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【縁は異なもの味なもの】(illust/67011335)
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▼鈴寿(りんじゅ)/17歳/女/148cm/半妖(古椿の精、天狗の妖怪、狸、人間)+(酒呑童子、すねこすり、人間)
一人称:わたし/二人称:あなた、~さん(懐いてきたら名前呼び捨て)
すねこすりの耳と狸の尻尾を持つ半妖の女性。飴細工を売り歩く傍ら、子供の集まる場所では紙芝居を見せている。
性格はおっとり穏やか、細かなことは気にしない。
母の血筋の方向音痴は健在で、少し慣れない場所ではすぐに迷ってしまうのが短所。
父の影響で縫いぐるみともこもこふわふわなものが好き。
時間が有るときは尻尾とお耳の毛並みのお手入れをこまめにしてみたり、次の紙芝居のお話を考えたりしている。
子供が好きで、一緒になってはしゃいで遊んでいる姿も時々見られるよう。
母から聞いた比翼のとりに憧れて、いつかそんな人と巡り会えたら素敵だなとこっそり思っている。
…*✿*…
▽両親
母:無花果 花梨さん(illust/68813916)
父:桜珠(illust/68812672)
▽きょうだい
▽従兄
華月姫さん(illust/69014498)
「かあさま、ほら見て、うさぎの飴も上手く出来るようになったの」
「とうさま次は何を作るの?とってももこもこな生地、ひつじさんみたいね」
「次のお話は、何にしようかな。もっといろんな人のお話、聞いてみたいわ」
「はづ、はづ。こないだの椿の練り切りきれいだったから、また作ってくれる?」
「あのね、わたし、もっとあなたのお話聞きたいわ」
…*✿*…
素敵な旦那さまとご縁を結んで頂けました!
童心を忘れない、お茶目な一面もある可愛らしいお方 八梧さま(illust/69121310)
「こんにちは。…ふふ、雑巾がけ競争の途中にお邪魔します。一等さんにはどんぐり飴、あげましょうか」
「…少しの間だけ見えないの、我慢しててくださる?先生のおめめ、とってもきれいな色なんですもの」
「先生、お買い物?お荷物大変そうだから、良かったら半分お持ちしましょうか」
「それじゃあ今日のお話を…あら、先生も今日はお客さんなの?」
…*…
賑やかな、子供の声がする。この道を通りがかる時はいつも楽しそうな声が耳に届く。
数人の笑い声。様々なそれに、随分と大家族なお家なのだなと思っていたら、どうやらここでは寺子屋が開かれているらしい。
…あぁ、通りでいつも。そう思って納得したけれど、単に人が多いから賑やかだという訳でもないだろう。
いつも優しく耳に残るのは、子供たちの楽しそうな声。
その中心に居るのは、一体どんな人なんだろう。きっと始まりは、そんなちょっとした好奇心からだった。
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「また、先生が一等賞?」
絞った雑巾を干す背中に声を掛けると、くるり振り向いた彼は穏やかな笑顔を浮かべて。
眼鏡越し、少し遠い夕焼け色の目と視線が合う。彼はずぅっと歳上で背だってとても高いのに、その瞳はなんだか悪戯盛りの子供のそれに似ている気がした。
「連勝記録をね、更新しておこうかと。目標があれば張り合いもあるでしょうから」
「…雑巾掛けにも真剣なのね」
小さく笑って言うわたしに、先生が大きく頷く。何事にも全力。真剣で、真面目な人。
でもがむしゃらな訳ではなくて、実はこっそり心の隅に楽しむゆとりを隠し持っているのだ、この人は。
「鈴寿さん、今日は何のお話をされるんです?」
「新しいお話が出来たので、それを。だから中はまだひみつです」
「おぉ、それは!子供達も喜びます、呼んできますので待っていてくださいね」
そう言ってぱたぱた急ぎ足で子供達を呼びにいく姿を見送りながら、自然と頬が綻んでしまう。実は子供達より先生の方が楽しみにしていてくれるんじゃないかしら、なんて。そんなことをこっそり思って、ぽかぽかと胸が暖かくなる。
(…今回のお話、気に入ってもらえるかしら)
そわそわと落ち着かない気持ちで、足元に視線を落とす。緊張だけじゃない、高鳴る鼓動は一体何が原因なんだろう。
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意外な一面。怒るといつもの穏やかさがすっかり隠れて、無口になるところ。
それを初めて見たのは、うっかり慣れない道を通って迷った夜のこと。
わたしにとっては慣れっこで、いつものお約束。だからなんてことない、迎えに来てくれた彼がひどく憔悴していたのもわたしは不思議だったくらい。
帰りますよ、そう短く発せられた声はびっくりするくらいに冷たくて。手を取られてぎゅっと痛いくらいに握られる。
少しだけ怖くて手を引っ込めようとしたけれど、簡単に振り解けるような握り方ではなくて。
黙りで帰る道すがら、繋いでいた手の熱さだけが、いつまでも記憶の隅に残っている。
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半分こにした荷物。本当は彼の方が重たいのは、知らない振り。
迷子にならないように、なんて。隣を歩いていてもそんなに危なっかしいのかしら、わたし。
けれどそれはこっそり胸にしまって、伸ばされた手をわたしから握る。あったかくて、大きな手。
「心許ないなんて、そんなことないわ。それに、先生ならわたしが迷子にならないよう、ちゃんと見ててくれるって思ってますから」
「…わたしも、先生と帰れるの、嬉しい。ふふ、なんだか変な気持ちね」
夕焼けに照らされて、でもきっとそれだけじゃない、真っ赤になった横顔を見上げる。…負けないくらい、きっとわたしも赤くなってしまっていそう。
鼓動が耳に響くくらいに早鐘を打つ。言葉が詰まって上手く返せないのがもどかしくて、繋いだ手にぎゅっと力を込めた。
「…わたしも。わたしも先生…八梧さんがすき、…だからずっと、一緒にいたい、です」
顔が、熱い。なんだかとっても逃げ出したくなるような、そんな気持ちが暴れている。
あぁ、でも。
(しあわせで、どうにかなりそう)
言葉にできない代わりに、繋いだだけの手に指を絡める。離れないようにしっかりと、大好きな手を捕まえた。
…*✿*…
お借りしました素材
(illust/65002687)
2018-06-01 22:53:21 +0000