皮が裂ける、骨が砕ける、肉が潰れていく。
轟々と豪風が唸り、辺りは自身の血と体内のもので赤く烟る。
想像を絶する激痛で、蒼かった髪は白く染まっていく。
「封じられしもの」が発する衝撃波と、鉄皇の拳から出される空間歪曲の拳圧により、とても生物が存在していられない場所に、艦長シェーダは立っていた。
その手にある長大な「抜鎖刀」は「封じられしもの」を捉えてはいたものの、先端が核に届いていないのだ。
常ならばとうに五度は死んでいる状況だったが、月の大治癒結界により彼女の身体は凄まじい速度で再生し、崩れ、再びの再生を繰り返していた。
人知を超えた痛みで意識は途切れホワイトアウトしかけるも、またもや襲い来る激痛が意識を手放させなかった。
激痛による発狂も辞さない状況だったが、いまだ艦長シェーダは正気を保っていた。
喋ることもままならなくなった彼女は、星光石を通してグラッドと鉄皇に語りかける。
他者の思念が自身の心臓から浮かび上がるという奇怪な感触を、グラッドはどうにか受け止めた。
「その刀の柄をぶっ叩いて奴に通すってのか、できるのかそんなん」
『直接触れちゃ駄目だよ、あんたと鉄皇が結晶化しちまう!拳圧だけで叩くんだ!』
「馬鹿野郎、そんなことしたらお前まで木っ端微塵だぞ!」
「否、一撃を極一点に集中すれば、できぬこともなかろう」
「無茶苦茶じゃねえか……」
歯噛みするグラッドに、二人の相棒は静かに語りかけた。
ごく一瞬だけ、轟音が止まり静寂が場を支配する。
「お主なら」
『あんたなら』
できるはずだ!
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◆お借りしました!
鉄皇さん【illust/79324639】in グラッドくん【illust/79000680】
◆参加非公式イベント
不屈をうたう者達
【illust/80129249】
◆自キャラ
艦長シェーダ【illust/78953344】
◆企画元:pixivファンタジア Age of Starlight【illust/78509907】
2020-03-29 06:01:42 +0000