船内を歩いているときに、帰還したばかりの小柄な姿を見つけた。
「よお、シグナ」
「あ、アッガリオさん」
立ち止まり振り返った姿から香る匂いに、スンスンとジムザが顏を近づけて匂いをかぐ。
「通信機用立ててきたって?流石じゃねえか」
貰っていいか?と小首を傾げれば、ぱちりと目を瞬かせたシグナが差し出してきたものを手に取って眺める。
「おーすげえなこれか」
「使ってみて、使用感教えてください」
了解と笑ったアッガリオは、何気ない調子で顔を近づけて告げた。
「そういえばよう。シグナ」
「なんです?」
「うちの相棒がお前に逢う度に匂い嗅ぐ理由しってるか?」
青年の言葉にシグナは瞳を瞬かせていえと首を振る。それに、笑みを深めてアッガリオは告げる。何時のまにがジムザも匂いを嗅ぐことを止めて、じっとシグナの顏を見上げていた。
「お前…生きてる者の匂いがしないぜ?」
「…っ」
瞠目する姿に、嗤いながらアッガリオは続ける。
「≪隠したいなら完璧にしろよ≫…ああ、勿論」
団員(なかま)のお前なら手をだしゃしないぜ。だが、
「1歩でも踏み出したなら…その時は」
遠慮なく
俺らが、その首喰らいきってやるよ。
炯々と光る二つの瞳がシグナをみつめ、次の瞬間にはその空気が霧散して、にかりと笑ってアッガリオはシグナの肩を叩いて通信機を示して笑う。
「ありがとな。使わせてもらうぜ」
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(illust/64301129)の話の展開をこっそり拾いつつ、死を睨むものとしてもドラグロアの仲間としても一度シグナさんとお話してみたかったんだぜって話。
お借りしました!
シグナさん(illust/64038071)
通信機は使いたい(illust/63981431)
2017-08-08 14:14:36 +0000