【PFAOS】迷子のための子守唄

柊野すみ@HRGNSM

かわいいこ【illust/80315834】→

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私はこの香りを覚えている。
今は懐かしい、かつての帰る場所であり、
母であった大樹が咲かせていた花の香。
ずいぶん昔に、たくさんの同胞ごと
戦火で焼き尽くされたはずの我が故郷。

目の前で微笑む少女──
姿形は違っていても、
閉じた目で見れば
当時の壮大な大樹の樹姿が
葉の一枚一枚に至るまで
ありありと感じられた。

この少女こそが
我々の、
私の母である。

「母さん……?」

呼びかけると、母はより一層目を細め、
小さな手で髪を梳いてくれた。
漂う花の香りは昔と変わらず、
甘くも清廉で瑞々しい。

恋を知らずにいれば、
愛を求めずにいれば、
月を見にいかなければ、

同胞たちと共に炎に抱かれ、
あなたの元で灰になれたのに。
ひとり、こんなところまで来てしまった私に
どうして やさしくしてくれるのか。

「ユリシス わたしの、愛しい子」

降り注ぐ ことば、
懐かしい故郷の子守唄。
あたたかい。胸が苦しい。
なんだか、とても
頭が、真っ白に、なって

「母さん、私は……、
……、……怖いよ……」

あたたかな息苦しさと引き換えに、
頭の中はどんどん真っ白になってゆく。

たぶん、今、押し寄せるこの空白は
母への、焼けた故郷への、
炎の中へ消えた同胞たちへの……

……視界に火花が散る。

これは、亜精霊として生み出された際に
綿密に組み立てられたロジックに基づいて
発動させられた、防衛機能。

恋をしたい。愛が欲しい。
狂って死んでしまうほど、焦がれたい。
なのに、借り物の生命では、
自分のことが 見つからない。
胸が苦しい。頭の中では
何かがバチバチと弾け続けている。

──まって、消えないで、もう少しで!

ああ、…………
遠く離れたのは、私の方だ。

母よ、大樹よ、
あのとき、あなたと共に
炎に巻かれていれば!

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3章時空です

(プフィルさん濃厚接触ありがとうございます……
勝手に息子になってよかった……)

母のクソデカ愛を受け止めたかったけど
思考回路はショート寸前!
亜精霊族は愛や恋の感情が
一定ラインでブロックされるように作られているので
母や故郷や焼けた同胞への愛情も
レギュレーション違反です。残念だったね
この時は処理落ちしてシャットダウンしました。
プフィルさんは……よく寝てるね♪と思って
帰っていきましたとさ(ご想像にお任せします)

システム的に、どうがんばっても
恋はできないということは
ユリシス自身も頭のどこかでは
わかっているはずなのに
ふらふらと家出して何になるんでしょう?
地図もないのに宝探しをする子供は
必ず迷子になります。

(「怖いよ」は眠ることが怖いという意味です)
(死にかけたばかりだったので)

(故郷が戦火で焼けた時に
同胞たちと一緒に消えていれば
母の愛と共に炎に抱かれて
終われていたのにね、
愛から離れたのは自分だったな。
という気付きがありました)

→もう帰り道は見つけてる
デザイナー・エンジェル【illust/80286061

子守唄【illust/80005773

母と故郷と同胞を思って刺青入れたんだよ
illust/79263368
輪っか邪魔だから一時的に消したわ

※投稿順と時系列が前後しています

不都合ございましたらパラレルでお願いします。

#pixiv Fantasia: Age of Starlight#PFAOS#ルナス#【バタフライ❤︎エフェクト】#原初の星光石【黄】#【買い取りぽん】

2020-03-28 07:08:47 +0000