「俺は失敗作だからな、厄介払いってわけだ。クソジジィも清々しただろうよ」
「殺したいわけねーだろ、俺が死んだほうがマシだ。……夢だからって、あの感覚は有り得ないんだよ…」
- - - 🌙 眠れぬ君に、よい夢を【illust/70029555】
20180920 素敵なご縁をいただきました。
- - - ▼ 四辻 邦彦(ヨツジ クニヒコ)
18歳 / 高校3年生 / 184cm / 俺・アンタ
有名な四辻カンパニー、社長の長男。
父親の厳しい教えに反抗するように素行が悪く、問題児扱い。
悪夢症候群により、弟、妹を殺す夢を見てから余計に酷くなり、
メディアに騒がれる前に父親がマンションの一室へ半ば無理やり閉じ込めた。
刃物や鈍器があると自傷行為を繰り返すので、今は最低限の家具しか無い。
元々目つきが悪いのに加えて、眠れないことでよりいっそう凶悪に見える時がある。
- - - ❤❤❤ 市原 佳奈子 様【illust/70713115】
毎日毎日、眠くて眠くてイラつく。
眠りたいのに、眠りたくなくて、もしかしたら、俺が今を生きている事自体が、悪夢なんじゃないかと思うようになった。
期待なんてしてなかった。けれど、現実から消え去る勇気もなくて。
「アンタのベッド、まだ、…届いてないから……ごめん……」
関係者以外で人が訪れたのは初めてだった。俺より小さい、年上の女。
けれど、俺も限界だったんだろう。ソイツをベッドに連れ込んで、言葉を交わす間もなく意識を失う。
また失敗した、と思った。
目が覚めたらもう部屋は暗くなっていて、傍には、…あの女がいた。
「……よく、眠れた、どうも。……アンタ、次はいつ来んの。連絡先教えてよ」
「……ここに住めば。部屋、空いてるし。…必要なものがあれば言ってくれれば買うし」
市原佳奈子。
俺が、彼女を信用するまでに時間はかからなかった。
彼女がいれば悪夢を見ない。それだけでも、俺には救いだった。
「アンタさぁ、もっと自分の今の状況考えてみろよ……俺だって男だ。わかんだろ」
「…ほんっとズレてんなぁ……まぁいいけど…」
なのに、彼女はそれ以上に俺を、暖めてくれる。
その大きな優しさを、どうして俺に向けられるんだ?
「…ッ…、クソ……たった、1日だろ……」
彼女を手に掛けたその手で、彼女に触れる資格なんか、彼女に想いを向ける資格なんか、俺にはないのに。
―――なのに。
『会いたい』
「アンタを殺したんだよ、夢の中で。…殺したんだ…、俺が…!!
……なのに"会いたい"なんて、馬鹿みてぇだろ……佳奈子が触れてるだけで、痛いのも、怖いのも、感じなくなるんだ。…夢だけじゃない、夢だけじゃないんだよ」
いつの間にか、彼女が、誰よりも大切な、愛しい存在になってた。
馬鹿だって言われても良い。彼女が、彼女が俺を、暖めてくれたから。
「抱きまくらだけじゃ足りなくなった。もっと……アンタの事も、大事にしたいんだよ。……わかんだろ」
柔らかい笑顔を俺に向けてくれて、
「佳奈子、もっと近くに来れば。……俺がくっついてたいんだよ、悪いか」
素直になれない言葉も許してくれる。
我儘な俺だけど、今度は、アンタの事も
――暖めてやりたい。
- - - ▼ ツイッター【twitter/y85_P】(3L有。全て壁打ち使用)
2018-09-19 13:26:44 +0000