【九十九路】神託下る安寧の国 メ・ルチア【第三期】

あじこ
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九十九路の羅針盤【illust/60865485

よおそこの兄ちゃん!また会ったな……って、あんた全然老けねえなあ!
老いることを知らねえって顔してやがる!…あ、そうそう、兄ちゃん聞いたか?
今度の王様は前の王様が即位したときよりもうんと小さい嬢ちゃんだってよ
聖主様も何を考えてんだか…って、文句言っちゃあ騎士団にお咎めを受けちまうな!
今日は美味しい林檎が入ってんだ、どうだい、買ってくか?

                           ---とある男の回想


前期:神託下る安寧の国 メ・ルチア シュヴァンツ【illust/61764799
「いずれあなたとは、地獄で会いそうな気がします」
前期絆相手様:空咲ける聖国 蒼天宮 泉様【illust/61815235
「あの子のこと、よろしくお願いします。私もたまには遊びに来ますから」
前期絆相手様今期:空咲ける聖国 蒼天宮 潮様【illust/62404886
「潮さん、どうぞ心安らかにお過ごしください。何事も、平和が一番ですよ」

◆神託下る安寧の国 メ・ルチア
ポイント:50pt(強靭:10 知能:20 器用:0 機敏:0 幸運:20)

前王が密かに国を去った後、国は一人の人間が王へ即位させた
本来剣を振るうはずの騎士ではなく、国を知で善い方向へと導く新たな王「イェツェン」
見た目にそぐわず博識で知恵に長けた者。その者は長らく国の表舞台には立たず裏で国を支えていた人間の一人。
建国当初から生きており、成長することのないその体で聖主からの神託を受け、いずれ死する者たちを見守ってきたが、
密かに逃亡を図った前王の手助けした。それは気まぐれか、何かの思惑があってのものか…。

◆イェツェン/151㎝
年齢性別不詳の人間。国の裏側、その暗部の上に立っていた者。前王の王座を引き継ぎ、国を治めている。
前王とは違い、しっかりしている
自由奔放、気分屋で冷徹な一面もあるものの、普段は大人びた子供のように振る舞っている
前王の逃亡を手助けしたのは自身でもよく分からないと言っているが、その心で何を考えているのかは分からない
時折こっそり一人で蒼天宮に訪れてはのんびり観光している。

◆絆 『匣』 部屋のあるじさん【illust/62440669】 -- さいごのともだち-- 

ひとりのこどものきおく 

私の意識が浮上する。今まで眠っていたわけではない
-『白い部屋』- 私がここに来たとき抱いたものは、それだけだった。

部屋には一人の少女がいた。
娯楽、生活用品、人間が生きる上で必要なものがない、
まるで罰を受ける者が入る”檻”のような部屋に、一人の少女が。

--彼女が罪人ならば、私のすべきことは一つ

「罪を犯したのなら懺悔する必要がありますね」

神に懺悔させることだ。

⇒ 青い栞の挟まれたページ

彼女は罪というものをしらない。私はその返答に驚いた
--罪と知らなければ、彼女は”その行い”が罪とは認識しない--
大罪人? …いいや、この答えは違う。

出口もない、人もいない、何もないこの部屋で彼女が一体何の罪を犯せるというのだ

彼女に私の名を告げた。
私は彼女が自身の名を告げるのを待つ、しかしその返答はない。
なんと呼べばいいのだろう

ふと昔絵本で読んだランプの魔人の話を思い出した。
あの話を思い出すよりも先に私の口が動いた

「 ジン 」

私はあの絵本が好きだった。とてもとても好きだった。
今はどこへやったっけ? 

⇒ 青いインクの滲んだページ

ジンはよく学ぶ子だ、知より武を取る騎士とは違う。
血にまみれる戦いなんて知らなくていい、なんて思うほどに。
私は彼女にいろんな話をした、本の話、見てきた世界の話、自国の話。
何か面白い話を、とも思ったが私には”面白いこと”ができる友人なんて存在しない。

考え込む私にジンは言った。望みはないのかと。
私の口が動く

「 私と友達になって 」

今思えば、欲を出したのは初めてだった。
ましてや、友達になってなんて。
ジンの質問に答えられないのも初めてだった
私は知らない、友達のなり方なんて

「…ともだちのなりかたは、分からないけど。多分、こう、するんでしょうね」

私は、彼女の手を握った

⇒ 青い花の描かれたページ

私の持つ本を彼女に遺すことにした。最後には自身の名前。私がここにいた証。
いつ死ぬとも分からない明日を待ち、いつ会えるともわからない友に会えた日々を過ごす。
これがいわゆる、”普通のこども”なのだろうか? 私にはわからない

私が普通ではなくなってしまったあの頃から
これしか方法がないと告げられた幼いたあの日から
こどもであることを捨てたあの時から

わたしにはわからない

けれど、友達がいると心のどこかが満たされるというのは、わかった気がする

隅に書いた青い花が、水で滲んだ



『 聖主様が新たな王を選定なさった 』

黒いフードを被った神官が告げる
その声はどこか震えていた。手に持つ剣がキラリと光る、良く手入れされているものだ。
震えるきょうだいをそっと抱きしめる。

「ありがとう、ごめんね、私がいなくてもあなたなら大丈夫。きっと大丈夫よ」

私もきっとうまくやるから。
剣がこどもの心臓を貫いた

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2017-04-16 10:58:48 +0000