【えんもの】月白【一世代目】

101@休みどこ?

世代交代企画:縁は異なもの味なもの【illust/67011335

「やつがれ達は、元々は大そう酷い人間だったようなンですが、どうも憶えちゃいないんで」
「いや、そんな逃げんでくだせぇ…。大丈夫、ただ病死するだけでごぜぇやす…あ。」
「…ん?やつがれは女でごぜぇやすよ?!」

❖玻璃の器 月白
      ゲッパク

❖妖怪:七人みさき
❖人格を持ってから約300歳/女性/150㎝
❖一人称:やつがれ/やつがれ達

❖七人みさき
 人間の死霊が常に7人組で、現れる集団霊…とされるが、
 7人の死霊が混ざり合い一つの「器」となったもの.
 七人みさきに出会った人間は高熱に見舞われ、死んでしまう.
 1人を取り殺すと七人みさきの内の霊の1人が成仏し、
 替わって取り殺された者が七人みさきの内の1人となる.
 そのため、「器」には常に7人の死霊が混ざっている.

❖玻璃の器「月白」
 300年程前に、7人の死霊が混ざり合い気付くと人格を持っていた.
 見た目、性格ともに中性的で、少年と間違われることも多々ある.
 性格は、穏やかであるが非常に適当な性格.
 喋り方に抑揚が無く感情が読めない.
 山や海など、人気のない場所を国中を死霊を代わる代わるさせながら旅している.
 そろそろ、どこかに腰の下ろせる塚が欲しいと考えてはいるが、
 出会う人間を取り殺してしまうので、叶わないままである.
 生前の記憶を持っているとは言っているが、
 彼女の中の7人の死霊が替わる度に記憶も変化しているので当てにならない.
 背負う笈には「7つの宝玉が入っている」とも「7つの頭蓋が入っている」とも.
 笈から煙管を取り出して吸うこともあるので、とにかく何も当てにならない.

❖婚姻
❁素敵なご縁がありました!
 どこにいても貴方に想い馳せている・安知生さん【illust/67511631

これは、やつがれ達が一人の牛鬼と出会った時のお話でごぜえやす。

その日、やつがれ達が訪れ山には「牛淵」と呼ばれており、
随分昔にはそれは恐ろしい鬼が封印されていた、と言われておりましたが、
今やその噂も耳にすることはまず無く、誰も何も言いやしない、そんな場所でした。
噂があったことさえ嘘であったかのように、その山は随分と澄んでいやした。
木漏れ日が落ち、川の潺(せせらぎ)が耳を打つ道を進む先に、その「牛鬼」がいたんでごぜえやす。

その牛鬼は、体中傷だらけで随分と猛々しい風貌をしているんですが、
やつがれ達に気付く素振りも見せやしない。
隣に立ってみるが、なかなかどうして気付かないものだ。
これは面白い旦那だとやつがれ達は思いやしてね、
どうせこの旅も終わりの無い旅で急ぐことも無い、この旦那のことを知ってからでも遅くはない。
やつがれ達は彼がやつがれ達に気付くまで待つことにしたんでごぜえやす。

どのくらい時が経ったのか、煙管を吹かして時間を過ごしておりやした。
川の潺だけがやつがれ達と牛鬼の旦那の間に流れておるのです。
ふと、気配を感じて牛鬼の旦那に目を向けると、やつがれ達の姿を見て牛鬼の旦那が目を瞬かせておられてのです。
やつがれ達はそんな旦那の様子がおかしくて笑って自己紹介をいたしやした。

 「随分と考え事をされていたようだ。」
 「やつがれ達は、月白と申しやす。なぁに、しがない七人みさきでございまさぁ」

牛鬼の旦那の名は『安知生』と申されて、まさに件の噂の張本人でございやした。
しかし、安知生の旦那は、過去の噂にあった鬼とはまるで違うが如く、よくぼんやりとされておりやした。
そんな差異に少しの疑問も抱きながら、安知生の旦那の話を聞いておりやした。
彼が彼の眠る以前の話を始めますと、どうしたものか先ほどと打って変わって随分生き生きした目で話やがる。

安知生の旦那は、やつがれ達の話も聞いてくださましてね。
それどころか、相槌を打ってくださるんでさあ。
皆に矛盾だらけだと糾弾されるやつがれ達の話をですぜ。

 「ふふ、安知生の旦那は大そう恐ろしいお方だったようだ」
 「やつがれ達は昔は武士だったんですがね、…いや、行者だったかな。まぁ、大したことじゃあない」

安知生の旦那の過去とも、旅するやつがれ達の日常とも違う、随分と穏やかな時間でございやした。
しかし、その時間も一先ず終わりを迎えなければならないのでございやす。
やつがれ達は、牛淵を後にして終わりの無い旅へ向かいます。

安知生の旦那と離れれば離れるほど、あの牛淵での穏やかな時間を思い出しておりやした。
どんなに離れようと、何を見ようと、安知生の旦那のことを思い出すのでございまさあ。
見たことを旦那に伝えたいと、新たな生前の記憶を旦那に教えたいと。

―――――

時は経ち、何度、日が昇りそして沈んだのでございやすしょう。
やつがれ達は、再び牛淵を訪れておりやした。
別れてから随分と時間が経ったのですから、
安知生の旦那はもうやつがれを待っていないかもしれないと、不安に思っておりやした。
しかし、彼は出会った時と同じようにそこに居たのでございまさあ。
今度はやつがれ達にすぐ気が付いた旦那は少し笑ってみせるもんで、やつがれ達も笑ってしやいやした。

 「はは、やつがれ達が会いに来たんですから、問題ございませんでさぁ」

その頃にはやつがれは気付いておりました。
やつがれは、安知生の旦那と共に居たいのだと。

 「安知生、図々しい願いかもしれやせんが、聞いてくださいやせんか」
 「やつがれ達の塚を、安知生の御宮の隣に…作っていただきたいんでさぁ」

―――――

牛淵にある、かつて恐れられ八つ裂きにされて封印された牛鬼の御宮の隣に、
やつがれ達の塚が今はあるのでございやす。

話しは変わりますがね、牛淵の近くにある村で疫病が流行ったんでさあ。
いや、なに、そんなに死人は出ませんでしたし、それ以上広がることはございやせんでした。
ただね、彼らには牛鬼を八つ裂きにした血が流れてたって噂もあるんでさあ。
まあ、ただの噂でございやすよ。牛淵に眠る牛鬼の噂と同じようにね。

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2018-03-14 14:28:52 +0000