【ぴくせれ】conflict【第二章】

桜庭(・ω・)にど

こちら【illust/77256627】のサギリ君が何か燃えてる匂いに気づいた所から!!


「焦げ付いた匂い……」
何かが燃える匂い、そして嗅ぎなれない匂いに顔をしかめる黒い髪の美しい青年がいた
彼の名はサギリ、島の住人で今はわけあって黒のドレスに紫のバラをつけた女性の恰好をしている

「火か……燃えている……?それも相当な規模だぞ……」
同じく異常に気付く吸血鬼が一人、血のような色の赤い髪に赤い瞳
彼女の名はルーザ、独占派の軍人で青い軍服と帽子を身にまとっている
吸血鬼のルーザには燃える炎の音が聴こえる。通常の人間にはまぁ聴こえないだろうが

「……ッ!!」
「あっ!!どこ行くんだ!!」
ルーザはサギリを呼び止める
しかしサギリはその言葉も聞かず匂いの元へ走っていった
「火の元だろ!!このままじゃみんながあぶねえだろうが!!」
「よし了解した!!」
「あぁ……って、はぁ!?なにしてんだ!?」
ルーザはサギリをまるで荷物の様にかかえていた
「こっちの方が速い!!急いでいるのだろう!!」
実際、成人男性である彼を、かついで走っているのにもかかわらずサギリが走るより速い速度を
ルーザは叩き出していた
「………」
その身体能力にサギリは目の前の少女が明らかに人間でないのを否応なしに思い知らされる

「それにな軍人まみれのこのタイミングで大規模の火災なんて出来すぎだろ!!
 どこの勢力か、わからんが火を放った奴がいて軍人の可能性が高い!!
 最悪、戦闘もありえる!!貴様一人じゃ殺られるぞ!!」

「あんたらの仕業の可能性だってあんだろ!!そん時はあんたが俺を口封じするんじゃねえのか!?」
「まぁ……火をつけそうな奴らはいるな……」
ルーザの脳裏にガスマスクをつけた兵隊達が浮かぶ
「まぁ、その場合は『話し合って』みる」
ルーザのいう話し合いの意味はどういう意味かはわからない
「………」
ただ輝く赤い瞳と何処か冷たいその表情を見て、サギリは少なくともソレが話し合いではない気がした
「何しろ奴らは吸血鬼が大嫌いで!!内心ボクの事をよく思っていない!!
 最悪足止めにはなるぞ?とりあえず貴様一人で行くよりかはマシだろ?」

「赤や白だったら?」
「どうなるかボクにもわからん。とりあえず会話してみて最悪、戦闘になるか死にそうになったら二人で逃げる
 なんにせよトラブル事にはボクは強いぞ!!ヌゥホホホホ!!」
「その顔はムカつくやめろ!!あと人の頬をなめまわすなぁぁぁ!!」
ベロンベロンと舌をふりまわしサギリの頬をなめるルーザ

「それに誰もいなかったら消火活動か避難誘導になるだろうし人手は必要だろ?」
フフンと鼻をならすルーザ
「………アンタは俺を殺すんじゃないのか?」
「あぁ仲間を傷つけたオレを殺すかってって言ったな。その時の話の続きか?」
「あぁ」
「まだわからん!!」
「はぁ!?」
「まず!!その時の状況がわからん!!」
クワッと目を見開くルーザ
「どちらが先に仕掛けたのか、どういう会話をしたのか、どういうなりゆきだったのか。
 ボクは何も知らない。それでいきなり殺すだなんて少なくともボクには出来ないな」
ルーザは少し困った顔をする
あの白髪との会話はなんだったんだとサギリは思ったが
確かに『こちらから殺す』とはルーザは言ってなかった

「だが貴様が自分の意志で乗り込んできた軍人だったなら許さなかったかもしれない……
 でも貴様は島民だ。貴様は島で暮らしてただけで何もしていないだろう?
 加害者のボク達が言うのも何だが、なんで何もしてない奴らが、ひどい目にあわないといけないんだ?
 イヤな事を思い出すんだ……そういうのは好きじゃないし……」

「ただ……普通に生きていたかっただけなのに、襲われるのはつらいし悲しいと思う」
「ボクが同じ立場だったら……」
何かを思い出したのがルーザはその先の言葉を言い留まる

「襲ってきたのは……軍人……アンタらだろ」

「うん……ごめん………」
「…………」
サギリの言葉に悲しそうな顔をするルーザ
二人の間に沈黙が続く

「聖櫃」
「は?」
急に聞いたことのない言葉をルーザが口走ったのでサギリは怪訝な顔をする

「ボク達や他のこの島に来た軍人達の目的だ。何もわからないままじゃ困るだろ」
「あ……あぁ、それでソレはなんなんだ?」

「それがあると吸血鬼を人間にする事が出来るらしいって言われてる
 それがこの島のどこかにあって、みんなそれを探しに来たみたいだ
 ボクも人間になれると思って今の軍に入った」

「ふざけんなよ!!そんな事で島を……それに完全に泥棒じゃねぇか!!」

「……すまない」
「他のみんなは知ってたのか知らないけど、少なくともボクはこんな事になるとは思ってなかったんだ……
 白服と赤服の……他の奴らが来るなんて聞いてない……
 こんなしっちゃかめっちゃかになるなんて思わなかった。ボク達だけですぐに終わると思ってたんだ
 それがこんな事になるなんて……」
ルーザの手が震えていた
「おいビビリ、震えすぎて俺を落とすなよ、スピードかなり出てるしオレ下手したら死ぬ」
「え?あぁ!?」
その言葉にルーザは驚き思わず手を放しそうになる
「おわぁぁ!!言ったそばから危ねぇな!!」
「ははっ……すまんすまん」
怒るサギリに対して力なくルーザは笑った

それから少ししてルーザは再び口を開く
「貴様は凄いな」
「あ?」
「吸血鬼でも粛清人でもないのに……今も島の人のために行くのだろう?
 ボクは………今までボクの事ばかり考えてたから……とても真似できないな」
あぁ、ずっと一人だったなとルーザは自嘲する
「でも……今はボクにも少しだけ気持ちがわかる気がするけど……」
見知った顔を思い出しフッと笑う。だがそれ故に島に踏み入ったのは自分たちなのだという事が
それがどういう事なのか思い知らされているようでルーザにはそれがつらかった
きっと一人のままなら気づく事の無かった意味と痛み

「……これはそもそもボク達のせいだ。許せとは言わない恨んでくれて構わない」
「………」
「でも、あの火災は異常だ、ボクとしても調べる必要はあるし、ボクにも手伝わせてくれ」
サギリの方を見てルーザはニッと笑った

■おぁぁぁ!!文字数限界が迫る!!迫る!!
なんかクソ長になったので漫画では無理かもしれない!!とイラスト&文で攻めてみました!!
サギリ君色々とごめんなさい!!
あくまでルーザの提案なので断ってくれても構わないです!!
その場合、わくわく阿片ランド、キャンプファイヤー会場までのタクシーとして去るので!!

何かありましたらパラレル&スルーで!!(スタイリッシュ土下座)

■conflict:葛藤

■お借りしました!!
サギリ君【illust/76259523

■自キャラ
情緒不安定マン【illust/76407590

#ぴくせれ#ぴくせれ【独占派】#秘継乃祭【独占派】

2019-10-13 23:42:30 +0000