ええ、お世話になるだけなって、不義理なような気もしますが……」
「そんなことないよ。ゴンさんだっけ?迎えに来てくれたんでしょ?優しそうなひとだよね。」
「ふふ、ありがとうございます。でも、やはり、少し悩みます。」

「?」
「私はゴンと引き離された頃に比べ、随分汚れてしまっています。そして、子供たちへの償いも終わっていない。シーレーンの皆さんにお礼もできていないのに。安易に幸福を選んでいいのかと。」

トラウマという足枷を肉親にはめられた傷は治りきっていないらしい乙姫の横顔を見ながら
リュビは苦く、愛しい人が留守にする前、ほんの少し見せた揺らぎを思い出す。

「……なんていうか乙姫さんって、エルズリーさんみたいに、一人で抱え込もうとするタイプだよね。」
「そんなことは……。」
「似てるよ。ちょっと無茶なくらい抱え込んでガマンしちゃおうってところとかさ。男って、案外単純で。その、頼りなく思っていても頼って欲しいものだと思うから。もっとゴンさん頼ってあげなよ。」
「……ありがとうございます。」
照れる様な、表情に迷うような曖昧な笑みを浮かべながらゆらりと尾をなびかせた乙姫は湯飲みに口をつける。

「ドルは、病気の進行が完全に止まったから故郷のご両親のところへ乙姫さんたちが送っていくって聞いたけど。ガブ君は?」
「ああ、ガブは、ジェスターさんやエルズリーさんの許可を頂いた上で。私とゴンが引き取らせていただくことに。父母というには未熟かもしれませんが。彼にも長く苦労をかけたので。そのお礼に出来る限りは尽くしたいと思っているんです。」
ソレは両親を失っい生きてきた、乙姫や彼女の婚約者の善意であることは確かだが。
手に取るほど判るガブの初恋を知る者からすると複雑なところだ。

教師として姉として接していた乙姫に落ち度があるわけではないが。
なかなかに残酷で過酷な環境じゃないかとリュビは思う。

「そういえばガブは?」

最期の診察が終わり、一人ひとりお友達とのお別れと再会の約束をするドルは中庭にいるが、ガブの姿がないことに気付く。

「それなら……。」

「じぇすたぁ!」
「わっ!?ガブくん?どうしたんだい?……キミも一発殴らせろというくちかな。」
苦笑するジェスターの胸倉にしがみついたまま。
強い目力でじっと見据えたガブが、フルフルと首を横に振る。
「ちがウ」
「?」
「せんせいと、オレ、行く。けど、大人、なったら、お礼、する。」
「お礼?」
「オマエ、約束、守った。」
いつか話した願いの話を全て守ったジェスターに、同じく、叶えてくれたら役に立つといった約束を守ると宣言していると気付いたジェスターはゴワゴワとした毛をなでながら。
優しく笑う。
「結果的にだよ。キミたちが頑張ってくれたからだ。」
「そんなの関係ナイ、ジェスター、約束、守った。の、本当だ。」
「困ったな。別にそんな義務感を感じなくていいんだ。そもそも、君たちを強引に攫ってきたのも僕だからね。」
「…オレ、手伝い、するハ、…メイワクか?」
食い下がってもいいんだとなだめるジェスターに、しょんぼりとした口調になり、耳と尾が垂れる。
「いや、迷惑なんかじゃないよ勿論。でも、キミの人生が。」
そんな顔をされると困るというように慰め、諭そうとするが
「なら、キマリだ!おとな!なったら!!すぐ!!くる!!やくそく!!」
頑固者はこういうときも頑固らしく。約束を掲示する。

「諦めなよ、ジェスター。彼は引かない。」
面白いものを見るように隣で見ていたディエンが軽く煽る。
「わかったよ。」
諦めたようにジェスターは小指を差し出す。
「約束しよう。いつか、キミが大人になって、また手伝ってくれるというなら迎えると。」

その言葉にキラキラと目を輝かせたガブは大きく元気なワンという鳴き声をあげながら、指をからませた。

「フシギですね。」
「え?」
「人攫いである方々が皆イロイロ抱えている。そして、彼らが攫ったことで不幸になった子たちもいたのは確かです。」
「……。」
「けれど、私のように寄る辺をなくした者にとっては、呪われた時から優しい守ってくれる場所だったのですから。」
「そう、だね。」
「きっとコレからも、エルズリーさんや、ジェスターさんは、優しいからこそ悔やまれるでしょう。」
湯飲みに映る自身を見つめていた乙姫がそっと視線をあげ柔く笑う。
「……だから、リュビさん支えてあげてください。勿論、お呼び頂ければ、そのときは私も尽力しますから。」

似たような時期に艦にきた二人は。

『攫われた者』と『保護された侵入者』だった。

ただ、同じ魔女の呪いに縛られた女神の女性を大事に思う共犯者のような仲間でもある。

友愛と思慕

形は違えど優しい白百合のように清廉な美しい人を愛する者として。

子供たちがそれぞれに交わす再会とは違い。
今後の協力を約束をする。
ソレは苦しい縛るようなものではない。
お互いの優しい時間をもっと温かにするための生きる為の約束。

「いつか、エルズリーさんと遊びに来てください。そのときはお抹茶とお菓子でも用意させていただきます。」
「東方のお茶だっけ?」
「はい。」

呪いが解けた鳥かごは、花の香りが満ちる幸福という名の揺り籠として。
存在し続け、故郷ともなるのはそう遠くはない話。

【あとがき】
これにて乙姫、ドルとガブEDとなります。
詳細には記入していませんが、元々ドルは別の者に治療と称して誘拐されていたため両親が健在であり。居場所も解っている為、乙姫がゴンに頼み。彼の故郷に送り届ける予定です。
ただ、ドルにとってシーレーンは居心地のいい優しい場所だったので。定期的に手紙を出すつもりかと。

一方ガブは、男気と、約束を果たすかっこよさを見せてくれたジェスターさんに。惹かれ。今は未だ親代わりであり、初恋の相手である乙姫と離れがたく。彼女の養子として五年ほどは暮らす予定です。
六年後シーレーンがあればシーレーンになければジェスターさん個人に仕える気満々です。

乙姫は、未だ、自分を拉致していた男の脅威が消えた確証は持っていませんが。そんな自分でも受け止めてくれた婚約者であるゴンと改め結婚する予定です。

乗船許可、および、ここまでお付き合いありがとうございました。

【お借りしました】
リュビくんillust/79062147
ジェスターさんillust/78952992
メイリオちゃんillust/78967161
名前のみエルズリーさんillust/78956006

#pixiv Fantasia: Age of Starlight#【子攫い艦隊シーレーン】#ルナス#【ボースハイトの系譜】

2020-04-11 09:13:11 +0000