私まで刃は届かないと思っていた なんて
なんという 驕り
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胡蝶結 深水-コチョウムスビ フカミ
二年生/16歳
2/24生まれ/身長151cm
一人称:私
二人称:貴方、貴女、先輩、同学年は呼び捨て
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代々優秀な心剣使いを産出してきた名門であると同時に
極道の一門を束ねる一族である"胡蝶結家"の一人娘。
そして猪八重家の唯一の生き残りの少年と鹿乃寺家の跡継ぎである少年を
左右に従え預かる「主」にあたる。
座学では秀でているが小柄で非力な体躯、捕縛・弱体化を基とする心剣の性質から
積極的攻勢には不向き。
その点を補うべくこの一年、二人の従者とのコンビネーションを深め
左右の腕として自由に繰る努力をしていたはずなのだが…
二人の少年との共同生活は楽しすぎた。主従という縦の関係は薄れ
姉弟のような、家族かのような横の繋がりを覚えてしまった
その結果、双方の抱える問題を抱えきれずに個々に任せ
次第に乱れるコンビネーションを整えきれず
事は起きてしまった
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心剣:御殿ノ虫籠-ゴテンノムシカゴ
ハバキにひごの虫籠を象る彫刻が施された、白鞘の短ドス。刃渡り6寸、常時顕現型
鞘に記された家紋を割り青く輝く刀身を引き出すことにより対象を閉じ込める虫籠型の結界を生み出す。
結界は直径1m高さ2m程度の小ぶりな籠を基本とし、対象の怨魔によって多少の拡大縮小が可能。
また、刀身を完全に引き抜いた時間のみ蒼く輝く麻痺効果の鱗粉を持った蝶を舞わせて怨魔を誘い
虫籠に共に封じることで入学当時より強力な怨魔をも捕縛できるようになった。
強く精神力を消耗するため籠に閉じ込めた時点で蒼い蝶は自壊させたほうが効率は良いのだが
いつかの未来の自分を見るように思えてあまり気持ちの良いものではない。
刃物としての性能は怨魔を切れるという力はあるものの刀身は短く、護身程度のものである。
第二学年に上がるまでのこの半年、柄・刃・鞘に至る全てに形状や能力に変化は起こらず
成長の顕現は一切見られない
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関係者様
◆猪八重萩玄君-illust/74936006
当家で処理した怨魔被害の生き残りの子。そして古くは当家に仕える家系の末裔
深水にとってはただ二人従えた従者の少年であり、親しき友であり、大型犬のような
大きな弟のような気安い存在。
おおらかに見えるその中に、家を、家族を失い、未だに癒えぬ心の傷を抱えていることを
知りながら 共に居れば、三人で暮らすこの家があれば と楽観視していた。
決してそんなはずはないのに。
「頼りにしているわね萩玄。落ち着いていけばいつもと同じようにできるわ」
切りつけられた瞬間に感じた強い恐怖…貴方は…何を"見た"の…?置き去りにしてしまう瞬間、見えた横顔は出会った頃の幼い貴方だった
◆鹿乃寺書人君-illust/74936223
代々胡蝶結家当主の近衛として従え続けている血筋の少年。
猪八重の子を再び従者として迎え入れたことにより近衛としての唯一無二性を失った不運な子。
師のようであり、兄のようであり、母のようにすら思える凛とした手本足り得る従者。
春休み以来の心剣の乱れも成長過程のものであると、彼自身で乗り越えるもの
きちんとした彼ならば、とその不調を正すのは彼一人で抱えられるものであると甘えていた。
彼も深水自身やもうひとりの従者の少年と変わらぬ若き不安定な少年であったのに。
「すぐに調子を取り戻すわ。強く鋭くなるための前準備なのよ、きっと…ね?」
切られた萩玄へ向けた瞳、この情けない主へ向ける瞳、そして形を保てない”貴方自身”を見つめる瞳…生真面目な貴方にそれらはどう写っているのでしょう…
◆六条竜洞君-illust/75288223
今回の対戦者。有望で悪趣味な能力を刃に持った後輩の少年。
後輩で単騎、負けるはずは無いそれを覆したのはあまりにこちらの連携が崩れていたからか
彼の技術故か。それともその両方か…
日常の中で出逢えば普通に挨拶もするが、蜜のように絡みつくこちらを見る視線が気がかりで
見つめられる…観察されるのはだいぶ苦手
「驚いたわ…貴方、とても強いのね。不快で、不愉快で、とても強力な…敵に回したくないというのは貴方のような"モノ"を持った人を言うのね」
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右に、左に、風が通り過ぎた
一度完璧に組み上げたはずの光の虫籠が霧散していく
碧く輝く刃は弾き飛ばされ、役割を果たせず空になった手のひらは
気が付けば生温い赤に染まっていた。
「…え?」
なにが起きたのかわからないほどの間抜けならばよかったのに
風通しの良くなった左側と、対して激しい熱を帯びた右腕が
起きた事実をただ冷静に告げている。
お前の双璧は崩れ、お前はお前自身の存在意義すら弾き飛ばされたのだ、と
左右の手足の片割れである少年が駆け寄ってくる
赤く、血を流しながら
もうひとりは動けすらしない
主としてなにか言葉を紡がねばと開いた口は
出血のためか責の重さに気づいてしまったためか
浅い呼吸しか紡げない
なにか言わねば、二人を気遣う言葉を
なにか告げねば、二人を叱咤激励する言葉を
二人になにを、言えるというのだろう
ごめんなさい と、謝ることができればよかったのに
その無責任な言葉を主である立場は許さない
主である限り許されはしない
私は…胡蝶結深水は未だ主という立場に縋り付きたいのだ
亡き母の帯揚げであった髪留めが呆れたように緩み解け
保健室へ向かう人混みの中へ流れていってしまった
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企画元
闘乱祭 -夏ノ陣 illust/74041305
この痛みも二人の傷も
すべて私の 咎
2019-05-27 13:20:38 +0000