【えんもの】安知生【一世代目】

きこ

開催おめでとうございます。
こちら【illust/67011335】の素敵な企画に参加させていただきます。
 

「どうしたどうした人間共!!!俺に食われるのが嫌ならばもっと必死に逃げるがいい!!!!」

「もっと肉を寄越せ!!もっと血を寄越せ!!村一つ分などでは到底足りぬぞ!!!ハハハハハ!!!」

「うぬぼれるな人間、いずれまたお前達を食い潰しに行くからな…許さない……許さない………絶対に、許さねぇ…」

とある山の奥地に牛淵と言われている場所があった
切り立った岩と木々に囲まれたそこは静かで河川は青々と澄んでいる
そんな場所に御宮がひっそりと建っていた
言い伝えでは昔々に悪さをしていた妖怪が封じられているというが
今はもうそんなことを気に留める人はいないのだろう

澄んだ水が時たま濁るというのに

「こんな鎖がなければ俺がお前に会いに行けるのに、お前とどこにでも行けるのに。最近じゃ、そんなことばっか考えてんだよ」

名前:安知生(あんじゅう)
種族:妖怪(牛鬼)
性別:男
年齢:不明(外見年齢30代)
身長:215㎝
一人称:俺 二人称:お前、呼び捨て

人里を襲っては人や家畜を食い殺していた悪名高い妖怪だったが約五百年前に体をバラバラに切り裂かれ封印された。
長く眠りにつき妖力が回復してきたため数年前に目覚めたが、
封印された時のことをあまり覚えておらず体の傷痕を見てバラバラにされたのを思い出した程度。
安知生の血と吐く息には毒が混ざっており封印される前は一瞬で人や家畜を殺せる程の猛毒だった。
今は微力な毒でしかないが、決して害がないわけではない。
昔は猟奇的で獰猛な性格だったが、目覚めてからは寝すぎたせいか頭がぼーっとすることが多く
昔の性格も鳴りを潜め気怠そうにぼんやり過ごしていることが多い。
両腕に繋がれている鎖は御宮に繋がっており封印の力で能力や行動範囲を制御し山からは出られないようになっている。
血肉が好物で人間のことは自分の食料と思っている節があり人間を見かけると「美味そう」と思いながらぼんやり見つめている。

🌸素敵なご縁をいただきました
会いに行けないからここからお前を想ってる:月白さん【illust/67735506

こんなに喋るのは本当に久しぶりな気がするな、まぁ聞け。

俺はその日もいつもと何ら変わらない日を過ごしていた。
風に揺れる木々、川の中で泳ぐ魚、いつもと同じ山の風景。

どれだけの時間をそうやって過ごしていたのか、岩の影の形が変わっていた。
ふと、何かの気配を感じて辺りをぐるりと見まわした。
すると煙管を吹かしながらこちらを見ている真っ白で小さな存在を見つけた。
山で見ることのないその白さが眩しくて俺は目を瞬かせた。
何が面白いのかそいつは笑っていた。それすら少し眩しかった。

「こんな場所、考えるようなことなんて何もねぇよ」
「俺は安知生…、ここに封印されてる牛鬼だ」

『月白』と名乗った名前まで真っ白なそいつは、ここに来るまでも至るところを旅していたらしい。
それから、噂で聞いた昔の俺と、今の俺の違いを少し疑問に思っているようだった。その気持ちはわからんでもない。
急ぎの旅でもないようで少しの間ここに留まるようだったから話し相手になってもらうことにした。
ここに封印される前、人間や家畜を食い荒らしやりたいことをやりたいだけやったあの頃。
楽しかった、気持ちが高揚した、あの血が、肉が、それを思い出していた俺の話を月白は面白そうに聞いていた。

月白の話も面白かった。
目覚めてからなんてどこにも行けない俺と違って、月白はどこにでも行っていた。
それからいろんな記憶の話。どれが何だ、なんて気にならねえ。全部聞きゃいいだけのことなのだから。
胡坐に頬杖付いて、耳障りの良い声に耳を傾け目を閉じその情景を思い浮かべた。月白が、見たであろうそれを。

「俺も人間共からは大層恐れられる存在だったんだ。あの肉の感触、血の匂い!堪らなかった!」
「へぇ、武士かもしれねえし行者かもしれないのか。いいじゃねえか。面白そうだ、聞かせてくれよ」

旅ばかりの月白とも、俺の遠い昔とも違う、穏やかな時間だったが一人でいる時とは違って満たされるものがあった。
だが、また旅に出ると月白はここを後にすることにしたらしい。
腰を上げ山を出る姿に、気が向いたらまた来いよ、と声を掛けた。

また山に静けさが戻った。そして、俺にもまた静けさが訪れた。
ただ、以前と違ってぼんやりとしている時に月白を思い出すようになった。
今頃はどこににるんだろう、何を見ているんだろう、

こんな、こんな鎖がなけりゃ…会いに行けるのに。

そんなことを考えながら何日過ごしただろう。
相変わらずぼんやりと過ごしていたが、結構な日が経っていたと思う。
あいつはまたここにやって来た。やって来て、以前と変わらずこちらを見ていた。
前と違うと言えば、俺が月白に気付くのが早かったってことと、

「よう。相変わらずこのザマで、会いに行くことができなかった」
「また会えるのを楽しみにしてたぜ、月白。…おかえり」

つって、俺の隣をトントンと叩き隣に座るように促せばあいつは心底安心したように笑っていた。

おかえり、なんて別にここは月白にとってそんな場所でもないのに気付けば口からぽろっと出てしまった。
それで気付いた、俺は月白と一緒に居たいのだと。ここに月白が居てくれたらと。

「何だ?月白の願いなら聞ける範囲で聞いてやるよ」
「俺の御宮の隣?こんなところで月白はいいのか?そりゃ、おめぇ…これ以上ない願ったり叶ったりだ」


昔々にそれはそれは人間から恐れられ恨まれた末に八つ裂きにされ封印された牛鬼の御宮。
その隣に今はもう一つ新たな塚がある、牛鬼の嫁の塚がな。

そういや噂で聞いたぜ。その辺どっかの村で疫病が流行ったんだろ?
あんま死人は出なかったらしいが、死んだ人間共の祖先は大層な手柄を立てた奴らなんだってな。
いや、何でもねぇよ。俺のぼんやりとした遠い昔の憂さが晴れて、俺の隣で嫁がにこにこしてて幸せってだけだ。

◈友人関係
こちら【novel/9401449
秋保さん
小鈴さん
関係ありがとうございます!

◈問題等ございましたらお手数お掛けしますがご連絡お願いします。

※キャプション随時更新します。

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2018-02-28 15:00:27 +0000