【九十九路】沈黙の国 くちなし 【第三期】

アヤカワ
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九十路の羅針盤 - the compass of 99 Roads -

 (しぃっ

    いい子にしてください。
        聞こえて
しまわないように――)


の国 くちなし
 金融業と花街で栄えた国。
 一面の金色をかき分けて進んだ先
 かすかなせせらぎに気をとられたかと思えば
 しゃらんとひとつ鈴の音か。
 路は既に彼の国に続いている。

 住人は皆、許された場所以外では口をきかず、琴や鈴で意思疎通する。
 しきたりを知らぬ外人(ソトビト)が無闇と騒がしくすると、
 いつの間にか姿が見えなくなるという噂があり、影では"拐かしの里"とも呼ばれている。

 民の半分は、拾われ子や、どこからか流れてきた者で、親が無い者も多いという。
 淡々としているが、実は寂しがり屋で、一度懐に入れた者には情が深い。

 星ノ宮当主との婚姻により、リヒトゥの文化が流入。
 通りに沿って水の小路が整備され、運良く星祭の晩に居合わせたならば、
 星を模した灯籠や飾りが流れたゆとう様が見られるという。

- Kakitsubata -
 くちなしの当代斎主。
 先代斎主と星ノ宮当主の長子。
 理知的で物静か、いつも穏やかな笑みを浮かべている。
 年齢の割にどこか幼さの残る顔立ちだが、幼い頃から妓女に囲まれて育ち、女性の扱いはお手の物。
 
 国内最大手の銀行の頭取の座を母から引き継いだ。
 笑顔と、笑顔にくるまれた狡猾さで、
 一癖も二癖もあるお客様を言いくるめてしまう手腕には古老たちも舌を巻くほど。
 
 財や物の在り処に耳ざといのは変わらぬまま。
 くわえて、かねてよりもずっと人の心に聡くなったとか。
 当代は心の色が見えるのだと、囁いたのは誰れかしら、
 はてさて真実は沈黙の中。
 
   
  「ほらほら、笑って。
     そう、にこりと。とっても素敵だから」

  「煙管を真似て作ってくださったんです
     ふぅーっと、やさしく息を吹き込んでみてください
        ――うん、上手。ほら見て、星が跳ねて綺麗でしょう?」

  「ご所望のものはこちらでは?
     え……心を読むだなんてそんな、まさか。
       お姫様の笑顔が見たいがために、すこぅしばかり勘が冴えただけですよ、きっと」

 年齢:19歳 性別:男性
 ステータス:強靭 2 / 知識 20 / 器用 10 / 機敏 5 / 幸運 13
 一人称:私、僕 二人称:◯◯様
 親しい間柄の者にだけ「アヤ」と呼ばれている
  
  とんとんからり からころり
  みずをひとくち くだしゃんせ
  こっちのみずは あまかろう
  あっちのみずは からかろう
  とんとんからり ころころり

 
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◆ 家 族 ◆
雲雀【illust/61864816】
星降ル海ノ宮リヒトゥ 灰青 さん【illust/61972140】
「あははは、母上をこんなふうにしてしまうのは、父上だけでしょうね。
  茜も僕もふたりの色が大好きですよ。ずっと仲睦まじくいてくださいね」

双子の弟 星降ル海ノ宮リヒトゥ 当主 茜 さん【illust/62275490
「茜、だぁれも苛めたりしないから、こちらへおいで。
  うーん、こんなに可憐な花を前に何をそう怯えるのか。難儀なことだねぇ」

◇ 絆 ◇
戀い襲の国ルピネラ 舞手候補 «花泪» ノア さん【illust/62578025
「おやまぁ。どうしてまた、こんなところに。
  ――帰り路を失わないうちにお帰りなさい。ちいさなうさぎさん」

 ◇

『本気で厭うなら突き放す術を知っているのに、
 そうしないのなら責任のとり方くらい知っていらっしゃるでしょう』

不思議の国に迷い込んだうさぎ、
否、あれはうさぎ穴に落ちた少女の話だったか――

「こら」

ふわりと浮かんだそれを手繰ろうと、上の空でいたら額をはたかれた。
やれ、誰に似たのか。この手癖の悪さ。
眉間に皺を寄せた顔もかわいらしいが、もう少し笑ってもいいものを――ぺちん。
もう一発。

「どういうつもりか知らないけれど――」

続くお小言は、遠く遠くから桃の香りとともに届いたそれと同じ。
なんだか嬉しくなって、目の前の頭をそっと撫でたら、そら、三発目をお見舞いされる前に逃げるとしよう。

『恋は戦争』
        「惚れたほうが負け」
 「負けるが勝ち」
      『――するものでなく落ちるもの』

それにまつわる言葉はあまた。
いったいどれが真実か、君の中に答えはあるのだろうか。

 ◇

常にはない紛れ者。
あたたかな家も、優しく抱きしめてくれる両親も、
可愛い可愛いと見返りも求めず差し出される言葉も。

どうあっても場違いな子兎に、もの慣れぬ子雀たちが不安げな眼差しを向ける。
子雀を守るのも主の務め、それに、子兎だっていずれは夢から覚めて母の元に帰るべきもの。

 ◇

「あはは、うん。そうだな。休戦しよう。
 きっと母上が父上を必要としたように、理由なく君は僕を必要とするんだろう」

僕の身を君に預けよう。
証明してごらんよ、これが違わぬ「 」だということを。

利子がつくかも知れぬ投資?元本割れ?
それしき持て余すようなら、頭取が聞いて呆れる。

◆ 友 人 ◆
白桃さん【illust/62187731
『正直なところ、恋という言葉は貴女に似つかわしいようでいて、まったく無縁のものと思っていました』

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2017-04-05 16:21:04 +0000