2枚目はエフェクト無しの差分、3枚目は魔法陣の見本です。
小説の方と統合しました。
ーそれは、唐突だった。
チッダゴンの一柱、ブラッティーノとの問答の最中。
上空から、焔の雨が降り注いだ。
次々と襲い来る焔は、船も辺りの団員達も、チッダゴンの者も均等に巻き込み、状況を更に混乱させていく。
シークのすぐ側にも着弾し、傷を負うまでには至らなかったが、熱風の熱さに思わず顔を腕で覆った。
「…っ!一体、何が起きてるんだ…!?」
先程の問答の際、神相手だからと変えていた口調を元に戻し、消火を試みる。
それなりに威力のある水属性の力を纏った魔法弾を放つが大した効果が出ず、展開した魔法陣を何回か叩きつける事でようやく鎮火させた。
「この炎…厄介だな」
果たして、普通の水でこれを消すのにどれ位時間がかかるのか……そう思いながら、上空へ目を向ける。
そして、そこにいた巨大な黒竜を写したシークの目が大きく見開かれた。
「あの竜、まさか『天を蝕む者』か!?」
確信はないが、十中八九当たっているだろうと推測する。
「不味いな…俺とした事が、チッダゴンの方にばっかり目が向いて、他の所まで気が行かなくなっていたか…」
直接会った事はないが、あれは非常に気まぐれだと以前人伝に聞いたことがある。
恐らくは暫く前から傍観はしていたのだろうが、問答で止まった戦況に飽き、介入した、といった所だろうか。
「多分そうなんだろうなぁ…さすが、“天災”って呼ばれるだけの事はある…が、さっき宣言したばっかりなんでな。」
これ以上船に、団員に危害を加えるつもりなら、神にさえも牙をむく、と。
「例え天災相手だろうと…俺の答えは変わらない!」
幸いここは甲板。広さは十分にあるからと、普段は体の中にしまっている翼を出す。
ビリッ……バサァッ!!
コートを突き破り引き裂く音と、被膜を広げる音が響いた。
そのまま1度、2度と羽ばたかせ宙に浮くと、目を閉じ両腕を胸の前で交差させる。
何かを溜めるような姿勢を数秒維持させたあと…勢いよく開けたその目は、瞳孔が斜めにした十字形へ、元から赤かった瞳が更に赤く発光し、光の尾を引いたものへと変わっていた。
同時に腕を開き、指先を反らして掌を外側へ向けたー次の瞬間。
シークを中心に、辺りにいくつもの魔法陣が展開された。
その一つに焔が直撃したが、魔法陣はそれ以上の侵出を許さず、焔ごと巻き込む形で消失し、完全に相殺する。
「防御用魔法陣“守護壁”……念の為、編み出しといて正解だった……一回限りの使い切り式なのが難点なんだが、贅沢は言ってられないか。」
そう言いながらも、消えた分だけ新たな魔法陣を作り出し、焔の軌道を目で追い、着弾する前にぶつけていく。
(これで更に悪化したら……“元の姿”になる事も、視野に入れとくか…)
できればそんな展開はごめんなんだがな。と思いながら、シークは再び焔の対処に専念する。
全ては、これ以上仲間を傷つけさせない為、そして自身の居場所であるこの船、トライデントパレスを守る為に。
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これ【illust/79419360】のあと、こちら【illust/79378987】を受けて。
シークが“守護壁”という防御用魔法陣を発動しました。
甲板の上空で滞空しながら、可能な限りダズカトールさん【illust/78967646】の焔を防いでいます。
選別する余裕がないのでチッタゴンの方々の分まで防御に徹しています。
そして焔の方に集中しているので、自分自身の防御ががら空きになっています。
そこの隙をついて攻撃するもよし、魔法陣を使って焔から身を守るもよし(ただし焔が直撃した魔法陣は完璧に防御する代わりに消滅します)、好きにお使いください。
負傷描写も構いませんが、欠損、死亡描写はご遠慮下さい。
不都合ありましたらパラレルスルー遠慮なくどうぞ。
・防壁になった探求者【illust/79301184】
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2020-02-12 13:22:43 +0000