【PFLS】白銀に燃ゆる【紅鋼】キャプション追加しました

やまだ六角
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肌を刺すような風がうねり、ストーンランドを白く埋め尽くす。
前後感もわからなくなりそうな吹雪の中、それはいた。

ひ、ふ、み…そう数は多くないがこの極寒の地で、身を隠す気が毛ほどもない。
「へっ、強者の余裕ってやつかよ…」
吐息が漏れないよう、口の中だけで独り言つ。

偵察に鼻の利くイヌ(illust/72978833)を走らせ、数刻前から先手を打ち
包囲すべく有利な地形に陣取ったというのに、人間が目視出来る距離にまで来てその作戦がすべて無駄だったと気付く。
イヌは優秀ではあるが、知るべくもない。
あれは『紅き鋼』…アイツらに手を出すほど恐れ知らずは、ここには誰一人居ない。
居たとすれば、英雄か、気が触れているかのどちらかだろう。
ただの無駄死にはわれらの本意ではない。部隊長が指示を出すまでもなくその場の全員が息を殺し、この自然災害とも言えるような脅威がただ過ぎ去るのを待っていた――…

「…はぁー寒ィ」
「そう言うなら陣に戻っても構わないわ」
「ばっかやろう!アタシは姉貴の行くところならたとえ火の中水の中!何処へだってお供するって決めてんだ!」
「だが確かに…マントがあるとはいえこの寒さは…少々堪えるな」
「すみません姉貴ィ!北の奴らがウチらの国に攻め入るなんてチョーシこいてるらしいから追い返したくらいじゃ気が済まねェなんて、アタシが我儘言ったばかりに…ッ!」
「気にするな。ノーザリアが確かな脅威であると、最終的に決めたのは私の判断だ」
「あ、姉貴ぃ…ッ!!」

耳をそばだてずともやりとりが聞こえる程の位置。
弓を引けば容易に届くだろう距離でこちらの気配に気付くでもなく、呑気なやり取りをしている連中が本当にあの…?
疑念が沸く。
伝説にあやかり扮している者どもなのでは…?

「やっぱり……
 やっぱりこんな所にイザベラの姉貴を長く置いちゃおけねぇ」
「…腕がなりますわね」
「全く、血の気の多い者どもだ」

先ほどの騒ぎは何処へ行ったのか、よく聞こえない。
どんなやりとりをしているのだろう、耳をそばだてようとした所へキリリと微かな音がする。
…背後から?!
振り返ろうとする俺の横を何かが掠めていった。

疑念を抱えていたのは俺だけではなかった。
青い顔をした新兵が、恐怖と、混乱とのあまり弓をひいたのだと気付いた時にはもう遅い。
焦りから放たれた矢は、その感情とは裏腹に確かに鎧の隙間を捉えようとしていた。

「――…だからさぁ?とっとと全部燃やしちまおうぜ?!」

届くか否か、巨大な肩鎧の女の前で碧い炎が弾け飛ぶ。
それとほぼ同時に、矢を放った新兵の腕が爆ぜる。

紅く、碧く、白く、それが俺の最後の記憶だった――…

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■登場人物(左から)
一角のダキア(illust/73231696
カルヌゥ&ヴィンヌゥ(illust/73243120
紅き鋼のイザベラ(illust/73212843

口調や設定など、不都合等ございましたらパラレルでお願いします。

■キャプションの戦闘相手は特に考えてませんモブです。
イザベラさんを撃った奴はぶち殺すマンとして腕は吹っ飛ばしましたが、その後生かすも殺すも、設定等はお好きに解釈頂けましたら幸いです。

<TIPS>
血の気の多い~:早い段階から部隊の存在に気付き、紅鋼の二人もだが、弓を射ろうとする新兵についても言及している
ちなみにカルヌゥ(ヴィンヌゥ)は人々の記憶に残る事が最大の目的なので、言動の割には命まで奪うのは本意ではないスタイル。

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2019-02-24 15:08:53 +0000