ハロー、宿敵 ⚔ 【illust/65697558】
✵シャレム・エルドレッド
追跡者/22/男/176cm
✵宿敵様
ジーンさん【illust/66951476】
「おーいマノ……なんだ、客か。見ない顔だな、お前。常連以外が来るのは珍しいが…何の用だ?
女の手掛かり?なんだそれ…お前まだ学生だろ?なんだってそんなもん探してるんだ…。
…いや、うん、面白いなお前。ちょっと付き合えよ」
ある日ふらりと店に訪れた青年は、何かを探し求めていた。
きっとそれは大切なものなのだろうけれど、ここの微かな星の灯りでは届くはずもないもので。
だけれども彼は、その後も度々此処へ足を運んでは俺に屈託のない笑顔を向けてきた。
「物好きだなあお前。…まぁこの街の夜は物騒で血生臭いしな。
こんな場所にくらい穏やかな夜があってもバチは当たらないだろ…その点だけは気に入っちゃいるかな、俺も」
「ほお~そういうもんか…いや、最近の若者の流行とやらには疎くてな。こんな廃墟に居座ってちゃ当たり前なんだが」
「外に出れないわけじゃねぇよ。なんだ、馬鹿にしてるのか?…あ?食事?そういうのは女でも誘えば…
まあ付き合ってやらんこともないけどさあ…」
煌めく水面のような瞳で語る彼の話は尽きることはなく、暇潰しには丁度良かった。
「へぇ…お前孤児なのか。そりゃ若いのに大変だったな…。ん?歳はそんなに変わらないだろって?
2歳年上って随分大きく見えるもんだと思うけどなあ…」
「好きなもの?強いて言えばレモンケーキ…?嫌いなものは犬。…なあこんな話聞いて楽しいか?…そーかね」
そんな時仕事で任されたのは左手だけを狙う奇妙な傷害犯「left」の逮捕。
どうして左手だけを狙うのか。そんな事はどうでもよかった。
これは仕事だ。俺は与えられた任務をただ確実にこなすだけ。
ーーだったのだけど。
「…貴方が「left」、でお間違えないでしょうか。
女性に不躾で申し訳ありませんが、貴方を多々に及ぶ傷害罪で逮捕させていただきます」
その犯罪者と邂逅した夜。
捉えようと伸ばした腕を女性とは思えない力と動きで躱され、あろう事か逃げられてしまった。
「元気ない?俺に元気なんてもんがあった日が一度でもあったかよ…
ちょっと死にたくなってただけだ…うるせえな俺にも色々あんだよ…」
捕まえなければ、また新たな被害者が出る。
次は油断しない。上の命令はleftを捕まえる事だ。
俺はそれだけを考え、遂行すればいい。
「見つけました、left。今夜こそは貴方を捕まえます」
捕まえる、はずだった。
彼女がふと零した声が、表情が。
彼と重なる事がなければ。
「……っ、ジーン…?」
まさか。そんな筈は。そんな筈がないだろう。
お前は孤児ながらに懸命に生きて、今を楽しんでいるんじゃないのか。
そんな俺の迷いを嘲るかのように、leftの声や、仕草や、瞳は。彼と重なり合っていって。
「ジーン…お前、昨日の夜、何していた?……いや、いい。俺の思い違いなら…それで…」
何故だろう。俺らしくない。俺はどこで間違えた?
……いいや、全部、最初からだ。
結局最初から覚悟なんて持ち合わせちゃいなかったんだ。
「あいつがやるっていうから俺も働き始めただけでさ。言われたことをやるだけの方が気が楽なんだ。
意思も責任もないって、そうやって逃げ道を作ってたんだ。…ずるい大人だろ、幻滅していいぜ」
「俺の目は濁ってやがるなあ…お前のこと少しでも知った気になってた。
この灯りが届かない暗澹に、お前がいるもんだから…暗くて見えないんだよ…」
お前の探しているものって、そういえば何なのだろうか。
俺はお前のそんな大切なことさえ知らないままで。
俺がお前の探し物を見つけることが出来たら、お前はその刃をしまう事ができるのだろうか。
ああ 馬鹿だなあ。俺も、お前も。
「如何なる理由があろうと貴方の行為は犯罪です。罪は、裁かれなくてはいけません」
「私は、貴方を捕まえます。仕事ですので」
お前はお前の罪を償わなくちゃいけない。贖わなきゃいけない。
次は必ず、俺の覚悟で、お前の罪を止めてみせるから。
「left……いいえ」
だから全部終わったら。
「ジーン。俺は、」
またお前と話がしたい
きっと探し物はこの星灯りの下で、手を繋いだ先に見つかるから。
✵関係者様
バイト - マッシミリアーノくん【illust/66889043】(マノ)
「この店がゴミ屋敷にならないのはマノのお陰…感謝してるから、その調子で頼むわ」
「俺がやるよりお前がやった方が早いし…俺なんか何したってダメだよ…はあ……」
「また物騒なニュースだな…マノも帰り道気を付けろよ。なんかあったら警察を頼れ」
先輩 - ライルさん【illust/66891984】(ライル、先輩)
「誰かと思えばライルか…店は?爺さんに怒鳴られても知らないからな。
…まあ来たなら座っていけよ。んでなんか面白い話でもしろ」
「先輩、勝手な行動は控えてください。黙って頭を働かせていれば先輩は優秀なんですから」
「すみません先輩、今お時間少しいいですか……、はぁ……やっぱお前の隣が一番楽だわ…」
2018-01-20 15:00:04 +0000