「―――――…捕まえました、シユさん。」
そういって、傷だらけの狐獣人…トトーニャは、シユの手を握った。
ペドビットメンバー、メルから渡された秘薬…エリキシアは、
シユの獣化に一定の効果を見せるものの、本格的な鎮静には至らなかった。
獣化が進みすぎていたのが原因と思われる。
次にトトーニャが行なった事は、遥か辺境の不思議な力…気功での治療。
その力を下腹…丹田へと流し込み、獣化で乱れた気脈を整えることだった。
しかし、血に狂い暴れまわるシユが、おとなしくその治療を受け入れるようにするわけがなく、
幾十遍も切り裂かれ、殴られ、飛ばされながらも、肉薄し。
シユが正気に戻った今に、至る。
「と、トトおねえちゃんに、すごく、ひどいことして…」
「これくらいなんてことはありません。貴女を正気に戻せたならば、ね。」
「ひ…人も、たくさん殺して…」
「…シユさんは、その事を楽しいと思いましたか?」
「ッ……あの、時は…楽しい…って、思っちゃったけど…今は…やだっ……!!」
「そう思えるならば…次は過ちを起こさないようにしましょう。
シユさん、貴女のその力は護る力にも、壊す力にもなります。
その力を御したいという優しい心もある。
ならば、その力を制御する術(すべ)はあるのです。」
「ほん、と?…あの首輪が無くても…薬が無くても、大丈夫、なの…?」
「はい。帰ったらその術を私が教えます。
だから泣かないで、安心して。
……さ、立ち上がれますか?」
「……帰りましょう、シユさん。
みんなの待つ、ペドビットへ。」
「…………うんっ!」
【お借りしました!】
あばれんぼうのお転婆さん(暴走時):シユさん【illust/73153557】
ペドビットのモフモフ薬師さん:メルさん(名前のみ)【illust/73499928】
北方狐トトーニャ:【illust/73061960】
※この時系列の直後になります。
【illust/73735311】
2019-03-17 14:29:00 +0000