その身体はもう壊れかけていた。
鏡の如く、ヒビ割れ、崩れそうだった。
否、自分も同じだ。
身体から硝子が弾ける音がする。
意識を繋ぐのもやっとだ。
もうほとんど、気力と根性だけで立っている。
今にも崩れそうな手を取った。
「―ごめんね、分かろうとしなくて。」
「君は役割を果たす為にいるのだと、そのせいでずっと繰り返している事も知ってて、
それでも、分かろうとしなくて、わかってくれないと思って、諦めていた。」
自分の目的の為に、今まで私を生かしたモノ。
それでもこの鏡は、私の今までの行動を、否定しなかった。
例えそれが、自分の為であったとしても。
それだけは、私の救いだった。
「…ごめんね、スカーレット。」
「分からないのも、分かってくれないのも、悲しいよね。」
目の前の鏡が泣いているのも、
今自分が泣いているのも、
きっと、同じ感情だ。
――――胸元の、銀の弾丸が輝いた。
その瞬間、頭の中で声が響く。
酷く懐かしい声だった。
――10年かけて貯めた魔力なら、多少の奇跡も起こせよう。
それはお前だけの最初で最後の魔法。
描いた未来を、繋げる魔法だ。
お前が名前を付けなさい。
――それで、完成だ。
「スカーレット、私はさ、すごく、我儘で、強欲なんだ。」
「君が私と、皆と一緒にいる未来を、望んでいいか?」
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■こちら【illust/80375341】より。
いろいろパラレルでお願いします…。
スカーレットさん【illust/80189604】
アスタ【illust/78953603】
2020-03-27 07:41:56 +0000