こちら【illust/67011335】の素敵な企画に引き続き参加させて頂きます。
主催様より承認頂きました。 6/8
紫煙と 愛を飲み込んで
美酒と 毒を飲み込んで
酔って歌って狂えれば 世界はきっとアナタの色になる
「あ、や、すまない…柄にもなく少し動揺しているんだ。キミを前にすると俺はどうしようもないくらい弱い…女になる」
◆名前: 志岐 蓮(しき はちす)
◆年齢:20歳以降うろ覚え(外見20代後半)
◆種族:半妖(窮奇、カーバンクル、セイレーン、人間)
◆身長:181㎝(+ヒール10㎝)本性は15mほど
◆一人称:俺
二人称:キミ、~君(男女関係なく)、基本的に敬語は使わない
◆好きなもの:煙草、酒、歌
◆嫌いなもの:熱過ぎる食べ物(猫舌)
◆備考:【novel/9727434】
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◆素敵なご縁を頂きました🌸
◆わたしはキミだけのgattina:エヴァルドさん【illust/69077969】 6/11追記
無様な呻き声をあげて地面に転がった男を見降ろして、紫煙を深く吐き出す。
珍しいことではないが、やはりこういった“身の程を知らない”雄を見かけるとつい口よりも先に拳が出てしまうのは父譲りの困った癖だな。
不安そう見守っていた子猫ちゃんたちに心配ないと伝えると、安心したような溜息の後にすぐ黄色い声が上がる。
雄に絡まれていた子猫ちゃんの頬に指先で触れれば、うっとりと目を細めて可愛らしい。
「どうだろう、今日は俺と――」
そう言いかけたところで背後から聞き慣れない声と言葉が聞こえてくる。
振り返ればすらりと背の高い、白銀色の髪と青い瞳が印象的な色男がこちらに笑顔を向けていた。
服装と異国の言葉から日高国出身ではないこと、そして口元から覗く白い犬歯を見て自分と“同類”だと察する。
エヴァルドと名乗ったその男が“モテる男の秘訣”と呟いてから声が消え入るように小さくなり、顔ではなく明らかに違う部分を見下ろしていることに気づいてふっと思わず声が漏れた。
視線が顔から胸へ、胸から顔へ、胸へ、顔へ、忙しなく移動しては驚いた様子で“DONNA?!”と叫ぶ姿が実に面白い。
勘違いされることはたまにあるし、何となく言葉の意味を察した俺はグッとその焦った顔に鼻先を近づけて顔を見せつけてやった。
「あぁ、女さ。でも子猫ちゃんたちを可愛がるのに雄とか雌とかほんの些細なことだろう?」
キョトン、見開かれた青い瞳に自分の顔が映り込んでいる。
あぁ悪い顔をしている、そう思いながら喉の奥で込み上げる笑いを押し殺した。
「別に意識してやっていることはないが…。まず相手を口説きたいなら、相手の良いところを褒めてみたらどうだろう。…ほら、試しに俺で練習してみるか?」
「――、もういい。わかった、もう十分だ。まぁ、うん…初心者くんにしてはなかなか上出来じゃないか?」
(末恐ろしい男だ、キミは)
「合コン? あぁたまには良いだろう……っていいのか? まぁ子猫ちゃんを総取りしないという保証は出来ないが…そんな顔をするな」
好みの酒を飲み交わしながらキミと語らう時間は心地いい。
大人数で騒ぐのも好きだが、今はキミと、キミだけと話をしていたい。
そう思えるくらいに気が合ったし、まるで同性の友人と過ごすようにゆったり時間が過ぎるのが好きだった。
キミの隣は心地が良い、そう口にしそうになってなぜだろう、言葉を噤んでしまった。
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「あぁ喜んで。キミの大切なtesoro達に歌を披露しようじゃないか」
甘酸っぱい香りが広がる空間は、とても心が躍った。
キミが望むならいくらでも響かせよう。
初めての苺農園に気分が弾み、選曲していた思考はキミの予想外の行動で停止してしまった。
髪に添えられた小さな白い花よりも、君の満足そうに細められた青い瞳があまりにも綺麗で胸がグッと苦しくなる。
「いや、俺にそんな可愛らしい花は似合わないさ。白い小さな花は…そう…俺じゃなくて…」
不自然に視線を逸らして、口元を手で覆う。
見ていられなかった。
キミの青い瞳に映り込む、見たこともない自分の顔が。
(こんなの、俺じゃない)
後に自然と零れたキミの言葉の意味も。
差し出された苺の甘さも、よくわからなかった。
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「…静かだ」
紫煙を深く吐き出しながら、グラスに注がれた酒を見下ろす。
こんなに味気がない酒は初めてだ。
(やはり、俺らしくない)
1人で飲む酒は、ただ喉を熱くするだけの水へと変わってしまった。
気分を晴れやかにするでもなく、喉を通り抜けては埋めきれない何かがグルグルと胸の奥を渦巻くだけ。
そうなってしまった原因はわかっていたが、今更それを打ち明けることも出来ない。
(だって、打ち明けたい人はもう居ない)
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「なん、で…?」
耳に懐かしい弾んだ声に、一瞬ビクリと体を震わせた。
聞きたかった声なのに、期待してから裏切られるのではと不安もよぎる。
でも違った、キミはそこに居た。
何て声をかければいい、いつもならすぐに言葉が流れるのに今はどうしても言葉が出ない。
聞きたいことも言いたいこともたくさんあった筈なのに、今はどうしても君の声に耳を傾けることしか出来ない。
見たことがないくらい真剣な表情で、声で、キミは精一杯の気持ちを伝えてくれている。
自分には相手の心を読む力があるが、そんなものを使わなくても手に取るように溢れてくるキミの温かい言葉の数々が胸に染み渡っていく。
「gattina、か…まさか自分がそんな呼ばれ方するとは思ってなかったな」
「俺も…、キミが、あぁ少し待ってくれ。ガラにもなく照れているんだ…すまない、今顔を見ないでくれ」
「あぁ早く…キミの瞳をまっすぐに見たい。……その時はキミと、たくさん、キスがしたい」
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◆問題や不手際等ございましたらお手数ですがご連絡頂けますと幸いです。
キャプションは随時更新します。
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朝目を覚ますと、隣でへらぁっと締まりのない寝顔のキミが居る。
頬を少し摘まむと、それは幸せそうに笑みを浮かべるものだから可笑しくて仕方ない。
あぁ早く起きてくれ、
「キスしてほしくてたまらないよ」
2018-06-08 04:44:31 +0000