「いらっしゃいませ。お気軽になんなりとご相談くださいね」
「よくぞ聞いてくれました!これはつい最近仕入れたばかりの花の蜜を主軸に据えた香水なのだけど、
この蜜が原料としてかなり特殊でね、時間経過で香りの強さに変化があるのは当(以下略)(一息)(早口)」
◆禰摩(ネマ)・オイヨリカ
オイヨリカ香院院長/34歳/157cm/女 一人称:私 二人称:あなた 名前は呼び捨て
STR:0 DEX:5 INT:5 LUCK:0 計10
◆オイヨリカ香院(-こういん)
もとはそれなりに高名な暗殺者一門出身で毒殺を得意とする暗殺者であったネマが
後ろ暗い稼業で貯めに貯めた財で開いた香りの専門店兼研究所。
それまで趣味で収集していた膨大な数の香水や香、
果ては毒までありとあらゆる“香りもの”を収めた巨大な地下倉庫を擁する。
オリジナルの一点物から伝統の一品、淑女のたしなみから人に言えないお薬まで、
さまざまな香を作り売り買い調べる。
数多のコレクションの管理は院長曰く「魔法」で行っているとのこと。
僻地にあるため知る人ぞ知る隠れ家状態だったものの、
一度来店した顧客のリピート率が非常に高く、口コミによって最近ようやく客足が増えてきた。
だんだん店が客で賑わいつつあるなか、
従業員が院長一人なのでさすがに人手が足りなくなってきているのが現状。
❖開花/『一緒に並んで歩みたい人』 ダイダイ農園 ダイダロス・ダイキュリーさん【illust/77141299】(10/09)
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その人から差し出された見たこともないほど真っ青なオレンジが目を惹いた。
今まで扱ったことのある柑橘類とはまた違う爽やかさを含んだ香りに、これだ!と確信する。
「ねえ!このオレンジ、香料の原料としてうちで取り扱わせてくださる?」
「すごく特別な香りだわ。一般的なオレンジやベルガモットより華やかさには劣るかもしれないけれど混じり気なく突き抜けた爽やかさが魅力だと思います。利用法としては具体的には皮から精油を抽出して香料の(略)」
「こんにちは、ダイダロス。あの…すごく言いづらいのだけど…その…開発にね、オレンジの皮は使うのだけど、実がその…余っていて…ジャムにするにも限度があって…ど、どうしたらいいかしら…?」
「さすがね!ありがとう、せっかく丹精込めて育てたオレンジなのに、肝心の実を無駄にするところだったわ。
そうだ!もっと余った分はジュースにして、香院に来てくれたお客様にお出ししてもいい?
勿論その時にあなたの農園の宣伝もするの、どうかしら?」
「だって私すごく好きなのよ、ブルーオレンジ!きっとこの先もっと沢山の人が好きになるわ」
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聞けば彼は私よりも12も年下らしい。年若いながらも組織をまとめ上げるなんて立派だ。
この頑張り屋な青年のためになんでも教えてあげたくなってしまうし、彼も香について知りたがってくれるから、ついつい話しすぎてしまう。
「今つくっているもの?これは練り香水といって、軟膏に香料を含ませて作る香なの。
ほら、ダイダイ農園の方に香水を委託して外部販売してもらえるって話だったでしょう?
こうして固形にすれば扱いに慣れていない人でも管理がしやすいかなって。
…製法に興味があるの?ええ、ええ!あのね、普段作るアルコールベースの香水とは違って油を基にした軟膏を使うから香りの定着率も違うので香料の配合を変えるためまずはメインのこのフレーバーを…」
「ご、ごめんなさい、私また…えっ、聞いてくれるの?
い、いいえ!もっとゆっくり話すわね!」
いつも私が自分のペースで話しすぎてしまうのを遮ってでも理解できるまで丁寧に話を聞きなおしてくれる優しさに甘えてしまうなんて、情けないと思うのだけど。
というかあまつさえその優しさに惹かれてしまうなんて、それってほんとに年上としてどうなの…?
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農園との…もとい、ダイダロスとの付き合いは想像以上に長く深くなってきた。友人のような親戚のような…いや、そんな関係の相手に惚れこんでいる自分もどうかと思うけれど、とにかく仲良くはなれたはず。
香を作るならば相手のことを沢山聞きたいので、今まではあまり親しくもない取引相手をイメージした香を作るとなると事業主のことを根掘り葉掘り聞きすぎて失礼に思われそうで気が引けていた。でも彼ならこの提案も飲んでくれるんじゃ…なんて、また年下に甘えきったアイデアを話さずにはいられなかった。
「せっかくブルーオレンジを使わせてもらえるのだから、農園の名前を冠したフレーバーを作ってみたいの。
できたらでいいのだけど…本当?ありがとう!」
「そうだ、もしよかったらあなたのことをもっと教えてくれない?組織には代表者の色が出るものだもの、香り作りに役立つわ。
ダイダイ農園の香りを作るからにはあなた自身のイメージが欲しいし…それにあなたについてもっと知りたくて。
何でもいいわ、私の知らないあなたを教えて。たとえば…ダイダロス、あなたはこれからどうなりたい?」
「話してくれてありがとう。…そんな顔しないで、嫌になったりしないわ。本当よ。
あなたが自分をどう思っていても、今まで私が見てきたあなたのいい所はちゃんと本物だもの」
「愚痴だって弱音だっていくらでも聞くわ。
私、あなたよりお姉さんですもの。たくさん頼って、ね?」
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「…………えっ、今、なんて……?私でいいの……?
ちょ、ちょっと待って…ちょっと待って!嫌とかじゃなくて、嬉しくて、その……ああ、顔が熱い。
お姉さんだなんて大見得切った手前こんな情けない顔、もう恥ずかしいったらないわ……」
◆設定上今期は所属不可とさせていただきます。
既知関係やお客様としてのご利用などはお気軽にどうぞ!
◆企画元:フェシーナの花々【illust/76345084】
開催おめでとうございます!
2019-10-05 06:32:36 +0000