「おや、いけないよ子どもたち。この場所は落ち着いてるとはいえ集団から抜け出してはいけない」
監督役の目をくぐりぬけ抜け出した子どもたち。
前進後退を繰り返したこの場所は今ただ静かで、あるのは敵味方問わない焦げた亡骸と、砕けた武具と旗。
その先に立つ変わり者は赤い髪の誰かだった。
男の周りには白い光が意志のあるかのようにゆらゆら動いて、側を通り過ぎる瞬間に幼子のささやき声が一瞬聞こえたような、そんな音が小さく鳴った。
白い光は1つ2つ増えていく。
「私の友はノーザリアのメーヴェクナ。あなたたちを害する気持ちは毛頭ありません。ただ、ここから先の人々はどう動くかはわかりませんが」
「この子たちは、昨日までは君たちと同じだった。私はこの子達を連れていく者。次に会った時、君たちが私の誘う対象になっていない事を祈りましょう」
-歌を歌おう
君たちの故郷の歌
死んだら終わりか眠って終わりか
望めばまだ終わらないかもしれない
それはけして優しい救済ではないけども-
■お借りしました
ノーザリア少年兵ギュンターさん、モルテンさん、ニルスさんillust/73823180
芳葉illust/73648165は静かになった戦場でノーザリアの歌を歌いながら亡霊を起こして声をかけています。
この行動は彼にとっての日常の1つですが、他人が見たら奇行と思われることは自覚しています。
しろうさぎのシロillust/73295982は、この魂たちと同じように死後彷徨っていた所を、芳葉に誘われて「しろうさぎ」になりました。
芳葉は今回もノーザリアの兵や、国問わず子供の霊を見かけると仲間にならないか声をかけますが、強制ではなく、断っても「ご武運を」と語ってその場を去ります。
生者に対しては、敵味方問わず大怪我していれば手当をしながら歩いており、自分の手で死者をつくろうとすることは、けしてありません。
また、力の無い少年兵に対しては、頼まなくても戦で自分を守るための方法を簡単に教えて彼らの生存率をわずかでも上げようとしています。
2019-03-23 22:17:51 +0000