東日本旅客鉄道E3系:
1997年の秋田新幹線開業に合わせて登場した、いわゆる「ミニ新幹線」用車両としては2代目の電車。
ミニ新幹線用の車両として初めてのアルミ製車体・VVVFインバータ制御車両である。
新幹線区間での最高速度は275km/h。
まず、試作車5両が落成したのち、量産車15編成75両が登場。
しかし、開業するやいなや人気が殺到し、輸送力増強のため翌年にはE328形が連結され6両編成化される。
この秋田新幹線仕様が0番台(R編成)で、試作車を含めて26編成156両が出そろった。
続いて、山形新幹線の山形~新庄間開業用として1999年に7両編成の1000番台(L編成)が2本登場。
しばらくは400系と共通運用が組まれたが、2005年にL53編成が登場する。
0番台のR18編成以降と、1000番台のL53編成では、主回路のスイッチング素子がそれまでのGTOサイリスタから
IGBTへと設計変更され、座席も座面スライド機構とレッグレストを装備したものに変更された。
さらに2008年には400系の置き換えを目的に、2000番台(L61~L72編成)が登場。
この編成はライトケーシングの形や前面窓周りの処理が異なるほか、自由席車両のシートピッチが広げられ
指定席車と同じ980mmに揃えられたこと(0・1000番台の自由席は910mm)、セミアクティブサスペンション
(先頭車にはフルアクティブサスペンション)が装備されたこと、その他、日本の鉄道車両として初めて空気清浄機が
搭載されているなど、同じE3系でありながらかなり仕様が異なる。
主に0番台はE2系(illust/62755822)、1000・2000番台は200系(illust/34142634)やE4系(illust/38298804)に連結されていたが、
これにより1000・2000番台は新幹線区間での最高速度は240km/hに抑制されていた。
2010年に400系が置き換えられたことで1000・2000番台も2012年からE2系との併結を開始、
新幹線区間でのスピードアップが図られたが、この時期に入って東北新幹線の高速化計画が具体化。
2011年に秋田新幹線用としてE6系(illust/33490692)が登場するとR1編成を含めた9編成が2013年に廃車、
2014年にも8編成が廃車となる。
R24・25編成は一部の中間車を廃車としたうえで7両編成に組み替えられL54編成となり、
山形新幹線系統に転属しL51編成を置き換えた。
同様の手法でR23・26編成をL55編成に改造し、L52編成を置き換えた結果、E3系からGTO車は消滅した。
さらに2014年にはR18編成、2016年にはR19編成が700番台に改造され、0番台はR21・R22編成の2編成12両のみとなり、
E5系(illust/24838347)の増結用車両としての運用のみとなった。
さて、R18編成はバーカウンターやお座敷席、足湯などを備えた内装に改造され、
「とれいゆ」という車両愛称を与えられた。新幹線電車としては初のジョイフルトレインであると同時に、
日本の鉄道車両としては初めて足湯を設置した列車となった。
通常は山形新幹線(奥羽本線)の臨時特急扱いで福島~新庄間の「とれいゆつばさ」のみでの運用だが、
2017年には上野始発の臨時「とれいゆつばさ」が運行され、東北新幹線区間での営業運転も行われた。
R19編成は現代アーティストの手による内装に改造された上で上越新幹線に転属し、
「現美新幹線」という車両愛称を与えられた。いわば「走る美術館」であるが、
この種の美術鑑賞を目的とした列車としては世界最速(営業運転速度275km/h)。
こちらは越後湯沢~新潟間の臨時「とき」として運行される。
この試みは2005年から3年ごとに開催されている世界最大の現代アート展
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」への国内外の観光客誘致を目的としたものであり、
新幹線史上例を見ない「黒い車体」と「車内が丸ごと美術館」というコンセプトは成功を収めた。
1000・2000番台(L編成)は現在、L53~55、L61~72編成が「つばさ」として運用中。
ただしL編成は、E2系の0番台とは連結ができないため、現在の併結相手はE2系1000番台(J51編成~)および
E5系(U編成)、H5系(illust/47176026、H編成)に限定されることを付記しておく。
2017-05-12 14:01:42 +0000