【えんもの】依命【三世代目】

魚住@ちぎょ
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縁は異なもの味なもの【illust/67011335

花のようには散れないが、
鳥のようには歌えないが、
風のようには包めないが、
月のように、照らされていたい。

花のようには成れないが、
鳥のようには鳴れないが、
風のようには為れないが、
月のように、見守っていたい。

そんな願いと祈りを込めて、
尊い命に、梔子の花を。

◆ 依命/えな
半妖(人間・死神・鬼・座敷童子)
女│23歳│161cm

「そんなところに立っていないで、此方へいらっしゃい? 一緒に本を読みましょう」
「外が嫌いなわけではないの。ただ少し、私には眩しすぎるだけ」
「ねぇ、手を繋いでくださいな。……不思議、何だかとても安心するの」

死神の血を引く父と鬼と座敷童子の血を引く母の間に生まれた娘。
身体的老成による寿命という概念がなく、身体は既に実年齢より数年若い時点で成長を止めている。恐らく病気や物理的な衝撃により死ぬ。

人好きのする性格ではあるがインドア派であり、夜中の散歩(という名目で死者を黄泉まで案内する)以外は寺の敷地から出たがらない。
基本的におっとりしており、たまに抜けている。雰囲気に反して意外と頑固。

◇ 家族
父:ナキ【illust/68046896
「父様のお話は、花と小鳥の話が一番好き。他のお話は……子供向けではないものね」
母:櫟さん【illust/68028131
「私も母様の笑顔が大好き。たまには依命に独占させてくださいな」
双子(弟):黄心さん【illust/68602017
「あら、黄心は心配性ね。迷子になっても大丈夫、をーくんが迎えにきてくれるでしょう?……なんて、そろそろ弟離れしないといけないのね」

◆ 素敵なご縁をいただきました!
夢を交わした優しい炎*燈切 緋染さん【illust/68588503

いつも通りの夜のお散歩。
何だか風が心地よくて、いつもは行かない少し離れた場所まで足を運んだ。
ふと視界に入ったのは、暗闇に洩れる仄かな灯り。その揺らめきに誘われるように、惹かれるように、そっと中を覗き込み────私は目を奪われた。
煌々と渦巻く炎の前に立つ男性。炉の光に照らされて輝く彼の瞳が、真剣に前を見据える彼の顔が、息をすることさえ忘れるほどに綺麗に映って。
その人が此方に気付くまで、目を逸らすことも出来ずに、私はただ佇んでいた。

「……迷子ではないのよ。ねぇ、お時間あったら、少しお話を聞かせてくださいな」
「刀をこんなに近くで見たのは初めて。……とても綺麗ね」
「ご迷惑でなければ、またお邪魔してもいい?」

力強くも優しい炉の光に、炎と対峙する彼の美しさに、幾度も鍛冶場へと足を運んだ。
少し暑いくらいの鍛治場の隅から見る光景はいくら眺めても飽くことなく、刀に向き合う彼は誠実ながらそれはそれは楽しそうで、つい長居をしてしまう。
たまに手を止める彼と交わす他愛のないやりとりさえも、何故だか特別なことのように思えて仕方がなかった。

「緋染さん、休憩するの? 少しお話ししてもいい?」
「気を使って貰わなくても構わないの。私はお仕事をしている緋染さんを見ているのが楽しいから」
「お邪魔しているのは私なのに、お茶まで頂いてしまうなんて贅沢ね。その……明日からは私が淹れるわ、道具を借りてもいいのなら」

いつからだろうか。
彼に名前を呼ばれるだけで、ふわりと胸が高鳴るのは。
どうしてだろうか。
ふとした拍子に触れる手に、こんなにも安心するなんて。

「ねぇ、緋染さん。手を繋いでくださいな」

あたたかく大きい、少しかたい彼の手。
触れれば彼の刀に対する情熱や真摯さが感じられるようで、とても素敵だと伝えれば、握り返してくれる手は強く優しい。

────だから、だろうか。
夢を語る彼の強く真剣な表情を、炉の光より力強い綺麗な瞳を前にして、するりと口から零れたのは。

「……私だったら、いいのに」

彼が夢へと進む日々を傍で見守る存在が、
彼が進む道のりを共に歩める存在が、
彼の歩みを支えていける存在が、

《依命》という存在であったなら。

 
 
そんな言葉にあなたが返してくれたのは、とても幸せに溢れた提案で。

「依命で良いのなら……とても嬉しい」

私はひとつ瞬いて、迷うことなく頷いた。


◇ 不備などありましたら、ご連絡ください。


あなたは、まるで太陽のよう。
限りある命という火を燃やしながら、強く綺麗に輝きながら、私という存在を照らしてくれる。
そんなあなたに、あなただけに照らされる、優しい月で在りたいと。

────いくら強く願っても、別れの時は訪れる。

それでも、これは既に依命の

あなたが見ることの叶わない夢のその先を、
あなたがいない世界で幾千も星が廻ろうと、
私の《生》が終わるまで、変わらず見守り続けていたい。

「だから、またいつの日か、あなたの元へ辿り着くそのときは、
 あたたかいその手で、私を包んで」

それは、鍛治場を見守る綺麗な月と、夢を交わした愛しい人との、色褪せることのない約束の話。


最終更新:18/05/16

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2018-05-02 11:30:06 +0000