【九十九路】ミラ・オリアステッラ【アフター】


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九十九路の羅針盤【illust/60865485
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▽ミラ・オリアステッラ (所属:海王の片櫂/明星の羅針盤/700pt/17歳)

前期:大海のたびびと デネブ・アル・シャマリー/操舵守ルル【illust/64049159
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前期絆:満腹の国ソノピノ/北斗様【illust/63868277
「」
きょうだい:ミーティア・オリアステッラさん【illust/67028874
「流れ星は捉えきれない。瞬く間に消えるけれど、残像は頭から離れないでしょ。キミはきっとそういう人だ。
 止まらずにいておくれ。回し続ける僕の片割れ。キミが切り分けてくれなきゃ一口めを運べないだろ?」
 「」
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▽ミラ
 大海の旅人。出身国はソノピノ。
 大海のたびびとに同行して各地を渡り歩いた経験を生かして一人旅の最中。
 スケッチブックには各地の風景や料理が描かれている。
 
▽大海のたびびと デネブ・アル・シャマリー あるいは ≪海王の片櫂≫
「如何な三途の河であれ目的の岸に届ける」ことを掲げた、幻影のくじら舟。 
 一世代前から引き続きルルが操舵守を務めている。

(便宜上王タグをつけていますが、代表の権限を持ちません)

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まだ子供の頃に、父が作ってくれた花の形のチョコレートを双子のきょうだいと共に冷蔵庫に丁寧にしまい込んだことがある。

『食べるのがもったいない!』

一番星たる父の作はそれそのものが芸術のようで、誰もがどんなスイーツにも抱く気持ちを、小さな僕もまた例外なく沸き立たせた。
けれど料理は食べられてこそ。放っておけば腐ってしまうのもまた普遍の摂理。
冷蔵庫は魔法の箱でないのだと、「永遠」にその花を咲かすことはできないのだと、僕ら2人も知ることになる。

何度か月が巡って、扉を開けた僕らが対面したのは――カビの生えたチョコレートだったのだ。

「――その時かな。遺すことに拘り始めたのは。
 例えレシピは遺せても、その時作られた料理と全く同じものは二度とテーブルには出ない。
 違うじゃん。飾りつけだとか、ソースの感じとか。些細かも知れないけど。
 それに。それを手掛けた――作った人の心は、その料理にしかこもってないだろ?
 何だかやっぱり、そのまま胃袋に入れるのは、勿体無いって思ったんだ」

「あのカビたチョコレートを機に、片割れはまた別の道を見つけたみたいだけれど。それもいい。
 僕らはエネルギーの環の中にある。澱みを流す誰かがいなきゃ。水だって止まってるだけじゃ息苦しいし。
 流れは止められない。……けれど時に留めたいと願うのは、誇ってもいい事柄だって僕は感じたんだ」

「それで色々考えて、絵に行き着いた。紙とペンは子供だって持てた。
 絵なら自分でも遺せるんだ。料理だけじゃなくてさ、景色とか、人の顔とか。
 ……確かに、本物じゃないけど。
 でもさ、これを見返すと、僕自身がその時感じた想いはちゃんと呼び覚ませるんだよ。何度だって。当時の記憶が色を帯びて。
 移り変わってゆくものも、薄れる記憶も、この一冊は全てその時のまま閉じてくれる。僕の目に映る限り何でもね」

「何かを永遠に留めたいって思うの、それが愛しいからなんだ。きっとね。
 それを誰かに教えてやれたらって思う。アナタの気持ちは、それを大事にしてる証なんだって」

僕の辿り着く先はフォークのように分岐している。
この一冊を埋め尽くしたら、その時は。

「――はい。昔話は終わり。
 ……え? 今は何してんのか? 一番星の修行だよ、目の肥やし。
 さぁ約束だよ。そこに座って。あ、ほらそれじゃ顔が見えないでしょ。
 目逸らさない。動かない。とりあえず7分静止してくれてたらいいから。描き切るまで止まってて。ほら口、開かない」

少しは雲が晴れるだろうか。夕星以外の光に、目を向けられるだろうか。

                             (-ある大海のたびびとの会話/或いは「永遠」の答え-)


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こちらの羅針盤とご縁をいただきました皆様と見守ってくださった方々に心より感謝申し上げます。
かけがえないご縁と物語を、本当にありがとうございました!

・キャプション編集は後程行わせていただきます
 問題など御座いましたらご一報いただけますと幸いです。

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2018-01-31 04:54:55 +0000