【九十九路】ゼーニャ【第四期】

にーよ
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◇ 九十九路の羅針盤 illust/60865485

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 「ああ、ああ、必ず。きっとそれまでその加護がお前を守ってくれる。
  だからどうか、俺を忘れないでいてくれ。
  俺も決してお前を忘れない、アルコーン。ありがとう。」


◆ 前期 >> ゼーニャ【illust/62481232】※続投
◇ 前期絆相手様 >> 愛しき理想郷クアドリウィウム / アルコーン様【illust/62455960
          「約束」をいただき、「時間の加護」を受け取って頂きました。
◆ 絆相手様今期 >> アルコーン様【illust/62786761

          それは「仕事」で立ち寄ったとある小国でのこと。
          前を歩くのは見覚えのある白い子供。最初はなぜだか"幻"だと思ってしまった。
          彼は生きていたのだ。それでいいはずなのに。
          振り払うように、重い身体など構いもせず、その小さな背に駆け寄った。


          「俺を覚えているだろうか。ああ、そうだ。また会えたな、アルコーン。」

          ほんの少しの再会の間、息苦しさは不思議と消えていた。

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◇「ゼーニャ」(男性/181cm/一人称:俺/二人称:アンタ、呼び捨て)

◆詳細・加護については第二期キャプション【illust/61965508】を御覧ください。

 調査記録
 サンプルと一致を確認。
 該当サンプル No.■■■■■■■■、個体名□□□□□□。
 【備考】✕✕✕✕技術について詮索。危✕因子に指定。
     ✕✕前に消息不明。画像データなし。銀髪、褐色、赤眼。


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✧素敵な絆を結んで頂きました!(2017.05.14)

 終の街エルロード / ステリオス様【illust/62670112

視界がぶれる、息ができない、手足が酷く重い。
懐かしい冷たく濡れる感覚。ああ、彼女は元気にしているだろうか。
足元を認識するのに必死だった目線を少しばかり上へと。
白く冷たい、雪。今度はちゃんと"冷たい"雪だ。

「こっちだよ。」

どこからともなく声がした。
白。
しろ。

「アリア・・・、アルコーン・・・。」

どちらだったのだろう。いやどちらでもここに彼らはいない。
目の前が黒に塗りつぶされた。

意識がはっきりとした時、己の横には真白な少年、いや青年だろうか。
さっき己がみたのは彼らの幻覚でなく、彼であったのだろう。
その姿はとても白く、頭上に浮かぶ冠だけが黒い。
よくよくみれば見知らぬ人物だけではない、知らない街が広がっていた。

「ここ、は。」

真白な青年は淡々と言葉を紡いだ。
ここはエルロード、死を待つものがやすらぎを求めてやってくる場所。

「・・・俺は、死んだのか・・・?」

間抜けな質問だったのだと今ならわかるが、あの時の俺は絶望にも近い気持ちだったんだ。

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「・・・じょ、じょうだんか、そうか。いや、断じて逃げようとしていたわけではない。
 一文無しなのでな、その、焦っていた。」

「すまない、すっかり名乗るのを忘れていたな。俺はゼーニャ。
 君の名を聞いてもいいだろうか?恩人の名を知らない薄情ではいたくないんだ。」

「俺は、立ち止まっているわけにはいかないんだ。焦ってもどうしようもないことはわかって、
 ・・・いや、それも忘れていたな。死を感じて恐怖に追われ忘れていた気がする。
 ステリオス、俺は探しものをしているんだ。それを見つけて、約束を果たしに行きたい。
 その為にも身体を治さなくては。だから、君の力を貸してもらえるだろうか。」

「君が言うように、俺には君が語ったことの真意はきっと掴めていない。
 けれど、君が何かに悩んでいると、そう感じた。
 もしそれが俺の勘違いでないのなら、俺は君の力になりたいと思う。」

「俺は精霊を宿す魔道具を持っている。魔道具に宿る精霊は持ち主に加護をもたらすんだ。
 俺が今が持っているのは「力」と「智慧」。もし俺が君の役に立つとしたら、きっとこの力だろう。
 ずっと話すかどうか迷っていた。隠し事をしていてすまない。
 けれど、君の力になれる道があるなら、俺はそうしたい。」

「・・・友情・・・?そうか、こういう気持ちを、友情というのか。
 楽しい・・・、ああ、俺も楽しい。こんなに心が軽いのはいつぶりだろう。楽しいな、ステリオス。」

「ありがとう、ステリオス。ここまでで構わない。見送られるのはやはり別れ難くなるな。
 礼はどれほど言っても足りないが、本当に世話になった。ありがとう。
 友との時間が、これほど楽しいとは知らなかった。」

「そうか、お前も行くのだな。もちろんだ、以前言っただろう。この力が君の助けになればいいと。
 精霊の加護が、お前の導や力となるよう祈ろう。そしてお前の求めるものが手に入ることを願おう。
 俺もひとつ頼んでもいいだろうか。友よ、どうか握手を。」

ステリオスと別れた後、久方ぶりにみた地上はまだ雪が降っていた。
いやもしかしたら、また、なのかもしれないが、相変わらず真白で冷たい。
けれど触れると柔らかなそれは、どこか友を思い出させるようで。
つくづく白と雪に縁があるものだと、自然と笑みが溢れる。

彼女の国にいた時、子供たちが雪に埋もれて遊んでいたのを思い出した。
背中から倒れるように雪へと身体を預ける。

頭の中で声が響く。

「あとひとつだよ、ゼーニャ。」

また意識が闇へと引きずられた。

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2017-05-12 20:19:29 +0000