【ポケフロ】かのうせい【スケープゴート】

柴丸

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置いていくなんてできるわけがない。
気がつけば私はハルくんの横をすり抜け、前に飛び出していた。
「ちょ…ココリネちゃん何しよん!?戻って!?」
「やだ!ほらあああっグレンくんよぉく聞けい!!」
「あぁ!?」
グレンくんの周りに黒い影が広がっている。
声を荒げ私を睨みつけた今の彼からは、怒りの感情しか伝わってこない。
本気のようだ。時間はあまりない。
 
「今さっきの!カラちゃんが聞いたら何て言うかな!」
「…っ!」
取り出した人形をグレンくんの方に向けて叫んだ。
 
「キミにお母さんのことを話して、お母さんが信じた可能性を認めてくれて、お母さんが立派だって言ってくれて!嬉しかったって言ってた!
また何かあったら相談しろって、心を軽くしてくれるって約束してくれて、うれしかったって!私に話してくれたよ!」
「…だから何だ!?今あいつのことは関係ねえ!俺はハルを殺しに―」
「関係ある!」
人形をグレンくんに更に近づけた。
大丈夫。この子が居る。この子も戦いに行っているんだ。
 
「カラちゃんにそうやって約束したのに、なんでキミは誰かに相談する前に、自分の答えを出しているの!?
生きられるか不安なら、ちゃんと話して!伝えてくれなきゃ何も伝わらない!
解決策がすぐに見つからないからって、キミと一緒に生きてきたハルくんを簡単に傷つけちゃだめ!
キミが不安を抱えたまま出したその答えは、絶対に正しくない!」
 
「うるせえ!てめえらに何が分かる!?話したところで、可能性を信じたところで!高確率で消えるのは俺の方なんだぞ!!
…じゃあ何だ、てめえが俺と同じ立場だとしたらどうする!?」
「どうするって…私は、」
「自分だけ消えるかもしれねえのに、何もしねえまま!みすみす生きるチャンスを手放すのかって聞いてんだ!!」
グレンくんが私を掴みにかかってきた。
間一髪でかわしたけど、後ろの方からハルくんが私を呼んだのが聞こえた。
…私のせいで状況が悪化する前に退かないと…。
 
「…何もしないってことはない!でも誰かを殺してでも生きようとするなんて、私は絶対にしない!」
「黙って聞いてりゃぁ…いつものビビリはどうした。邪魔するならお前も…!」
 
…言えることは言った。この子を本当の意味で救えるのはきっとハルくんだ。
「私はキミのこと怖くない」
分からず屋さんめ。これだけは言わせてもらうよ。
 
「私とカラちゃんはキミのこと信じてる!キミと一緒に奇跡も可能性も信じたいの!だから― 」

 
 ばち、と、耳をつんざく音がして、焼かれたような痛みが走った。
 
 視界が暗転した。気づいたら私は、ハルくんの傍まではじき飛ばされていた。
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※※続きます→【illust/61215217

◆支援イベント
スケープゴート【illust/60946898
幻夢の大試練マステマ【illust/60941847カゲコダマ描写で+1

◆「過去と果たし合いの冒険」【novel/7718404】から(お待たせしました…!!)
・【novel/7717711】で言ってもらえていたこともふまえてグレンくんにめっちゃ声掛けさせていただきました
・持ってる人形は「きろく」【illust/61017622】でぴろろちゃんからもらったものです。

◆お借りしました
グレンくん【illust/57708781

*ココリネ【illust/57707812

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2017-01-31 15:18:40 +0000