【えんもの】昊【四世代目】

EL

縁は異なもの味なもの【illust/67011335】今期も三人目、投稿させていただきます。

知っているよ。
からっぽの器が埋まった夜も。愛する人のぬくもりを感じながら、最期を迎えたのも。
運命に出会った月夜も。つめたい水の中、しあわせに笑いながら眠ったのも。
やさしい光に触れた朝も。太陽の下を歩いて、はじめて心が満たされたのも。
夢なんかじゃ、なかったことを。

…それじゃあ、わたしは?


「あら。珍しいですね、こんな所を人が通るなんて。道に迷われたのでしょうか、それとも、昊が呼んでしまったのでしょうか。…何にせよ、しばらくゆっくりしていってくださいな」
「…妙なことを聞かれるのですね。昊はずっと一人ですよ、これからも」
「失礼な。わたしはこう見えてキミより年上だよ」
「…キミはわたしの友人だよ。ただ、それだけだ」

「置いて逝かないで…もしもわたしがそう言ったら、キミはどうする?」


御子神 昊(こう)

性別:女
種族:半妖(人間、座敷童、リヴァイアサン、迷い家、霊鬼)
年齢:見た目15歳ほど/実年齢22歳
身長:164cm
一人称:わたし、昊
二人称:キミ、貴方、〜くん、呼び捨て

山奥の社の近くでひとり、暮らしている女。
座敷童子の血ゆえか、実年齢より幼い見た目。幼少期から時折見ていた妙な夢を「誰かの記憶である」と確信している。
ごちゃ混ぜになった記憶は、彼女の人格形成にかなり影響を与えたようだ。

12歳になった春、「一人にして」と言い残し、家を出る。
山奥の社へは『記憶』の限り辿り着いた。
夏の終わりはその一帯は彼岸花で埋め尽くされるのだとか。花の世話の所為か、夏から秋にかけては手はいつもボロボロ、包帯が手放せない。
基本的には敬語で話すが、友人と年下の相手にはタメ口。

何が自分の幸せなのか、どうすれば自分は満たされるのか。
簡単な話だ、答えは既にわかっている。
…わかっているけれど、素直に頷くのが怖い。
だからできれば、誰にも会いたくない。大切な人など、欲しくない。
一歩踏み出してしまえば、もう戻れないだろうから。

迷い家の血に因るものか、無意識のうちに人を『家』へ呼んでしまう。
そして呼ばれた者たちは、彼女の考える「幸せ」を無意識のうち求めるようになる。
『家』は彼女の身体の一部のようなものであり、壊されれば怪我をするし、一定時間『家』から離れると弱ってしまう。それもあってか、ほとんど『家』から離れることはない。

◆家族
父:御子神 あめ【illust/68499186
母:いおりさん【illust/68500171
「大切なお母様、大切なお父様。きっともう会うことはないでしょうけれど。大好きですよ、本当に」
「…元気にしていらっしゃるでしょうか。ふたりの光は、昊には眩しすぎたみたいです」


兄:あさひくん【illust/69142476
「大切なお兄様、優しい優しいお兄様。昊はそれを見届けることはできないだろうけれど、いつか貴方だけの幸せを見つけられますように」
「お兄様ならこの気持ち、わかってくださったでしょうか」


妹:碧【illust/69014285
「大切な妹、なにも知らない子。わたしの顔も忘れてくれるといいのだけれど」
「ちょっとだけ…キミが羨ましいよ、碧」


花を手折る。
不思議だね、春の陽気に包まれた日も、夏の太陽に照らされた日も、秋の月夜に見守られた日も、冬の雪に覆われた日も、この花だけは枯れないんだ。


また一本。
あれから何年経っただろう。数える事も忘れていた。見た目は少女のままだけれど、きっとそろそろ時間がくる。


また一本。
ずっとひとりが怖かった。
置いていかれるのが怖かった。
お父様、お母様。
お兄様、碧。
昊の大切な、愛しい家族。


また、一本。
でもね、全部知っているんだよ。全部覚えているんだよ。
心が満たされた日のこと。
恋を知った日のこと。
寂しさに気付いた日のこと。
ずっとひとりじゃなかったこと。


最後の一本は両の手で。そっと優しく包みながら。
そうだ、わたし。
もう誰のことも、
恨まなくていいんだね。

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2018-06-19 18:31:04 +0000