縁は異なもの味なもの【illust/67011335】
紡ぐ言葉の尊さと、秘める言葉の美しさ。
言葉とは、なんて儚く、繊細で、曖昧な存在なのだろう。
伝えたいはずの言葉すら、時に誤解を与えて巡ってしまう。
だからこそ、暖めたいと思うのだ。
柔らかく包み込む羽(feather)のように、優しく、丁寧に、大切に。
抱いた気持ちを伝える言葉が、しっかりと記憶に残るように。
いつまでも、いつまでも。
◆ るか/フェザーリュケ<feather lyke>
妖魔(毛羽毛現・スプライト・送り雀)
男│26歳│182cm
「あー、うん。俺は話が上手くないから、今日はあなたの話が聞きたいな」
「こう……転んだ拍子に土に寝そべると、意外と土が柔らかくて…………すやっ」
「ほら、こういうのはさ、満を持して伝えたいじゃない? 心の整理というか、つまりそういうことだよ」
やさもふの父ときらもふの母の間に生まれたへらもふな男。
父の能力を受け継ぎ他人を転ばせることが出来るが、自分も驚くくらいよく転ぶ。いてっ。
転んだついでに起き上がることなくぼーっとしていることも多いので、たまに踏まれる。いてっ。
もふもふ姿は直径50cmほどの毛玉のような雀(?)。羽を模した両腕はただのもふもふなので自由に空は飛べないが、軽いので風に流される。
そして生まれ育った山ですら迷う方向音痴なので、まず自力では帰れない。
馴染みのない発音に(自分が)舌を噛むため、普段は『るか』と名乗る。
◇ 家族
父:りんさん【illust/68017244】
「あぁ、父上。何してるのかって、転んだついでに昼寝でもしようかなと……呆れた顔しないで」
母:ミーティアベル【illust/68075337】
「よしよし、母上は今日も元気だね。いい子いい子……どうして睨むの」
妹:星鈴さん【illust/68500795】
「せーりん。山の麓まで手を繋いで行こう、迷子になるからね。俺が」
◆ 素敵なご縁をいただきました!
愛しいあなたに飾らない言葉を*アルマ・ドゥミトレスクさん【illust/68541912】
月夜を仰ぎながらぼんやり風に運ばれて、ぽすんと流れ着いたのは、小さな少女の腕の中。
もふんと少女を見上げれば、驚いたように見開かれた綺麗な瞳と目が合った。
「えーと、俺にはちゃんとお家があるので、拾われるのは困る……かな。うん、困るよ」
「その物語、ちゃんと聞いたのは初めてだけど、素敵な話だね。お気に入りなの? ……そうだね、うん。俺も気に入ったかな」
「あなたは家族が大好きなんだね。すごく伝わってくる」
彼女の口から踊るような声で紡がれる話は情景が浮かぶほど鮮やかで、お伽噺の《魔法》という存在が頭をよぎる。そんな不思議な気分に浸りながら、彼女の言葉を聞き逃さないように、彼女の表情を焼きつけるように、ただ彼女の声に耳を傾けていた。気の利いた相槌もろくに返せないまま。
────時間の流れは、こんなにも早いものだっただろうか。
空がうっすら白み始める夜明け前。揺れる彼女の尻尾を見送りながら、告げることのできなかった『また会いたい』の一言が、やけに重たく胸に残る。
だから、そう。
再び彼女を見かけたときに、柄にもなく慌ててしまって。
思わず転ばせてしまった彼女の肩をすんでのところで支えながら、あの日と同じように見開かれた綺麗な瞳と目が合えば、思わず笑顔が溢れた。
「……よかった。また、会えたね」
「どうしたの? そんなに不思議そうな顔をして……そういえば、この前はもふもふしている方の俺だったね」
「運命の王子様……なんて、そんな素敵なものではないと思うんだけど。あなたに会いにきたのは間違いない、かな」
再び彼女を前にして、嬉しさと同時に不安に駆られる。果たして自分は次も彼女と会えるだろうか。それは一体いつになるだろう。
さほど気にしたことのなかった自分の方向感覚のなさを、はじめて欠点だと自覚した。
「……また会えたら、嬉しいな」
訪れた二度目の別れ際。
祈るように、願うように、そっと言葉を風に託した。
抱いた不安とは裏腹に、彼女と過ごす機会は不思議と自然に増えていった。風に流された先に、転がった斜面の先に、何となく歩いた道の先に、彼女は居てくれた。自分の幸運を喜びながら《運命》という言葉が頭をよぎる。
ぱっと顔を輝かせて駆け寄ってきてくれる彼女の、華のような笑顔を向けてくれる彼女の、その愛らしい声で紡がれる言葉ひとつひとつが心を揺らす。
嬉しい言葉、優しい言葉、心配する言葉、鈴を転がしたような笑い声さえも。
まっすぐ届く言葉はこんなにも、相手を喜ばせるものなのか。
「アルマさんは、俺と話していて楽しい? ……よかった、俺もすごく楽しい」
「ただの野草なんだけど、綺麗だったから。アルマさんの手にあったら似合うだろうなと思って……うん、とてもかわいい」
「地面にそのまま座ったら駄目だよ。せっかくのかわいい服が汚れたら、俺が嫌だからね。俺は大丈夫、今日はもう3回転んでるから」
素直な彼女の言葉に誘われるように、あたためていた言葉が、秘めようとした言葉が、素直に口から零れていく。
伝えた言葉、届いた言葉、ひとつひとつに喜んで、耳を揺らす彼女が可愛くて。
「伝えたいことが、あるんだ」
あの日、目を輝かせたあなたが『王子様』だと初めて俺に云ったときから、そう在りたいと願っていた。
俺を『王子様』と呼んでくれるなら、あなたの運命の人で在りたいと強く思う。
暖めすぎた言葉は、痛いくらいに胸の奥を焦がすから、声にのせて素直にあなたに伝えよう。
「かわいいアルマ。どうか、俺だけのお姫様でいて」
空にきらめく星の数に見合うほど、幾千の言葉を重ねても、きっと伝えきれないけれど。
「あなただけが、心から愛しい」
世界で1番かわいいお姫様へ、飾らない愛の言葉を捧げ続けよう。
それは思い出す必要もないほどに、幾重にも。
「今日も大好きだよ、俺のかわいいお姫様」
◇ 不備などありましたら、ご連絡ください。
最終更新:18/05/17
2018-04-30 17:00:23 +0000